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ロクを探す
大勢人がいるのは苦手だからと 行くのもだいぶ渋っていたが
慣れてもらわないと困るしと少し無理をして連れてきた
「元帥閣下 どなたかお探しですか?」と声をかけてきた男
コイツ誰だ
「ウチの補佐官 見かけませんでしたか?」
「ああ バルコニーで見かけましたよ かわいい子ですよね」
ロクがかわいいとかお前には関係ないだろう 余計な言葉には反応しない
「どうもありがとう」と横を過ぎようとした時
「今度 貸してもらえませんか?私も試してみたい
貴方や宰相を虜にするんですよね お金なら払いますよ いくらですか?」
何だコイツ 何の話をしているんだ
「言っている意味がわからんが」
「いざなぎの子なんでしょ お金さえ出せば何でもしてくれるって噂になってますよ
彼に言ったら 真っ青な顔になってましたけど いまさらって感じですよね
いきなり補佐官になったり 宰相の義理の弟になるくらいですからね」
ニヤッといやらしく笑い一言
「俺たちにも楽しませてくださいよ 元帥閣下」
殴りかかろうとした時 グラスの割れる音と女の人の悲鳴が聞こえた
騒ぎの方へ向かって歩く ざわざわしている間から
「ほら あの子よ」「ああ お金払えば何でもしてくれるんだろ」
「閣下を誘惑して今のポストに就いたとか」「そんなにいいなら私も相手してもおうか」
聞こえてきた 雑音
こんな言葉を毎回聞いていたのか あいつは
人の輪をかき分けた先には ロクが額を押さえて椅子に座っている
そばには飛龍がいてくれた
「ロク」と声をかけるが 少し反応が悪い 傷を見て 抱き上げる
病院に連れて行くのが早いか 呼んでもらうのが早いか考えていると
クリスが 奥へと促してくれた そのまま付いていく
しきりに大丈夫と繰り返す ロク
体が震えているの気が付いてないのか
「ごめんなさい」と小さな声で謝っている
いつから あんな風に言われていたんだ 人のいる場所はちょっととか
俺が行けるような場所じゃないよとか ただ人の集まる場所が苦手なのかと思っていたが
違ったらしい 慣れるためとか言って無理させるんじゃなかった
「ここへ」と居間のソファーへ座らせて 傷を見る
まだ血が止まらない
「すぐに ソウテツが来てくれるからね」クリスがロクに声をかける
「ほんとに大丈夫 たいしたことないよ お願いだから二人とも戻って お願い
俺が騒ぎを起こしたからだよね 二人が変なこと言われたら困るから ねえお願いだから」
あの悪意の中に一人でいたんだな 気が付いてやれなかった
俺やクリスの名前があれば みんな好意的に受け取ってもらえると思っていたのに
浅はかだった ごめんな 余計なことに巻き込んでしまったな
「少し落ち着け ロクの方が大丈夫じゃないだろ 気持ち悪くないか 頭痛くないか」
「あっ」体の力が少し抜けたのがわかった「うん 大丈夫」
と落ち着いて答えてくれたので クリスとホッと息をはいた
「かわいい顔してるんだから 顔に傷つけるなよ」とソウテツがロクに言う
「女の子じゃないんだから そんな事言われても嬉しくない」と少しムッとして答えてる
「思ったより傷が深いから 縫うからな 我慢しろ」と処置をしてくれる
「はい終わり よく我慢したな 偉いぞ」と頭をなぜられるが
麻酔が効いているのか ぼんやりしているロク
「ロク」と声をかけると 「家に帰りたい」と涙をひとすじ流した
ソウテツを見るとうなずいていたので 抱き上げて「家に帰ろうな」と言う
そのまま目をつむった 眠ったようだ
城を後にした
いつの間にか眠っていたみたいで
気が付いたら 家のベットの上だった
部屋をでて 一階へ降りる
居間の明かりが少し漏れてる テオが椅子に座って難しい顔をして考え込んでいる
「誰かいるのか」と声をかけられた 優しい声だ
「ごめんなさい」ととっさに出た
「ロク なんであやまるんだ 目が覚めたのか 傷は痛くないか」
手を引いてくれて ソファーへ 二人並んで座る
「ごめんな イヤな思いたくさんしてたんだろ 気が付いてなくてごめんな」
テオが優しく言ってくる
「俺はいいの でもそのせいで 二人が悪く言われるのが嫌なだけ」
「でもな」テオの頬を撫でる 元気がないテオ
「ほんと 俺は平気 よく知らない奴が勝手に言ってるだけ
だから平気 テオもみんないるし 俺は一人じゃないからね
だから大丈夫」テオがうなずいてくれた ホッとする
「何でも言う約束じゃなかったかな ロクはすぐに忘れるみたいだが」
じっと顔を見られる
「言うほどの事ではない と思ったから 言わなかったの」
「お前は ちゃんと話せ話してくれないとわからない
自分だけで解決しようとするな 我慢をするな」
我慢しているわけじゃない
「俺がよけたら 後ろの人に当たってた」
「えっ」
「女の人がいた 俺がよけたらその人に当たる
その人怪我しちゃう」
「そうか やはりロクはかっこいいな」
「俺かっこいい」
「ああ 知り合ったあの日から ずっと俺にとってはヒーローだからな」
と頭をやさしく撫でてくれる
「傷痛くないか」
「大丈夫」
テオが俺の肩に顔をうずめる ちょっと凹んでいるときのテオだ
「ん テオ 心配かけてごめんね」
本当にごめんね
「今度からは俺から離れるなよ」
「ん わかった 約束する」
今日は俺がテオを抱きしめて二人で寝た
