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1章魔獣になりましょう
92話炎の地蔵堂
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その頃、地蔵堂総本山では、龍族、豚族の鬼団下位部隊が地蔵数百体の抹殺を完了し、総本山の門や休憩所を炎や武器で破壊の限り尽くしていた。
嘲笑い、力があるにも関わらず下位部隊に追いやられた鬱憤を晴らすかのように破壊を繰り返し、炎を灯して、助けを求める子供の地蔵までも焼き尽くした。
女地蔵が甲高く叫び声を上げながら、逃げようものなら、頭を鷲掴みにして、火炙りをしながら、その絶望の表情に興じる。
正気の沙汰ではない。
だが、これが魔獣なのだ。
そして、今まで荘厳に耐えてきた煙突が炎の渦と化して、瞬く間に焼け落ちた。
全ての崩壊へ導いていく、そこから炎は広がり、本堂の屋根から屋根まで、火炎の波のように行き渡る。
ものの数分に、屋敷の母屋まで、炎は広がり、焼き尽くす。
その、真っ赤な炎と黒煙が立ち上り、怪物達は勝利の雄叫びを上げ、謳い、踊る。
その時、一体の大老齢の大地蔵が悲しみの涙でその光景を目撃した。
なぜ我が子同然の地蔵達がくだらない鬼団後継者争いの犠牲とならなければならないのだ。
一体地蔵達は何をしたというのだ。
涙を流しながら、大地蔵は崩れ落ちる。
その時、劫火の炎から禍々しく、見るに耐えない、不快な鬼がやってきた。
頭には夥しい数十本の角を光らせ、三つの赤眼、黒い筋肉隆々の体躯。
背中には酒の入った巨大な樽を背負っていた。
がに股で、ゆっくりと、横柄な態度でやって来る。
現四鬼。酒呑鬼《バルトロキア》。
野太い、腹から声を出し、鼻息を鳴らしながら。
「クッカカカカカカ……哀れなだなぁ……じじい」
「我が子を……返せ」
「じじい……後継者争いの結果このようなことが起きたと思っているようだなぁ……違うわ」
「ど……どういうことだ」
「ボスの命令だ」
「何故こんなことを」
「そりゃ生き肝を欲しているからだろうよ……クカカカカカカ」
「狂っている……許せん」
「さて、じじい。祝い酒だぁ!!!!」
三つ目を見張りながら、叫んで。
背中にある樽をひょいっと掲げ、崩れ落ちた大地蔵に振り落とした。
凄まじい酒飛沫が飛び、地蔵は白目を剥いて、泡を吹いて、地蔵の堅い頭から亀裂が生じ、地割れのように二つに割れ、ガタガタと地面に転がる。
呆気ない最後に酒呑鬼は腹を抱えて嗤った。
嘲笑い、力があるにも関わらず下位部隊に追いやられた鬱憤を晴らすかのように破壊を繰り返し、炎を灯して、助けを求める子供の地蔵までも焼き尽くした。
女地蔵が甲高く叫び声を上げながら、逃げようものなら、頭を鷲掴みにして、火炙りをしながら、その絶望の表情に興じる。
正気の沙汰ではない。
だが、これが魔獣なのだ。
そして、今まで荘厳に耐えてきた煙突が炎の渦と化して、瞬く間に焼け落ちた。
全ての崩壊へ導いていく、そこから炎は広がり、本堂の屋根から屋根まで、火炎の波のように行き渡る。
ものの数分に、屋敷の母屋まで、炎は広がり、焼き尽くす。
その、真っ赤な炎と黒煙が立ち上り、怪物達は勝利の雄叫びを上げ、謳い、踊る。
その時、一体の大老齢の大地蔵が悲しみの涙でその光景を目撃した。
なぜ我が子同然の地蔵達がくだらない鬼団後継者争いの犠牲とならなければならないのだ。
一体地蔵達は何をしたというのだ。
涙を流しながら、大地蔵は崩れ落ちる。
その時、劫火の炎から禍々しく、見るに耐えない、不快な鬼がやってきた。
頭には夥しい数十本の角を光らせ、三つの赤眼、黒い筋肉隆々の体躯。
背中には酒の入った巨大な樽を背負っていた。
がに股で、ゆっくりと、横柄な態度でやって来る。
現四鬼。酒呑鬼《バルトロキア》。
野太い、腹から声を出し、鼻息を鳴らしながら。
「クッカカカカカカ……哀れなだなぁ……じじい」
「我が子を……返せ」
「じじい……後継者争いの結果このようなことが起きたと思っているようだなぁ……違うわ」
「ど……どういうことだ」
「ボスの命令だ」
「何故こんなことを」
「そりゃ生き肝を欲しているからだろうよ……クカカカカカカ」
「狂っている……許せん」
「さて、じじい。祝い酒だぁ!!!!」
三つ目を見張りながら、叫んで。
背中にある樽をひょいっと掲げ、崩れ落ちた大地蔵に振り落とした。
凄まじい酒飛沫が飛び、地蔵は白目を剥いて、泡を吹いて、地蔵の堅い頭から亀裂が生じ、地割れのように二つに割れ、ガタガタと地面に転がる。
呆気ない最後に酒呑鬼は腹を抱えて嗤った。
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