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静8
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「チィついた 起きて」
運転席から リュウ兄が声をかける
「千尋着いたよ」
リュウ兄が千尋の手を取る代わりに 車のカギを渡してきた
ため息をついて そのまま運転席に行こうとすると
「いやだ セイ」服を掴んでいる
「ごめんな千尋 また会社でな」服を掴んでいる手を離させる
「やだ」
「ちゃんと寝るんやで ご飯もしっかり食べや 無茶したらアカンで」
頭を撫ででやる
「しんどくなったら困るから 部屋に行こうな」
優希さんが千尋の体を促す
「千尋がげんきになったら ちゃんと話しよな
今日来てくれて嬉しかったありがとうな 今日は帰るけど 迎えに来るからな
みんな言う事ちゃんと聞いて ゆっくりするんやで」
「うん」
「なんか私たちが悪者みたいね」とさきさんが車庫までやってきた
「立っているものしんどいでしょ 部屋で横になろうね」
と千尋の手を取る
「セイ 正さんが呼んでる 龍之介も優希もね」
ドアをノックする
「いいぞ」と返事がある
「千尋は?」
「さきさんが部屋へ」
「そうか まぁ座れよ 別に説教しようと思ってるわけじゃないから」
三人顔を見合わせて 座る
「今回の事は お前が一番悪いな」と俺の方を向いてる
「はい」
「まぁ 好きな子といい雰囲気になったらそらな お前も男だから
それはしょうがない でも 自分だけ気持ち良くなるもんでもないだろ」
「はい」
「千尋と離れてどう思った」
「コンビニスイーツ」
「コンビニスイーツ?」
「会社の帰りとか コンビニ行って 半分して食べてるんねん 千尋は一つ食べたらアカンから
半分こや それでいつ行ってもないスイーツを見つけた日があったんやけど
半分する千尋がいてないねん 悲しかった
見つけたこと言い合われへんことも 半分にして食べることもでけへんねん 寂しいなぁって
あ 俺があほやったんやなって 兄ちゃんらにボコボコにされた意味
すごいわかった 俺は千尋を失いかけてん
相手を大事にせーへんかったから兄ちゃんたちは怒ってくれたんやんな
ホンマに俺はあほやった」
「そこまでわかったならもう許してやれよ」
正さんがリュウ兄や優希さんに言ってる
二人がため息ついてる
「馬鹿な事するから怒っただけ あんまりバカな弟はいらねぇからな」
「はい ごめんなさい」
「あとはちゃんと二人で話し合って 解決方法はあると思うよ」
「ありがとう」
「俺たちもそうだったけど大丈夫 お前たちも大丈夫だよ」
二人が言ってくれる
「で お前もう帰るんだろ 気いつけて帰れよ」
「それはひどくない そこは泊ってけでしょ」
「もういいよ 用事はすんだんだから帰れよ」
優希さんが扉を開ける
「ひどない 二人とも ひどいわ」
とその日は千尋の横で眠らせてくれた
泣いてる声が聞こえる 千尋?違うもっと子供の声や
だれや
『どうしたの何がそんなに悲しいの』子供に声をかけてる人がいてる
ああ よかった
なぜかすごくホッとした
『大丈夫よ 安心して 何も怖くない 私たちが守ってあげる 静』
さきさんが小さな俺を抱きしめてくれてた
夢か 目が覚めた
台所に行く
さきさんと智子さんが朝の支度をしていた
「手伝うわ」
「あら おはよう チィ君は?」
「まだ寝てる」
「そう」
「じゃあお願いね」と卵焼きを任される
「昔からボンは卵焼き上手でしたもんね それに大好きでしたね」と智子さんが言う
「ここに来た時 初めて食べさしてもらったからかな
うまかったし 自分で作りたいと思ったしな」
「覚えてるの?」
「ああ 覚えてる さきさんが作ってくれて ここで食べた」
「あなたは 「ホンマに食べでいい ほんまにほんまに」て何回も聞いて
おいしいおいっしいって食べてくれて」
「ホンマにおいしかったし」
もくもくと卵焼きを焼く
「なぁ ありがとうな」
「どうしたの急に 変な物でも食べたの?」
「俺がもらったもん 千尋に教えてあげたらいいって言ってくれたやん
それをずっと考えてた 大きすぎて教えきれるかなってなった
そんなん考えてたら ありがとうしかなくて だから
ありがとう 母さん」
「…‥‥もう 朝から何を言ってるの早く手動かして 皆起きてくるでしょ」
「はいはい」
卵焼きを焼いた
部屋に朝食を運ぶ
「千尋 起きて ごはん食べよう」
千尋に声をかける
