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2章英雄と龍魔王

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「さっきも豚小屋に行くって話はしたけど、問題はその道程さ。うちの豚小屋はドラグロワの森林の近くにあってさ、最近そこで、ドラグロワの魔獣が出没するらしいから、その護衛を君達にはしてもらいたい。さあ、つべこべ言ってるもあれだし、行こうぜ」

 フレッドは勝手に馬車の先導に乗り込み、出発をしようと、動き出す。
 慌てて、アタマカラ達も他の馬車の先導に乗り込んだ。
 道程は一直線に進み、坂を下ったり、上がったりと高低差があり、ガタガタと酔ってしまうくらいに揺れ、乗り心地は悪い。
 一方、隣で前をずっと見据える、銀髪の美女は全く動じてはない。
 きっと、この程度は平気なのだろうか。
 アタマカラの視線が気になったのか、こちらに首を傾げ、紅の両眼を向ける。

「どうしたの?」

「あっ、いや。そういえば、イリスは英雄なのか?」

「うん。グラード王国七英雄団の四英雄の称号を、授かっている。あまり、声を大にして言いたくはないけど、それなりに重要な仕事」

「イリスは凄い奴なんだ」

 アタマカラは感嘆の声を漏らすと、イリスは察して慌てて、首を振りながら、

「あなたを……下に見るとか、そういうのじゃないから」

「そっか」

「うん」

「あっ、そうだ。聞きそびれたけどさ、何で俺をパートナーに選んだんだ? 凄い英雄なら最も強い奴を相棒にするだろ?」

 その問い掛けに、押し黙るイリス。
 そして、顔を上げ、美しい表情で、返答する。

「私にも分からない……ただ、あなたとなら楽に過ごせると思ったから」

「へぇ……そっか」

 アタマカラはどう返していいか分からず軽く頷く。
 そのイリスの告白はどう取っていいかは分からない。
 さすがに、二日共にしただけで、愛の告白をするのはおかしい。
 告白の通りにただ気が合っただけなのかもしれない。
 そして、一時間を経過した後、ドラグロワの森林の入口へと到着した。
 

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