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やはり次の日に熱を出したロク
「テオダメだからね 仕事行ってね」
と熱で苦しそうな息をしながら言われた
「でもな」
「ハァ ダメだよ テオ 仕事はキチンとして みんなが困るでしょ」
「わかった なるべく早く帰れるようにするよ」
「ん」
「そのかわり ロクも しんどくなったらミアでもいいしダイジロウでもいいから 言うんだぞ」
わかったなと と言って仕事に行った
執務室でロクが熱を出してると言ったら 事務官が今日どうしてもしていただかないといけない分はこちらで これは持ち帰って目を通していただきたくて これは明日以降でも構いません
と仕分けしてくれて さっさと終わらせてロクくんのところへ帰ってくださいといつもより早く帰してくれた
「おかえりなさい」ミアがロクの手を握っている
はぁはぁとロクはまだ息苦しそうだ 顔色もよくない
「熱がまだ高くて」
点滴が入れられている
扉がノックされる ダイジロウだ
「テオ ちょっと」と廊下に呼ばれた
「昼間に少し吐血したんだ」
ダイジロウが言う
「熱も高いから ちょっと心配なんだけど ロクが ミアに俺を呼んでって 胃が痛いから 俺を呼んでって いつもなら痛くても我慢するのに」
「ダイジロウ先生 ここが痛い」
と胃の上のあたりをロクが押さえている
一ヶ所を押さえると
「イッ」と声を上げて 目をつむる
飲み薬の限界 親父とも相談していた ロクの場合治療が体の負担になりすぎる
「点滴で薬入れたいんだけど 頑張れる?」
なるべくロクには点滴とか針なんかは気を使う 一度パニックになったから どうしてもの時だけ
イブも言ってた
「薬とか点滴とか 研究所思い出すんです」
ロクだってたぶんそうなんだ
ロクもそれはわかっているから 我慢するが
やっぱり辛そうで 治療が治療にならない
「ゴホッ ゴホッ」と咳をしたら 手から少し血が流れた ミアが口にタオルを当てる
「ロク 点滴するよ 薬も入れようね 楽になるから ね」
コクリとうなずいてくれる
「………ちょっと コワイ」ロクが小さな声で言う
ミアがすかさず
「じゃ 手握っていたら 怖くない?」
上布で顔を隠して ミアの方に手を出す
すぐに点滴の準備をする
「全部落ちるまで我慢してね 気分悪くなったらちゃんと言ってね」
「はい」としっかり返事をくれたので大丈夫そうで安心する
「また 様子見にくるらからね」と病室を出る
点滴が終わる頃 病室をのぞく
カルテを見ながら
「どう?」とミアに聞く
「少し苦しそうです 胃もまだ痛むようで でも」
「でも?」
「いつもなら 何も言わないのに 痛いとかしんどいとかちゃんと言ってくれるし さっき少し目を覚ましたんですけど私を探してくれて 目が合うとホッとした顔してまた眠って なんだか少しうれしくて」
「そうだね いつもより少し伝えようとしてくれてるよね なんかあったんだろうな」
熱はあまり下がっていない 胃の痛みも変わらずのようだけど ロクの変化にうれしいと思う
「このまま点滴続けるよ」
できる時にできるだけの治療をしたい
「もう少し頑張れ」とロクの頭を撫でた
「なんかあった?」
ダイジロウに聞かれる
「何かあったのか?」
ダイジロウがうーんとうなっている
「ちょっとした変化かな ロクが気持ちをちゃんと伝えてくれたんだ 今までそんな事なかったのに 点滴もコワイって 痛くてしんどいとか ミアを見つけて安心するとか 今まで隠してたのを出してきたって感じかなぁ」
うれしくなった
「そうか そうか」少し笑ったら
「なんだ 教えてくれないのか」とつまらなそうにダイジロウが言った
「ただ ロクがいなくなったら困るって言ったんだ」
「それだけ?」
「それだけ」
「ふーーーーん まぁそれで治療させてくれるからいいけど」
ダイジロウが点滴終わったら呼んでね と手を振って行った
少しづつ ロクの体は良くなっていった
「まぁ 無理をしなければいいかな ロクの場合病院にいるより
家にいる方が安定しするし いいからね」とダイジロウが言う
「じゃあ いいのか」テオが聞く
「ああ いいよ その代わりちゃんと通院してよ リハビリもね 薬も飲むこと
で何より無理をしない事 約束守れる?」
コクコクとうなずく ロク
「よく頑張りました ロク 明日退院していいよ」
「お世話になりました ダイジロウ先生」
「どういたしまして もう戻ってこないでね」
苦笑する二人
お世話になりました と元気なロクの声が聞こえた
車椅子での退院だけど 二人は嬉しそう
「よかったな」と親父がやってきた
「ああ ほんとに」
二人が帰って行く姿をずっとながめてた
「テオダメだからね 仕事行ってね」