「セイ?」
「そうやで ご飯食べれそう?」
千尋が手を伸ばしてくる
「セイだ 夢でもいい 帰ってきてくれたらうれしい」
手を首に回され ほっぺにキスされた
「夢ちゃうよ ほんもんやで」とキスし返したら
みるみる間に顔が真っ赤になっていった
「ごめんな 怖い思いさせて」
いつもより少ない量やけど ちゃんと食べてくれてことにホッとして
千尋に言った
千尋は首を振る
「話聞くって 千尋に無理させへんって言いながら
俺が一番アカン奴になってた ごめんな」
「セイと一緒に寝よって言われた時 うれしかったけど
ちょっと怖かった
セイとそういう事するんかなと思ったら うれしいけど ちょっと怖かった」
「俺が怖い?」
「ちがうセイが怖いんじゃなくて その行為が怖い」
千尋が震えているのがわかる 横に座って肩を抱いてやる
「怖がらせてごめん わかってなくてごめん」
「セイが悪いんじゃない 俺のことだから」
「それは違う 二人の事やのに 俺が千尋の気持ち考えてなかったからアカンねん」
「俺の気持ち?」
「そう 千尋が怖いって言ってたのに 俺は千尋の事抱きたくて
それだけしか考えられへんようになって ごめんな」
「こんな俺なのに 抱きたいの?」
「当たり前やん」ぎゅっと抱きしめる
「傷だらけで火傷とかあるし ガリガリで鶏ガラみたいだし 汚いよ 俺
いっぱい男に抱かれたし 汚い事もされたよ 一晩で何人も相手したことあるし
何人も相手したよ 俺は 俺は」
「何回も言うてるやん 千尋の事が好きやって
傷だらけで一生懸命に生きてきた千尋の事が好きやねんけど
その姿がきれいで 汚いなんて一回も思ったことないんやけど」
「でも でも」まだ震えが止まらない
「昔の事忘れてしまうぐらい 幸せになろう 二人で
過去は変えられへんけど 千尋のつらいかったことは変えられへんけど
それを超えるぐらい幸せになろう 一緒に」震えてる手を包む
「俺 幸せになれる?なってもいいの?」と千尋が聞く
「なれる なってもいいに決まってる
その時に横にいてるのが俺やったらもっと嬉しい」
「いつか二人で気持ちいいことできるようになろうな」
と小指を出す
震えの止まった千尋も小指を出してくれる
「幸せになりたい それで いつか セイと気持ちいい事できるようになりたい」
「約束な」
指切りをした
運転席から リュウ兄が声をかける
「千尋着いたよ」
リュウ兄が千尋の手を取る代わりに 車のカギを渡してきた
ため息をついて そのまま運転席に行こうとすると
「いやだ セイ」服を掴んでいる
「ごめんな千尋 また会社でな」服を掴んでいる手を離させる
「やだ」
「ちゃんと寝るんやで ご飯もしっかり食べや 無茶したらアカンで」
頭を撫ででやる
「しんどくなったら困るから 部屋に行こうな」
優希さんが千尋の体を促す
「千尋がげんきになったら ちゃんと話しよな
今日来てくれて嬉しかったありがとうな 今日は帰るけど 迎えに来るからな
みんな言う事ちゃんと聞いて ゆっくりするんやで」
「うん」
「なんか私たちが悪者みたいね」とさきさんが車庫までやってきた
「立っているものしんどいでしょ 部屋で横になろうね」
と千尋の手を取る
「セイ 正さんが呼んでる 龍之介も優希もね」
ドアをノックする
「いいぞ」と返事がある
「千尋は?」
「さきさんが部屋へ」
「そうか まぁ座れよ 別に説教しようと思ってるわけじゃないから」
三人顔を見合わせて 座る
「今回の事は お前が一番悪いな」と俺の方を向いてる
「はい」
「まぁ 好きな子といい雰囲気になったらそらな お前も男だから
それはしょうがない でも 自分だけ気持ち良くなるもんでもないだろ」
「はい」
「千尋と離れてどう思った」
「コンビニスイーツ」
「コンビニスイーツ?」
「会社の帰りとか コンビニ行って 半分して食べてるんねん 千尋は一つ食べたらアカンから
半分こや それでいつ行ってもないスイーツを見つけた日があったんやけど
半分する千尋がいてないねん 悲しかった
見つけたこと言い合われへんことも 半分にして食べることもでけへんねん 寂しいなぁって
あ 俺があほやったんやなって 兄ちゃんらにボコボコにされた意味
すごいわかった 俺は千尋を失いかけてん
相手を大事にせーへんかったから兄ちゃんたちは怒ってくれたんやんな
ホンマに俺はあほやった」
「そこまでわかったならもう許してやれよ」
正さんがリュウ兄や優希さんに言ってる
二人がため息ついてる
