静と千尋

うー吉

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龍之介1

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セイからの話を聞いて 横で聞いていた優希と一緒に 山崎千尋の家に行く
「まだこんなアパートあるんですね」
玄関を開ける 
何にもない ないわけじゃないけど ない
人が暮らしている気配がないんだ この部屋
「寂しい部屋だな」
「はい」
こんな部屋で体売らされて 金巻き上げられて
毎日暮らしている
冷蔵庫を開けてみる
「そらそうか」案の定空っぽ 食料品もない
奥の部屋に布団がある 乱れたままの布団
シーツの所々に血がついている
一つしかない窓 ガラスが割れて 辺りには血がついているところもある よく見れば血が畳にもあった
「優希 窓ガラスと畳の手配 それと‥
あっやっぱりいいや セイに言って引っ越しさせよう」
「それがいいですね こんな寒い部屋ではね」
若い者を呼んで 家にあるものを詰めさせる
「若 終わりました」と若いヤツが持ってきたのは 段ボール1つ 
なんだかやりきれなくて その段ボールを見つめていた
「若 誰か来ます」
見張りに立たせていた者から連絡が入る
「どうしますか?」
「ゆっくり話聞きたいから ウチに来てもらおうか」
「はい では」
優希をはじめ数人いた者の気配が消える
俺もその場から消えた

セイに連絡をする
「実家に来れるか?」
「今日の遅くなら大丈夫」少し疲れた声をしていた
実家の居間に 正さん さきさん 俺と優希さん
優希が
「千尋君について わかったことだけど
搾取してたのは父親 千尋君が小学校へ上がるぐらいまでは
父親がいて母親がいる普通の家だったようですが
千尋君が学校へ行きだして 母親がパートに行った先で不倫をして家を出て行ったようで
それから父親の暴力 搾取が始まったようです
「どうやって 小学生から搾取するんだ」
正さんが聞く
「ウリをさせていたようです」
「働くようになってからは 給料をすべて取り上げて生活させていたようです」
「どうやって生活するの すべて取られてたんでしょ」
「父親が言うには 3万渡していたし携帯代も払っていたので搾取ではないと
高校も卒業させたと言い張ってます 
が家賃などはその三万から払っていたようで どうやって生活していたのかと
それと 体の傷ですが これは父親によるものと あとお客ですね」
「で その親父 再婚してんだ」人として腐っている
「えっ どうゆう事」
「千尋君の母親とはとっくの昔に分かれてて とっくの昔に再婚してる」
子供もいるよ と付け足しておく
ゆらりと立ち上がる セイが見えた
「そいつ今どこにおるん」
「落ち着け セイ」
ギロリと睨まれる
ほんとコイツ怒ると手つけられないからなぁ
血引いてないのに ウチの血1番出てると思う ため息がでる
優希に目くばせをする 若い奴何人やられるかなと考える
「お前が 汚れる必要ないだろう あれぐらいのやつなら ウチの若いやつの練習台にピッタリだ」
「あぁぁリュウ兄 なんで若い奴にやらさなあかんの 俺がやる はよ場所教えてや」
だめだ こいつに今何を言っても通じない
「コレは決定だ お前は千尋くんのそばにいたらいいんだよ」
「なんでやねん 俺がやるいうてるやろ はよ教えろや」
コウんな状態の奴に仕事はさせられない
「セイ 少し落ち着け 今のお前はダメだよ」
と優希も言われてる
「なんでや 俺が川越の子違うからか」
そう言った瞬間に 横から思いっきり殴られた
吹っ飛ぶ体を 受け止める
「何するねん」とセイが立ち上がる
今度は思いっきり胸ぐらを掴まれる
上げている手が見えた 震えていた
「ごめん 言いすぎた」
親父がセイの胸ぐらから手を離す
「頭冷やして 出直してこい」とそのまま部屋を出て行った

「バカだね お前は」優希が口元の血を拭いている 横で俺が言う
「ごめん ついカッてなって」
「オヤジとおふくろ泣いてるかもね」
親父の手が震えていた
スクッと立ち上がる セイ
「謝ってくる ごめんって言うてくるわ」
「そうだね それがいいと思うよ」
「ごめん にいちゃん 後はにいちゃんに任せる」
いつものセイだ
「ん」
「ありがとう」と部屋を出て行った
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