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1章魔獣になりましょう

97話逃げたい

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 その驚愕の光景を目にしたアタマカラは地に這いつくばりながら、必死に下山を試みる。
 もう、どうだっていい。
 銃羊がどうだとか、玄奘の野望がどうだとかそんなことはどうだっていい。
 早くこの恐怖から逃げたい。逃げたい。
 もう嫌だ。もう嫌だ。
 早く、この残酷な夢から醒めて、元の世界に帰りたい。

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 しかし、急に鼻からツーンとした濃度の高いアルコールの匂いが刺激し、脳が酩酊状態となり、視界が左右に揺れる。
 次の瞬間、視界がガクッと小刻みに揺れ、暗転する。
 それもそのはず、いつの間にか背後にいた酒鬼がアタマカラの頭を鷲掴みにし、通常の魔獣よりは重い体のアタマカラを軽々を持ち上げたのだ。
 
「待てよ! モクモク……逃げられると思ってんのかぁ? クカカッカッカッカッ」
 
 頭が割れそうになるくらい激しい痛みとみしみしと圧力を掛ける音。
 アタマカラは震える声と、涙を流し、鼻水を垂らし、無様に命乞いをする。

「や、やめてくれ!! もうどうだっていいんだ! 馬鹿げた鬼団のボスの暗殺なんてしない! カイザーなんてどうだっていいからぁぁぁぁ!!」

「クカカカカカカ……ぁあ?」

「羊か? 羊なんだろ? あああいつなら風谷村に逃げたはずだ。あいつらを殺せよ!!」

「良く分かったぜ。お前がとことんクズだってことはな……」
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