「馬鹿な事するから怒っただけ あんまりバカな弟はいらねぇからな」
「はい ごめんなさい」
「あとはちゃんと二人で話し合って 解決方法はあると思うよ」
「ありがとう」
「俺たちもそうだったけど大丈夫 お前たちも大丈夫だよ」
二人が言ってくれる
「で お前もう帰るんだろ 気いつけて帰れよ」
「それはひどくない そこは泊ってけでしょ」
「もういいよ 用事はすんだんだから帰れよ」
優希さんが扉を開ける
「ひどない 二人とも ひどいわ」
とその日は千尋の横で眠らせてくれた
泣いてる声が聞こえる 千尋?違うもっと子供の声や
だれや
『どうしたの何がそんなに悲しいの』子供に声をかけてる人がいてる
ああ よかった
なぜかすごくホッとした
『大丈夫よ 安心して 何も怖くない 私たちが守ってあげる 静』
さきさんが小さな俺を抱きしめてくれてた
夢か 目が覚めた
台所に行く
さきさんと智子さんが朝の支度をしていた
「手伝うわ」
「あら おはよう チィ君は?」
「まだ寝てる」
「そう」
「じゃあお願いね」と卵焼きを任される
「昔からボンは卵焼き上手でしたもんね それに大好きでしたね」と智子さんが言う
「ここに来た時 初めて食べさしてもらったからかな
うまかったし 自分で作りたいと思ったしな」
「覚えてるの?」
「ああ 覚えてる さきさんが作ってくれて ここで食べた」
「あなたは 「ホンマに食べでいい ほんまにほんまに」て何回も聞いて
おいしいおいっしいって食べてくれて」
「ホンマにおいしかったし」
もくもくと卵焼きを焼く
「なぁ ありがとうな」
「どうしたの急に 変な物でも食べたの?」
「俺がもらったもん 千尋に教えてあげたらいいって言ってくれたやん
それをずっと考えてた 大きすぎて教えきれるかなってなった
そんなん考えてたら ありがとうしかなくて だから
ありがとう 母さん」
「…‥‥もう 朝から何を言ってるの早く手動かして 皆起きてくるでしょ」
「はいはい」
卵焼きを焼いた
部屋に朝食を運ぶ
「千尋 起きて ごはん食べよう」
千尋に声をかける
「セイ?」
「そうやで ご飯食べれそう?」
千尋が手を伸ばしてくる
「セイだ 夢でもいい 帰ってきてくれたらうれしい」
手を首に回され ほっぺにキスされた
「夢ちゃうよ ほんもんやで」とキスし返したら
みるみる間に顔が真っ赤になっていった
「ごめんな 怖い思いさせて」
いつもより少ない量やけど ちゃんと食べてくれてことにホッとして
千尋に言った
千尋は首を振る
「話聞くって 千尋に無理させへんって言いながら
俺が一番アカン奴になってた ごめんな」
「セイと一緒に寝よって言われた時 うれしかったけど
ちょっと怖かった
セイとそういう事するんかなと思ったら うれしいけど ちょっと怖かった」
「俺が怖い?」
「ちがうセイが怖いんじゃなくて その行為が怖い」
千尋が震えているのがわかる 横に座って肩を抱いてやる
「怖がらせてごめん わかってなくてごめん」
「セイが悪いんじゃない 俺のことだから」
「それは違う 二人の事やのに 俺が千尋の気持ち考えてなかったからアカンねん」
「俺の気持ち?」
「そう 千尋が怖いって言ってたのに 俺は千尋の事抱きたくて
それだけしか考えられへんようになって ごめんな」
「こんな俺なのに 抱きたいの?」
「当たり前やん」ぎゅっと抱きしめる
「傷だらけで火傷とかあるし ガリガリで鶏ガラみたいだし 汚いよ 俺
いっぱい男に抱かれたし 汚い事もされたよ 一晩で何人も相手したことあるし
何人も相手したよ 俺は 俺は」
「何回も言うてるやん 千尋の事が好きやって
傷だらけで一生懸命に生きてきた千尋の事が好きやねんけど
その姿がきれいで 汚いなんて一回も思ったことないんやけど」
「でも でも」まだ震えが止まらない
「昔の事忘れてしまうぐらい 幸せになろう 二人で
過去は変えられへんけど 千尋のつらいかったことは変えられへんけど
それを超えるぐらい幸せになろう 一緒に」震えてる手を包む
「俺 幸せになれる?なってもいいの?」と千尋が聞く
「なれる なってもいいに決まってる
その時に横にいてるのが俺やったらもっと嬉しい」
「いつか二人で気持ちいいことできるようになろうな」
と小指を出す
震えの止まった千尋も小指を出してくれる
「幸せになりたい それで いつか セイと気持ちいい事できるようになりたい」
「約束な」
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