暗殺者は愛される

うー吉

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ゆっくりとした寝息が聞こえる
青白い顔は変わらないが 落ちるいているように見える
「帰ってきてすぐに吐いてな 以前のみたいにひどくはないが 胃が弱くなっているからな」
「ああ わかってはいたんだ 何回か聞いたんだ 『大丈夫』としか言わなくて
わかってる 言い訳なんだ もっと気にしてやらなきゃいけないのに」
「怖いそうだ もう一年もたってるから 大丈夫だと思っていたんだがな
まだ自分が此処にいていいという自信がないらしい 守りたい 守れるのか 自信がない
ずっと考えてるみたいだ」ソウテツが悲しそうにロクを見る
「いつも言葉で伝えてやっているか 此処にいていいと言葉で伝えてっやてるか」
返事ができない
「伝えてやれ言葉で 此処にいていいと 何度でも言ってやれ 言ってやらないといつまでもわからないぞ 
こいつは」
熱を確かめるようにロクのおでこに手を置く
「熱が上がって苦しそうなら 言ってくれ 解熱剤入れるから」
横の部屋にいるといって ソウテツは部屋を出て行った

夢を見る ああまたこの夢か
暗くて寒いところ 研究所だ 
『今までどこにいた』
『何をしている 早く行け 早くヤレ殺せ 』
『あいつ?ああ失敗して殺されたらしい 頭が置かれてたよ』

ゴロンと音がする テオの頭だ


「やぁーーーーっ」突然ロクが声を上げる
「ロク どうした」
「あっ テ・・・・オ?テオ よかった」
「そうだよ わかるか」
コクリとうなずく 
「少し熱が上がってるな 薬いれてもらうか?」
プルプルと首を横に振る
おでこににのせてるタオルをとり 氷水で浸してもう一度のせてやる
ふぅーとため息をついた
「気持ちいいか?」
「つめたくて いい」少し落ち着いたように見える 
ぽそりぽそりと話し出す
「イヤな夢を見るんだ いざなぎの研究所にいる夢
繰り返し見る で いつも最後は誰かが死ぬんだ 俺を大事にしてくれてる人が
誰かが死ぬんだ 俺なんか大事に思うからダメなんだ」
「でも 誰も死んでないぞ 誰も死んでない」
何度でも伝えよう ロクがわかってくれるまで 何度でも
「ずっと一緒に生きてくれるって約束しただろ 約束守らないのか」
「俺はロクと一緒になりたい ずっとこうしてロクの事撫でていたい」
頭からほっぺを撫でる シーツをめくり 肩お腹 そして
「お前の事 ロクの事 愛している
側にいてくれないと 仕事もできないただの棒になるらしい
ロクがヤレと言うなら いさなぎを潰してもいい フェルに止められてるけど
そんなのクソくらえだ 一緒に追放されるなら 仕事もしなくていいからいいな
二人でいろんな国を回ろう 旅をしよう な」
「ダメだよ テオがいなくなったら軍はどうするの」
「そんなの ヒューもルイもいる 俺がいなくなったぐらいでダメになっているようではだめだ
それより ロクがいなくなる方が 俺には耐えられない 側にいてくれるんだろ」
「テオは この国には必要な人だよ 俺が 俺なんかが縛ったらダメなんだ」
「なぜ わからない」俺にとっては国よりもロクの方が大事なのに
ぎゅっと 力を込めて握る
「や だめ」ロクの手が俺の手をどけようとする 俺はそのまま手を上下に動かす
「ダメだって 離して テオ いやだ」
「俺は ロクと一緒になりたい ずっとこうしたいと思っていた」
「や やめて」
ロクの拒否の言葉とは反対にロクの中心は熱を持ち始める
「ダメッ」それでも抵抗を続けるロク 何度も逃げようとする
「なぜ逃げる 俺の事が嫌なのか こんなに大切に思っているのに」
逃げようとするロクの右肩を思い切りつかんだ
「痛っ テオやめて やめてっ」
ロクの両腕を押さえつける ロクの顔が苦痛でゆがむ
「やめて」
キスで口をふさぐ 「これ以上俺を拒否するな」
ロクが抵抗をやめた




 
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