静と千尋

うー吉

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千尋6

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仕事に復帰して 金曜日
朝から少し体が重い これぐらいなら大丈夫 前はもっとしんどかった
それにこれ以上休む訳にはいかない 今日さえ乗り切れば 
「チィ君起きてる」さきさんが呼んでいる
「はーい 起きてます 今行きます」
この家の人たちはみんな勘が鋭い 少しの体調の悪さも見抜かれてしまう
バレないようにしないと 仕事に行かせてもらえない

「おはようございます」
「はい おはよう」さきさんが返事してくれる
正さんは 朝の新聞タイムで
優希さんは さきさんの手伝いをしている 
「おはよ」と龍之介さんがあくびをしながら食卓に着いた
「おはよございます」
「ん あっ チィ 今日送ってやろうか 仕事で近くに行くんだ
時間大丈夫だよな?」
朝ごはんを龍之介さんの前に置いた優希さんに聞く
「大丈夫ですよ」と優希さんも席に着く
「はい チィ君」とさきさんが俺の朝ごはんを持ってきてくれた
「ありがとうございます」
「「「いただきます」」」
朝昼版 きちんと温かいご飯が出てくる
俺には体の事を考えてくれている食事 食事療法も大事だからねと幸之助さんに言われた
さきさんと住み込みの人の世話をしてる智子さんが 俺のために作ってくれてる食事
でも 今日は 食欲がない
「チィ君 今日は無理?」箸の進まない俺を見て さきさんが言う
「ごめんなさい」と箸を置く
「大丈夫? 食欲がないだけ?」
「はい 準備してきますね」と席を立つ
少し視線が痛いけど 無視をする

「もう あまり無理しなかったらいいけど」と
「ほんとだね まぁ車で様子見とくよ あんまりしんどそうだったらそのまま休ませる」
「お願いね セイにも連絡しといた方がいいかしら」
「そうですね 今日は外回りで夕方まで戻らない とはおっしゃてましたけど」
「連絡がなかったって絶対怒る」
「連絡入れておくわ あなたたちも用意しなさい」

車で会社まで送ってもらう
川越の家から会社まで一時間 車も同じぐらい
今日の体調を考えれば 車の方が助かる
「お願いします」と車に乗る
龍之介さんと優希さんの会話を聞きながら 外の景色を眺めている
そのまま眠ってしまったみたいだ

「チィ 起きろ 着いた」
「あっはい ありがとうございます」急いで車を降りようとする
「お前大丈夫か?」龍之介さんに聞かれる
「大丈夫です ありがとうございました」と車のドアを閉めた
とりあえず 今日一日乗り越えれば何とかなる と自分に言い聞かせて
会社へ向かう
「あれ 今日持つかな」
「持つでしょ ただ無理しすぎってみんなに怒られると思いますけどね」
「だよな」
ピロンと携帯の音が鳴る
「もうふたり怒る奴が増えましたよ」と携帯の画面を見せてきた
「ほんとだ」
『今日夜はそっちに帰るから ご飯よろしく』と幸之助からの連絡だった


定時までは何とかなったけど
熱が上がってきてる 寒気がする
それよりも 気分が悪くてお腹が痛い
電車に乗って帰るのはちょっと無理だな どうしよう
セイさんに連絡した方がいいのかな でも仕事中だったら 面倒かけちゃうな
【面倒かけんじゃねぇ さっさとしろ】あいつの声が聞こえる
やだ また あそこに戻される 逃げなきゃ
フロアの奥 小さな扉が目に入る 隠れなきゃ 入って行った
階段に腰を下ろす 見つかったらどうしよう 
怖いよ 怖いよ 
電話が鳴った
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