暗殺者は愛される

うー吉

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あれから1年

「ロクおはよう」
「おはよう」
朝 ミアに声をかける
「コレ運ぶね」とサラダの入ったボールを持つ
「はい よろしく」
とミアが返事する

食堂に皆揃い
「では いただきます」
とテオの声に「いただきます」と返事する
少し前に 忙しい時があって 何度か食事が取れない事があった 元々食事は生きるためのに仕方なくとるとしか思えず 後回しにしていたら 倒れた

書庫に1人で少し古い書物を取りに来ていた
朝からなんとなく胃が重くて 気持ちが悪い
朝ご飯も食べれず 家を出る時 ミアに忙しくてもコレだけでも食べてね とスープを持たされた
昼になっても食欲が出ない
気持ち悪いのも治らない ソウテツのところに行かないとダメかなぁなんて考えて 立ち上がったら
めまいに襲われた
「あっやばい」 そのまま 倒れた

執務室にいるはずのロクがいない
昼食を兼ねた 会議に行っていた 思っていたより長引いた
ここ何日もこんな事が続いて ロクと昼食をとっていない 声をかけないとアイツ食べないからなぁ みんなで食べる食事はおいしいと言って食べてくれるが 1人になると途端に食べなくなる 今日はミアにスープを持たされていたが それも机に置いたままだ 何度怒ってもコレは治らない
ここへ来た頃 やっと食事がまともに取れるようになった時 
目の前に食事を置いても手をつけない 食べていいよ言わないと食べないし「俺が食べてもいいの?」と確認してないと食べれない 育った環境だ あの国は食事も自由にさせなかったのかと思うと怒りしか湧いてこない
「ロクは?」と事務官に聞いてみるが
「そういえば 昼ぐらいから見てません」と言われた 他の人に尋ねても同じような答え 
もう夕方になろうかと言う時間帯だ
少しイヤな予感がする
1人が「少佐に以前の資料の事聞かれたので 書庫にあるはずですがと答えたんですが まだ戻られてませんか」書庫に急いだ

「貧血だな」ソウテツが聴診器を耳から外した
下を向いたまま 服を直す 怖くて顔が上げれない
「で なんでこうなったのかわかっているんだろ 説明しろ」ソウテツが言う
「えっ あ えっと」なんて言ってると テオがやっと口を開いてくれた
「なんで 体調悪い事黙ってた」
「黙っていたわけではありません」
「食べれなくなってたんだろ」
「食べれない訳ではありません ただ少し気分が悪かっただけです 食事も今朝食べれなかっだけで 食べてました」
「パン1つを食事とは言わん」
なんでバレてるんだろう
「きちんと食事が取れるようになるまで 仕事は休みだ」
「まって下さい そこまでしなくても大丈夫です ちょっと休めば 仕事に戻れます」
「ダメだ 家に帰れ」
「大丈夫です」
「ダメだ」
「大丈夫です」
「ロク少佐 これは命令だ 直ちに自宅に帰り 休養をとる事 食事も元の量まで食べれるようになる
まで仕事に戻る事は許さん いいな」
「納得ができません」
「命令だ いいな」とだけ言って テオは部屋から出て行った
「今日は帰ろう 送っていくから」ソウテツが言う
ベットから立ち上がるが ふらつく
ソウテツに支えられて 馬車に乗り込み屋敷まで送ってもらう
屋敷についても 馬車から降りれない 立ち上がれなかった ひどく気分が悪くなってベットまで ソウテツに運ばれた ベットに倒れ込む 
ミアとアランが心配しているが ソウテツが呼ぶまで来ないようにと2人に言って 部屋のドアを閉めた

「食べたくないのか」とソウテツに聞かれる
「栄養不足と疲労と寝不足 わかってるのか」
「何か心配事でもあるのか」
「………ごめん」言葉が続かない
「お前さぁ なんか忘れてない アイツ国の軍のトップだぞ そんなに頼りないか アイツの事」
わかってる
「お前のためなら 国の一つや二つ簡単に潰すぞ アイツなら」
知ってる だから
「そんなに頼りないか アイツ」
頼りすぎてる自分が怖い
「違う ダメなのは俺なんだ...怖いんだ
テオやみんなに優しくしてもらうたびに 怖い」
「怖い?」ソウテツが聞いてくれる
「怖いんだ 誰かに何かがあったら 俺が守りきれなくて 怪我させたり...」
「怪我させたり」
ああダメだ 考えただけで 頭がクラクラする
気持ちが悪い 何がが迫り上がってくる
目をぎゅっとつむって 耐える
ソウテツがそっと背中をさすってくれる
「気持ち悪いな 吐きそうか?」 
小さく頷く
「我慢しなくていいよ 吐いてしまえ」
と背中をさする力が強くなった
「 オェ ごほっ...げぼ…っえ」
何も食べてないので 胃液しか出ない 
ソウテツの手が一瞬だけ止まった
ああ またか 胃液の中に血が混ざってるのがわかった
「痛く無いか」ソウテツが聞いてくれる
「痛みはないよ」
きれいにしてもらおうなとソウテツが部屋を出て行った ミアを呼びに行ったのかもしれない
また来る
ゴボッと迫り上がってきたのもを吐き出したら
今度は真っ赤な血だけだった


仕事に戻ったが 身が入らず
「気になるようでしたら帰られたらいかかですか こちらとしても この部屋では 少佐がおられなければ元帥閣下は ただの棒ですから」「顔を見て安心されたらどうですか」と事務官に言われて 家まで帰ってきたが
少し バタバタしているのがわかる
ハッとして ロクの部屋へと急いだ
ベットに青白い顔で横たわっているロク
真っ赤な血がついてあるシーツが丸められている 
「ソウテツ」と呼んだ
「ああ おかえり 良かった」アランに呼びにいかそう 早便を頼もうかと考えていたようだ
「ロク良かったな テオが帰ってきたぞ」
ロクの目が開いた
「テオ」と力なく呼んで手を伸ばしてきた
手を握る 冷たさに驚く
「ごめんなさい 仕事大丈夫?」
「今日の分は済ませてきたよ」
「明日の分はいつもの場所にあるから それと 明日は訓練についての会議があるから 忘れないでね 資料はルイ様に渡しているけど 先に確認したいなら かぎのついた引き出しに入ってるから見てみて それと... 」
「わかったよ 大丈夫 なんとかなるから」
ひたいに手を置く 少し熱も出ているようだ
「ごめん」
「悪いと思うなら どうして話してくれない そんなに俺は頼りない」
「ちがう そうじゃない」
「じゃあどうして」
「...」
「今じゃなくてもよくないか」ソウテツが声をかけてきた「少し休ませてやれ」
「ごめん しんどい時にする話じゃなかったな ごめんな」
「うんん 俺の方こそごめんなさい 落ち着いたらキチンと話すから 今はごめん」少し息も上がっている
「ずっとそばにいるから 安心して眠れ」
「ごめんね」と言って目を瞑った

握った手をしっかりと握り直した






















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