ハジメテノ

四百文寺 嘘築

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 家に着いた。


 とりあえずコンビニ買ったあれこれを冷蔵庫や戸棚にしまっている間、僕の部屋で遥を待たせる。


 袋の底に残ったゴムの箱が、僕を静かに見つめた。


 ごくりと生唾を飲み込み、それをまるで万引き犯のように素早く取り出してポケットへしまう。
 鼓動は依然として暴れつづける。


 2つのガラス製のコップにコーラをついでに、お菓子と共に盆に乗せていざ僕の部屋へ。


 僕の部屋は2階の北側にあるので、日中も薄暗い。そのことを伝え忘れていたので、必要以上のことをしたがらない遥のことだから、きっと電気はつけていないだろう。なんて考えながら、ゆっくりと1段ずつ階段を登っていく。

 大人の階段登る。なんていう有名な歌の歌詞を思い出しながら1人でにやけてしまう。


 部屋の扉を開けて中へはいると、遥は正座して僕の勉強机の正面の壁にかけてあるコルクボードを見ていた。

 遥と僕は幼なじみだ。

 コルクボードには幼稚園の頃からの僕の思い出の写真が飾ってあり、その殆どには彼女がいた。


 てっきり断られるだろうと思って告白したのが4ヶ月前、遥が泣き出してしまうから玉砕を覚悟したがまさかのOK。
 あの時は舞い上がったものだ。

 まあ、今もかなり舞い上がっているわけだけど。


「お菓子とコーラ、ここ置くよ」


 コルクボードに夢中でどうやら僕に気がついていないらしい遥にそう言って、僕も彼女の隣に座ってコルクボードを見た。


「色んなことがあったね」


 遥がそんなことを言った。
 その声はなんだか湿っぽい。


「そうだね。これからもいろんなことしよう」


「……バカ」


 唐突な罵倒に驚いて遥の方を見ると、彼女は顔を赤くして、こちらを睨みつけていた。

 大方、「いろんな」の部分に含みでも感じたのかもしれない。
 実はむっつりスケベなのは知っていたので、今更驚かないけど。


「そう意味じゃないって」


「ほんとかなぁ」


「「ふふっ」」


 2人揃って笑ってしまった。




「ねえ、そろそろいいかな?」


 ここは男の僕からと思い、笑いが収まったタイミングで切り出す。


 遥は顔をいっそう赤くして無言でコクリと頷いた。


 そんな可愛い反応にたまらず抱きしめ、キスをする。

 快感のせいで無意識のうちに、2人とも立ち上がってしまう。


 ファーストキスの時のような優しいものじゃない。

 互いの舌で互いの舌を籠絡ろうらくせんとするような、いやらしいキス。


 たちまち頭が惚けて他のことが考えられなくなる。


 この世界に僕ら2人だけしかいないようなそんな気持ちになった。


 歯が当たらないように細心の注意をはらいながらも、僕達は必死に舌を求め合った。

 ヌチャ、ヌチュ、ジュルルといやらしい音が僕の部屋に響く。


 自分の陰茎に血が集中していくのを感じる。
 僕はたちまち最高潮に勃起した。


 しばらくそうしていると、遥が不意に顔を離す。


 そのまま無言で僕のズボンに手をやり、そのままずり下ろしていく。

 僕はなんの声掛けも仕草も出来ず、ただされるがままその時を待った。


 パンツが下ろされて、僕の陰茎がボロンと音を立てる錯覚すら起こしながら、彼女の眼前に姿を現す。


 彼女はその匂いを嗅ぎ、うっとりするような表情をする。


 いざ、遥の口が僕の性器に触れんとするその直前に、何かを思い出したかのように彼女は制服のポケットを右手で探る。

 僕はお預けをくらった形になり、局部を露出したまましばらく待たされる。少し惨めな気持ちなった。


 ポケットから取り出したのは、学校の指定通りの面白みのない黒無地のヘアゴムだった。

 それで手馴れた風に髪をくくって、ポニーテールを作る。


 そんな仕草にどきりして、さらに陰茎に血液が流れていく。



 彼女は何かを決心したように、一思いに僕の熱くなった棒を咥えた。


 途端、未知の快感が脊髄を通って脳へ登る。
 自分の手や、オナニー玩具なんか比にならない。


 先程僕の舌を絡め取っていた舌が、僕の陰茎から子種を搾り取らんという勢いでヌルヌルと駆け回る。

 ぎこちない動きが興奮を加速させる。


 加減を知らないのか、もはや前戯などとは呼べないレベルの激しさで行われる口淫に、僕の精巣はたまらず射精感を訴えた。


「やばいっ……。このままだと出ちゃうよ……」


 僕の訴えを無視して、彼女は貪るように口を動かし続ける。


 ジュルジュルと先程のキス音と似ているが、明らかに数段いやらしい水音と共に、僕の本能が肉体を射精へと導いていく。


 彼女の口を汚す訳にはいかないと全力で我慢するが、限界はもうすぐそこまで来ていた。


 盃になみなみ注がれたがゆらゆらと盃ごとゆらされるように、限界の波が周期的に襲ってくる。

 依然として彼女は休めることなく唇で、口腔で、舌で、吐息で僕の陰部を責め立てる。


 ふと脱力感が訪れ、次の瞬間僕は無様にも彼女の口へと子種をぶちまけた。



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