エディとルカ

うー吉

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エディとルカ 10

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寒い板張りのベットでもない 冷たい石の上でもない
ふかふかであたたかい
それよりももっとあたたかい 手
誰かが手を握ってくれてる あたたかい
「・・・・ルカ わかるか?」と見えたのは エディの顔だった
「・・・」
エディは手を握ったまま泣いていた

「・・・ここ・・・は・・どこ」とルカの声が聞けたのは
ナレンの国から帰ってきて 月が替わろうとしていたころだった

「ほんとに危なかったんだぞ 何度も心臓止まりかけるし
心配した 無茶ばっかりする 何で大人しくここで待っててくれなかった」
エディが怒ってる
「はい ごめんなさい」
「ほんとに心配した」エディがルカの頬を撫でる
「手 握ってくれてたの ずっと」
「ああ」
「ごめんなさい」
「もう いいよ 帰ってきてくれたから 元気になる事だけを考えよ」
フルフルと頭を振る ルカ
「ちゃんと 聞きたい どうなったか」

全部話した
王が自害したことも 皇太子が行方不明な事も
そして ナレンの国が少しづづ歩き始めていることを

「ありがとうございます」
そして
「私にも罰を与えてくれませんか」と言った
「なぜ?」
「私も王族です 国民を苦しめました その罪は償わなければいけません」
「腕を斬ってまで止めようとしたんだぞ それ以上の罰なんてあるものか」
「結局止めれなかった」
「それは・・・」
「止めれなければ同じです 腕をかけようが命をかけようが
エディも見たでしょ ナレンの国で 
何人もの人が 道端で倒れて亡くなっていたの 
食べるものがなくて 草の根っこまで食べてるんだ 泥水をすくって飲んでるんだ
病気になっても ケガをしても だれも助けてくれない
ちがう 助けたくても助けられないんだ だって明日は自分がそうなるかもしれないって
思うから 小さい子が苦しんで苦しんで死んでいくんだ 何人も何人も
助けてって小さい手を伸ばすのに だれも助けてあげれないんだ」
「ルカ」体を抱きしめてやる
「ルカ ルカ」腕に力を込める
「エディ どうして俺は生きてるの?こんなに苦しいのに 
どうして生きてなきゃいけないの?」
と静かにルカが言う
「死なせてほしい」
とポツリと言った

その日の晩は なんとなく帰る気になれなくて
ルカの顔を見ていた
「そんなに見てたら ルカの顔に穴が開くぞ」とジャンが病室に入ってきた
ちょっとツラかせ と屋上に誘われた

ジャンのたばこの煙が空へと上がっていく

「ルカの体ボロボロなんだ 
たぶん小さい頃から あまり食べさせてもらえなかったのか 
体が食べること拒否してんだよ 
飯が食えない子供とか見ちまったもんだから もっと食えなくなってる 
内臓が働かないんだ
そこに あんな傷を負ったら 体がもたねーよ
足も元には戻らない 立てるようになるか 歩けるようになるか
わからない
背中の傷も深くてな 
傷がふさがっても体がどこまで動くようになるかわからん」
「ルカが罰を与えてほしいって
死なせてほしいって言うんだ だれも助けられなかったから
苦しいって だから 死にたいって 生きてるのが苦しいって
でも俺は ルカに生きててほしい 
歩けなくたっていい 少しでも食べれるようになってくれたらいいし
体があまり動かなくても 俺がいろんなところ連れてくからいい
おんぶでも抱っこでもなんでもするから 生きててほしい」
「生きてくことがつらいなら
それが罰だと思えばいい 生きることが死ぬよりツライかもしれないなぁ」
ジャンとエディの吐いたタバコの煙が空へと上がって行った 
 
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