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1章魔獣になりましょう

90話虎帝との対決

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 虎帝はアタマカラが鬼団に侵入した訳を知り、醜悪の笑みで、頷いた。
 簡単に復讐が分かってしまったことから察するに、鬼団のボスは相当な外部から恨みを買ってくることは確かだろう。

「うちのボスを殺そうとするとは大したもんだ。だが、貴様にはもうそんな力はない。ここで死ぬんだからな」

「やっと道筋が見えた気がしたよ。だけど、まだスタートラインに立っているとは思えないが」

 一撃で仕留め、動けないはずのアタマカラはゆっくりと立ち上る。
 虎帝は少し苛立ちを覚えた。先程攻撃したはずの箇所がもう既に傷一つ無く回復しているのだ。
 自然力999という驚嘆すべき数値に因果があると見るのが妥当か。
 あるいは、自己回復スキルの一種でも使ったか。だが、そのスキルをいつ使用した。
 自らの特性(補助スキル)である【観察力】ならば一発で見分けがつくはずだ。

【観察力】
 補助スキル。相手の異常状態、使用スキルなどを認識することができる。

 虎帝はこの瞬間、危険だと悟り、ハンマーに竜巻を溜め、地を躍動する。
 地面を殴るような音が鳴り響き、狂気の雄叫びが迸る。

「終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 ハンマーと白い手が激突する。
 虎帝は素手で受け止めたことに驚嘆する。しかも、アタマカラの攻撃力、防御力が700近く跳ね上がっていることにも驚く。
 その驚きを打ち消すのように、打撃の連打を繰り出す。
 重量、変則的軌道で打撃を仕掛けるが、縦横無尽に霧に消えていく度に怒りを覚える。
 その瞬間、虎帝の怒りに呼応して、体から風の魔力を増強させ、敏捷力を最大まで高め、回避を封じ込める。
 上から下にハンマーを一直線に切り上げ、回避された瞬間、風の速さで、その先の背後に回り左右の一線を投じた。
 アタマカラは霧散を断念し、しゃがみこんで何とか回避する。
 しかし、虎帝は次の行動に移行し、溜めながら、アタマカラを打ち上げた。
 アタマカラに重い衝撃破が襲う、吹き飛ばされるも、上昇する防御力で何とか態勢を整え、伸びる雲の両拳で反撃する。
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