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1章魔獣になりましょう
93話虎帝との対決
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アタマカラはここまで来たら出し惜しみをしている場合ではないことに今更ながら、気づいた。
体内に力を込め、集中し、大寒波のスキルを発動させる。
瞬く間に、周囲は冷たい霧と相乗して、大吹雪となる。
大量の魔力を消費し、体力が消耗しているのが気にかかるが、これならば確実に相手を苦しめることができる。
予想通りに虎帝があまりの寒さに身体が震撼し、ハンマーの取手が徐々に凍っている様を見て、大きな両眼を泳がしている。
駄目だと判断した虎帝は無理矢理にハンマーの取手を折り曲げ、捨てた。
虎帝は鬣を揺らし、得意げな表情をする。
「さて、準備いいか? 行くぞ!」
アタマカラは痛みをこらえながら、立ち上がり、右手を伸ばし、大寒波の最大出力の一線で、あの巨大竜巻に対抗しようとする。
次の瞬間、虎帝の雄叫びと共に、巨大竜巻が振り下ろされ、地面の土を地割れをさせながら、進行し、途中から威力は増して、周囲の木々の根元まで、引っこ抜いて、宙返りを繰り返しながら、飛んでいく。
一方、大寒波の吹雪は雲人間の怪物を構築した。巨大な氷の化身。
巨大な白い右手を振り上げる。
同時に舞い散る氷のダイヤモンドはとても美しい。
そして、両者の必殺技の異常な轟音が鳴り響き、周囲の木々は跡形もなく、吹き飛ばされ、無くなる。
辺りには誰もいないことが幸いだった。
自身が放った技にも関わらず、あまりの恐ろしさに虎帝は目を見張り、後退る。
一方、アタマカラは苦しみの表情で、相手が息絶えることを切に願った。
その瞬間、光が放たれ、激突する爆音が鳴り響き、激しい風が吹いた。
なびく黒煙はどちらが勝利したのかをまだ教えてはくれない。
だが、一方が黒煙をぶち破り、距離を詰めた。
その瞬間、身体中に重傷とも言える、無数の傷をしたアタマカラが立とうするが、前のめりに倒れた。
「あ……」
一方、虎帝は右半分は凍傷で全く使い物にならなく、その皮膚や器官における機能は停止していた、その死を絶する痛さに耐えながら、立ち尽くしていた。
生きているのが奇妙というか、不可思議であり、死ぬ間際の異常を喫しているというのが適切だろうか。
もしかしたら、こうして立ち上がれるのは魔獣としての生命力がそうさせているのだろう。
あるいは、一時は魔獣の頂点に君臨していた虎一族があった。
絶対に他人の前で、平伏した無様な姿を見せたくないというプライドが彼を立たせているのではないか。
もしかしたら、魔獣も人間と同様に感情の生き物なのかもしれない。
皆感情を持って日々を一生懸命に生きている。家族や親友を作り、喜怒哀楽のままに生きている。
虎帝は苦し紛れに笑い、気持ちを吐露する。
「四鬼にならなければ……」
その声にはもう一度一族を絶対に再起をさせるという強い意志が感じられた。
彼にとって、四鬼になることが、虎一族の名誉を回復させることに繋がるのだろう。
だから、ここで終わる訳にはいかない。
そして、虎帝は魔力すら使い切った、ただの拳を振り下ろす。
「ガァァァァァァァァァァァ!!」
だが、その瞬間、銃弾が虎帝の心臓に二回撃ち込まれた。
短い爆音が鳴り響き、静寂が訪れた。
体内に力を込め、集中し、大寒波のスキルを発動させる。
瞬く間に、周囲は冷たい霧と相乗して、大吹雪となる。
大量の魔力を消費し、体力が消耗しているのが気にかかるが、これならば確実に相手を苦しめることができる。
予想通りに虎帝があまりの寒さに身体が震撼し、ハンマーの取手が徐々に凍っている様を見て、大きな両眼を泳がしている。
駄目だと判断した虎帝は無理矢理にハンマーの取手を折り曲げ、捨てた。
虎帝は鬣を揺らし、得意げな表情をする。
「さて、準備いいか? 行くぞ!」
アタマカラは痛みをこらえながら、立ち上がり、右手を伸ばし、大寒波の最大出力の一線で、あの巨大竜巻に対抗しようとする。
次の瞬間、虎帝の雄叫びと共に、巨大竜巻が振り下ろされ、地面の土を地割れをさせながら、進行し、途中から威力は増して、周囲の木々の根元まで、引っこ抜いて、宙返りを繰り返しながら、飛んでいく。
一方、大寒波の吹雪は雲人間の怪物を構築した。巨大な氷の化身。
巨大な白い右手を振り上げる。
同時に舞い散る氷のダイヤモンドはとても美しい。
そして、両者の必殺技の異常な轟音が鳴り響き、周囲の木々は跡形もなく、吹き飛ばされ、無くなる。
辺りには誰もいないことが幸いだった。
自身が放った技にも関わらず、あまりの恐ろしさに虎帝は目を見張り、後退る。
一方、アタマカラは苦しみの表情で、相手が息絶えることを切に願った。
その瞬間、光が放たれ、激突する爆音が鳴り響き、激しい風が吹いた。
なびく黒煙はどちらが勝利したのかをまだ教えてはくれない。
だが、一方が黒煙をぶち破り、距離を詰めた。
その瞬間、身体中に重傷とも言える、無数の傷をしたアタマカラが立とうするが、前のめりに倒れた。
「あ……」
一方、虎帝は右半分は凍傷で全く使い物にならなく、その皮膚や器官における機能は停止していた、その死を絶する痛さに耐えながら、立ち尽くしていた。
生きているのが奇妙というか、不可思議であり、死ぬ間際の異常を喫しているというのが適切だろうか。
もしかしたら、こうして立ち上がれるのは魔獣としての生命力がそうさせているのだろう。
あるいは、一時は魔獣の頂点に君臨していた虎一族があった。
絶対に他人の前で、平伏した無様な姿を見せたくないというプライドが彼を立たせているのではないか。
もしかしたら、魔獣も人間と同様に感情の生き物なのかもしれない。
皆感情を持って日々を一生懸命に生きている。家族や親友を作り、喜怒哀楽のままに生きている。
虎帝は苦し紛れに笑い、気持ちを吐露する。
「四鬼にならなければ……」
その声にはもう一度一族を絶対に再起をさせるという強い意志が感じられた。
彼にとって、四鬼になることが、虎一族の名誉を回復させることに繋がるのだろう。
だから、ここで終わる訳にはいかない。
そして、虎帝は魔力すら使い切った、ただの拳を振り下ろす。
「ガァァァァァァァァァァァ!!」
だが、その瞬間、銃弾が虎帝の心臓に二回撃ち込まれた。
短い爆音が鳴り響き、静寂が訪れた。
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