と熱で苦しそうな息をしながら言われた
「でもな」
「ハァ ダメだよ テオ 仕事はキチンとして みんなが困るでしょ」
「わかった なるべく早く帰れるようにするよ」
「ん」
「そのかわり ロクも しんどくなったらミアでもいいしダイジロウでもいいから 言うんだぞ」
わかったなと と言って仕事に行った
執務室でロクが熱を出してると言ったら 事務官が今日どうしてもしていただかないといけない分はこちらで これは持ち帰って目を通していただきたくて これは明日以降でも構いません
と仕分けしてくれて さっさと終わらせてロクくんのところへ帰ってくださいといつもより早く帰してくれた
「おかえりなさい」ミアがロクの手を握っている
はぁはぁとロクはまだ息苦しそうだ 顔色もよくない
「熱がまだ高くて」
点滴が入れられている
扉がノックされる ダイジロウだ
「テオ ちょっと」と廊下に呼ばれた
「昼間に少し吐血したんだ」
ダイジロウが言う
「熱も高いから ちょっと心配なんだけど ロクが ミアに俺を呼んでって 胃が痛いから 俺を呼んでって いつもなら痛くても我慢するのに」
「ダイジロウ先生 ここが痛い」
と胃の上のあたりをロクが押さえている
一ヶ所を押さえると
「イッ」と声を上げて 目をつむる
飲み薬の限界 親父とも相談していた ロクの場合治療が体の負担になりすぎる
「点滴で薬入れたいんだけど 頑張れる?」
なるべくロクには点滴とか針なんかは気を使う 一度パニックになったから どうしてもの時だけ
イブも言ってた
「薬とか点滴とか 研究所思い出すんです」
ロクだってたぶんそうなんだ
ロクもそれはわかっているから 我慢するが
やっぱり辛そうで 治療が治療にならない
「ゴホッ ゴホッ」と咳をしたら 手から少し血が流れた ミアが口にタオルを当てる
「ロク 点滴するよ 薬も入れようね 楽になるから ね」
コクリとうなずいてくれる
「………ちょっと コワイ」ロクが小さな声で言う
ミアがすかさず
「じゃ 手握っていたら 怖くない?」
上布で顔を隠して ミアの方に手を出す
すぐに点滴の準備をする
「全部落ちるまで我慢してね 気分悪くなったらちゃんと言ってね」
「はい」としっかり返事をくれたので大丈夫そうで安心する
「また 様子見にくるらからね」と病室を出る
点滴が終わる頃 病室をのぞく
カルテを見ながら
「どう?」とミアに聞く
「少し苦しそうです 胃もまだ痛むようで でも」
「でも?」
「いつもなら 何も言わないのに 痛いとかしんどいとかちゃんと言ってくれるし さっき少し目を覚ましたんですけど私を探してくれて 目が合うとホッとした顔してまた眠って なんだか少しうれしくて」
「そうだね いつもより少し伝えようとしてくれてるよね なんかあったんだろうな」
熱はあまり下がっていない 胃の痛みも変わらずのようだけど ロクの変化にうれしいと思う
「このまま点滴続けるよ」
できる時にできるだけの治療をしたい
「もう少し頑張れ」とロクの頭を撫でた
「なんかあった?」
ダイジロウに聞かれる
「何かあったのか?」
ダイジロウがうーんとうなっている
「ちょっとした変化かな ロクが気持ちをちゃんと伝えてくれたんだ 今までそんな事なかったのに 点滴もコワイって 痛くてしんどいとか ミアを見つけて安心するとか 今まで隠してたのを出してきたって感じかなぁ」
うれしくなった
「そうか そうか」少し笑ったら
「なんだ 教えてくれないのか」とつまらなそうにダイジロウが言った
「ただ ロクがいなくなったら困るって言ったんだ」
「それだけ?」
「それだけ」
「ふーーーーん まぁそれで治療させてくれるからいいけど」
ダイジロウが点滴終わったら呼んでね と手を振って行った
少しづつ ロクの体は良くなっていった
「まぁ 無理をしなければいいかな ロクの場合病院にいるより
家にいる方が安定しするし いいからね」とダイジロウが言う
「じゃあ いいのか」テオが聞く
「ああ いいよ その代わりちゃんと通院してよ リハビリもね 薬も飲むこと
で何より無理をしない事 約束守れる?」
コクコクとうなずく ロク
「よく頑張りました ロク 明日退院していいよ」
「お世話になりました ダイジロウ先生」
「どういたしまして もう戻ってこないでね」
苦笑する二人
お世話になりました と元気なロクの声が聞こえた
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「よかったな」と親父がやってきた
「ああ ほんとに」
二人が帰って行く姿をずっとながめてた
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