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2章英雄と龍魔王
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だが、そんな説明をしている場合ではない。
イリスの真上には目の無い、だだピンク色の無数の口が食事の餌の時間となっていた。
アタマカラは咄嗟に剣に触るが、イリスの冷静な声で思い留まる。
「大丈夫……これなら一気に倒せる」
イリスの銀髪は乱れ、妖艶な姿態から強力な磁場が発生し、激しい頭痛を生じさせ、平衡感覚を無くし、聴覚を完全に破壊し、細い銀剣から連続で投げ打つのは炎の弾丸。
その炎の弾丸は無数の豚の口に入り、一瞬で炎に包まれた豚が発生し、大規模な炎の渦となり、空へ舞い上がり、こんがり焼き豚になったところを見計らい、水流弾で消化した。
正確で、綺麗な魔法の技だった。
こばしい焼き豚の匂いと煙が辺りに充満する。
こんな神業の所行を披露した後だというのにイリスは何食わぬ顔で、振り返り、呟く。
「美味しそうだね」
強い風が吹き荒れ、銀髪を抑える彼女はとても、美しく強かった。
「何が美しいだぁよ!」
横で、納得が言ってない様子で、怒りを露わにするのはフレッド。
「こんがり豚焼きじゃないか」
「これじゃ売り物になれないだろうがぁ! 商人は売らなきゃ金貰えないんだぞ」
「呆れる奴だな……さっきまで面倒くさがってたくせに」
アタマカラが白い両眼でそう文句を言うと、フレッドは胸を叩いて、主張する。
「僕だってな……これでも商売人の血を引いてるんだ……こんな損失黙ってられないんだ!」
「けれど、もう魔獣化になってたし、あれはあーするしかないだろ」
「全然、アタマは商売を分かってないね。捕獲なりなんなりにし、魔獣化を止める薬を飲ませるんだ! そんなの常識なんだ!」
「そうか」
あまりの剣幕さにアタマカラは苦笑いをするしかない。
追い討ちを掛けるように、イリスがこんがり豚焼きの毟り取って、食べ、薄い笑みで、
「おいしい」
「それは僕の肉だぁぁぁぁぁ! 食べるんじゃないぞぉぉぉ!」
イリスの真上には目の無い、だだピンク色の無数の口が食事の餌の時間となっていた。
アタマカラは咄嗟に剣に触るが、イリスの冷静な声で思い留まる。
「大丈夫……これなら一気に倒せる」
イリスの銀髪は乱れ、妖艶な姿態から強力な磁場が発生し、激しい頭痛を生じさせ、平衡感覚を無くし、聴覚を完全に破壊し、細い銀剣から連続で投げ打つのは炎の弾丸。
その炎の弾丸は無数の豚の口に入り、一瞬で炎に包まれた豚が発生し、大規模な炎の渦となり、空へ舞い上がり、こんがり焼き豚になったところを見計らい、水流弾で消化した。
正確で、綺麗な魔法の技だった。
こばしい焼き豚の匂いと煙が辺りに充満する。
こんな神業の所行を披露した後だというのにイリスは何食わぬ顔で、振り返り、呟く。
「美味しそうだね」
強い風が吹き荒れ、銀髪を抑える彼女はとても、美しく強かった。
「何が美しいだぁよ!」
横で、納得が言ってない様子で、怒りを露わにするのはフレッド。
「こんがり豚焼きじゃないか」
「これじゃ売り物になれないだろうがぁ! 商人は売らなきゃ金貰えないんだぞ」
「呆れる奴だな……さっきまで面倒くさがってたくせに」
アタマカラが白い両眼でそう文句を言うと、フレッドは胸を叩いて、主張する。
「僕だってな……これでも商売人の血を引いてるんだ……こんな損失黙ってられないんだ!」
「けれど、もう魔獣化になってたし、あれはあーするしかないだろ」
「全然、アタマは商売を分かってないね。捕獲なりなんなりにし、魔獣化を止める薬を飲ませるんだ! そんなの常識なんだ!」
「そうか」
あまりの剣幕さにアタマカラは苦笑いをするしかない。
追い討ちを掛けるように、イリスがこんがり豚焼きの毟り取って、食べ、薄い笑みで、
「おいしい」
「それは僕の肉だぁぁぁぁぁ! 食べるんじゃないぞぉぉぉ!」
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