上 下
169 / 177
2章英雄と龍魔王

ドラグロワの森林

しおりを挟む
 ドラグロワの森林の大洞窟。
 その洞窟は暗く、冷たい。
 地下内で創り出された、蟻の巣穴のような大迷宮の洞窟。
 入口は巨大なブラックホールのような見た目で、一度入ったら、元には戻れないだろうことを示す。
 場面は急転し、ドラグロワの最深部を映し出す。
 洞窟にあるとは想像が出来ない程のマグマの海が広がっていた。
 沸々と煮えたぎる禍々しい赤黒の塊が、相互に飲み込んだり飲み込まれたりし合っている。
 そして、互いに衝突し、大きなマグマの波が構築された時、龍魔王の恐ろしい怒りの声が反響する。
 マグマの海の中央の円柱の頂上に平伏す四体の龍族の幹部と激怒する龍魔王がいるのだ。
 だが、マグマが今度は一斉にマグマの渦となり、天井まで吹き出し、中の様子を窺うことはできない。

「何だと!」

「も、もしわけございません。魔王様……」

「あれほど警戒しろと言ったはずだ! もしものことがあったら、どうする気だ? 責任はとれんのかぁぁぁ!」

「いえ、あの、いえええ」

「あのじゃねぇよ……はっきりしろや!」

「えええ、あのですね」
 
「何言ってんだよベビ助!」

「あのぉぉぉ……もも……」

「魔王様お待ち下さい。我々幹部にグラード王国の英雄……以下騎士の殲滅を御命令頂ければ、即実行し、あの方の無事が高まります」

「ぁあ? 高まるだと? ワシはできるかできないか言ってるんだ? ウルボロス言葉遣いを良く気つけろ?」

「はっ、申し訳ございません。必ずあの方の無事が約束されるでしょう」

「ふんっ……突っ立てねぇで早く行けよ雑魚」

「はっ」

「ぼくには無理だよぉぉぉぉ……あーんんんん」

「泣いてんじゃねぇーよぉぉぉぉベビ助!」

「え、ええ、すすすいません」

「早く行けぇぇぇぇ!!!!」

 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

どうぞ二人の愛を貫いてください。悪役令嬢の私は一抜けしますね。

kana
恋愛
私の目の前でブルブルと震えている、愛らく庇護欲をそそる令嬢の名前を呼んだ瞬間、頭の中でパチパチと火花が散ったかと思えば、突然前世の記憶が流れ込んできた。 前世で読んだ小説の登場人物に転生しちゃっていることに気付いたメイジェーン。 やばい!やばい!やばい! 確かに私の婚約者である王太子と親しすぎる男爵令嬢に物申したところで問題にはならないだろう。 だが!小説の中で悪役令嬢である私はここのままで行くと断罪されてしまう。 前世の記憶を思い出したことで冷静になると、私の努力も認めない、見向きもしない、笑顔も見せない、そして不貞を犯す⋯⋯そんな婚約者なら要らないよね! うんうん! 要らない!要らない! さっさと婚約解消して2人を応援するよ! だから私に遠慮なく愛を貫いてくださいね。 ※気を付けているのですが誤字脱字が多いです。長い目で見守ってください。

家に住み着いている妖精に愚痴ったら、国が滅びました

猿喰 森繁
ファンタジー
【書籍化決定しました!】 11月中旬刊行予定です。 これも多くの方が、お気に入り登録してくださったおかげです ありがとうございます。 【あらすじ】 精霊の加護なくして魔法は使えない。 私は、生まれながらにして、加護を受けることが出来なかった。 加護なしは、周りに不幸をもたらすと言われ、家族だけでなく、使用人たちからも虐げられていた。 王子からも婚約を破棄されてしまい、これからどうしたらいいのか、友人の屋敷妖精に愚痴ったら、隣の国に知り合いがいるということで、私は夜逃げをすることにした。 まさか、屋敷妖精の一声で、精霊の信頼がなくなり、国が滅ぶことになるとは、思いもしなかった。

そして愛は突然に

志波 連
ファンタジー
ゴールディ王国第二王子アルバートの婚約者であったローズ・ブラッド侯爵令嬢が、交易拡大の条件の一つとして隣国に嫁ぐことが決まった。 優秀ではあるが、側妃腹である第一王子との次期王争いのため、第二王子アルバートの婚約者を急いで決めたい生母である王妃の策略により、家格的に見合う未婚女性としてブロン侯爵家の長女シェリーが選ばれる。 シェリーにはイーサンというシルバー伯爵家嫡男という婚約者があり、半年後には結婚する予定だったにも関わらず、王妃の願いにより王命という形で、第二王子との結婚を押し付けられてしまう。 愛し合うシェリーとイーサンは泣いて抵抗するが、騎士として王宮に勤めていたイーサンに辺境の戦地へ送られてしまった。 シェリーの輿入れ準備が進む中、イーサンが戦闘中に死亡したという情報がもたらされた。 全てを諦めたシェリーは第二王子妃となり、王子妃業務に忙しい毎日を受け入れた。 ある日、隣国皇太子と離婚したローズもいつの間にか戻っており、アルバートと逢瀬を重ねているという。 その後、あれほど愛していたイーサンが生きていることを知ったシェリーは激しく動揺するのだった。 R指定は保険です 小説家になろうおよびカクヨムでも公開しています

転生者G-転生前はゴキブリでした-

軒下のら
ファンタジー
 -転生前はゴキブリでした。人間は嫌いです、すぐ踏み潰そうとするから。前代未聞にして笑劇の異世界ダークブラウン・ファンタジー!続編ご希望の方はお気に入り登録(ポチッ)お願いします。

グーダラ王子の勘違い救国記~好き勝手にやっていたら世界を救っていたそうです~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
ある日、ティルナグ王国の自堕落王子として有名なエルクは国王である父から辺境へ追放を言い渡される。 その後、準備もせずに木の上で昼寝をしていると、あやまって木から落ちてしまう。 そして目を覚ますと……前世の記憶を蘇らせていた。 これは自堕落に過ごしていた第二王子が、記憶を甦らせたことによって、様々な勘違いをされていく物語である。 その勘違いは種族間の蟠りを消していき、人々を幸せにしていくのだった。

処理中です...