転生したらダンジョン雲になった訳

2章英雄と龍魔王

b

　そして、龍魔王征伐の式典の行事を速やかに遂行していくと、門前の言い争う声がする。
　白い円柱の頂上にも聞こえる声だ。
　英雄達は何事かと顔を見合わせる。　
　すると、珍しいことにいち早く反応し、円柱から姿を消したイリス。
　戦闘以外で普段他人には見せないようなそのイリスの気迫さに驚く、英雄達。

　　　　　　　　　　＊
　門前では銀色の防具の数人の騎士と白金の民族衣装に身を包んだ商人が揉み合いとなり、そこに白い防具を纏った巨人が仲裁に入る構図。
　一目散に、イリスは細い声で、制止する。

「やめて」

　すると、その声とイリスの姿を目にした騎士は目を見張り、敬礼した後、状況を報告する。

「この怪しげな者達が屋敷内に侵入していましたので、取り押さえていた次第です」

「この人達は私の友人よ」

「はっ……これは失礼しました」

　騎士達はハッと驚き、フレッドを解放する。
　フレッドは乱れた髪と服を整え、息を切らし、怒りを露わにする。

「だから言っただろうが！　イリスちゃんの友人だって！　本当ふざけんじゃねーよ。いや、怒りがおさまらないね。何発か殴らせろよ」

「す……すいません」

　アタマカラは溜め息をつき、頭を抑え、フレッドを宥める。

「謝っているんだし、もういいじゃないか？」

「やだね」

　フレッドは頑なに首を振る。
　そして、イリスが騎士達にここから立ち去ることを命じる。

「屋敷内の警護に当たりなさい」

「はっ」

「あっ！　待ってこらぁぁ！」

　フレッドは一目散に逃げる騎士に石ころを投げつけるが、変な方向に行ってしまう。

「あっ……くそっ」