大勢人がいるのは苦手だからと 行くのもだいぶ渋っていたが
慣れてもらわないと困るしと少し無理をして連れてきた
「元帥閣下 どなたかお探しですか?」と声をかけてきた男
コイツ誰だ
「ウチの補佐官 見かけませんでしたか?」
「ああ バルコニーで見かけましたよ かわいい子ですよね」
ロクがかわいいとかお前には関係ないだろう 余計な言葉には反応しない
「どうもありがとう」と横を過ぎようとした時
「今度 貸してもらえませんか?私も試してみたい
貴方や宰相を虜にするんですよね お金なら払いますよ いくらですか?」
何だコイツ 何の話をしているんだ
「言っている意味がわからんが」
「いざなぎの子なんでしょ お金さえ出せば何でもしてくれるって噂になってますよ
彼に言ったら 真っ青な顔になってましたけど いまさらって感じですよね
いきなり補佐官になったり 宰相の義理の弟になるくらいですからね」
ニヤッといやらしく笑い一言
「俺たちにも楽しませてくださいよ 元帥閣下」
殴りかかろうとした時 グラスの割れる音と女の人の悲鳴が聞こえた
騒ぎの方へ向かって歩く ざわざわしている間から
「ほら あの子よ」「ああ お金払えば何でもしてくれるんだろ」
「閣下を誘惑して今のポストに就いたとか」「そんなにいいなら私も相手してもおうか」
聞こえてきた 雑音
こんな言葉を毎回聞いていたのか あいつは
人の輪をかき分けた先には ロクが額を押さえて椅子に座っている
そばには飛龍がいてくれた
「ロク」と声をかけるが 少し反応が悪い 傷を見て 抱き上げる
病院に連れて行くのが早いか 呼んでもらうのが早いか考えていると
クリスが 奥へと促してくれた そのまま付いていく
しきりに大丈夫と繰り返す ロク
体が震えているの気が付いてないのか
「ごめんなさい」と小さな声で謝っている
いつから あんな風に言われていたんだ 人のいる場所はちょっととか
俺が行けるような場所じゃないよとか ただ人の集まる場所が苦手なのかと思っていたが
違ったらしい 慣れるためとか言って無理させるんじゃなかった
「ここへ」と居間のソファーへ座らせて 傷を見る
まだ血が止まらない
「すぐに ソウテツが来てくれるからね」クリスがロクに声をかける
「ほんとに大丈夫 たいしたことないよ お願いだから二人とも戻って お願い
俺が騒ぎを起こしたからだよね 二人が変なこと言われたら困るから ねえお願いだから」
あの悪意の中に一人でいたんだな 気が付いてやれなかった
俺やクリスの名前があれば みんな好意的に受け取ってもらえると思っていたのに
浅はかだった ごめんな 余計なことに巻き込んでしまったな
「少し落ち着け ロクの方が大丈夫じゃないだろ 気持ち悪くないか 頭痛くないか」
「あっ」体の力が少し抜けたのがわかった「うん 大丈夫」
と落ち着いて答えてくれたので クリスとホッと息をはいた
「かわいい顔してるんだから 顔に傷つけるなよ」とソウテツがロクに言う
「女の子じゃないんだから そんな事言われても嬉しくない」と少しムッとして答えてる
「思ったより傷が深いから 縫うからな 我慢しろ」と処置をしてくれる
「はい終わり よく我慢したな 偉いぞ」と頭をなぜられるが
麻酔が効いているのか ぼんやりしているロク
「ロク」と声をかけると 「家に帰りたい」と涙をひとすじ流した
ソウテツを見るとうなずいていたので 抱き上げて「家に帰ろうな」と言う
そのまま目をつむった 眠ったようだ
城を後にした
いつの間にか眠っていたみたいで
気が付いたら 家のベットの上だった
部屋をでて 一階へ降りる
居間の明かりが少し漏れてる テオが椅子に座って難しい顔をして考え込んでいる
「誰かいるのか」と声をかけられた 優しい声だ
「ごめんなさい」ととっさに出た
「ロク なんであやまるんだ 目が覚めたのか 傷は痛くないか」
手を引いてくれて ソファーへ 二人並んで座る
「ごめんな イヤな思いたくさんしてたんだろ 気が付いてなくてごめんな」
テオが優しく言ってくる
「俺はいいの でもそのせいで 二人が悪く言われるのが嫌なだけ」
「でもな」テオの頬を撫でる 元気がないテオ
「ほんと 俺は平気 よく知らない奴が勝手に言ってるだけ
だから平気 テオもみんないるし 俺は一人じゃないからね
だから大丈夫」テオがうなずいてくれた ホッとする
「何でも言う約束じゃなかったかな ロクはすぐに忘れるみたいだが」
じっと顔を見られる
「言うほどの事ではない と思ったから 言わなかったの」
「お前は ちゃんと話せ話してくれないとわからない
自分だけで解決しようとするな 我慢をするな」
我慢しているわけじゃない
「俺がよけたら 後ろの人に当たってた」
「えっ」
「女の人がいた 俺がよけたらその人に当たる
その人怪我しちゃう」
「そうか やはりロクはかっこいいな」
「俺かっこいい」
「ああ 知り合ったあの日から ずっと俺にとってはヒーローだからな」
と頭をやさしく撫でてくれる
「傷痛くないか」
「大丈夫」
テオが俺の肩に顔をうずめる ちょっと凹んでいるときのテオだ
「ん テオ 心配かけてごめんね」
本当にごめんね
「今度からは俺から離れるなよ」
「ん わかった 約束する」
今日は俺がテオを抱きしめて二人で寝た
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