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1章魔獣になりましょう

79話無意味な内乱

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 銃羊の素っ気ない、少しばかり無礼な態度にも関わらず、虎帝はうんうんと腕を組み、頷く。
 その真意を代弁するのは後目。

「で、そこで取引を提案したい。皆の要求を可能な限り飲もう……その代わり虎帝様を四鬼として支持を表明し、選挙当日に推薦を決定してもらいたい」

 そのような不正紛いな行為に対して断じて許すことのできない性格の地蔵は全否定した。

「鬼団の行く末を占う選挙に不正など断じて認めない。そんな取引は無効だ」

 すると、虫女が間髪入れず、しかし、落ち着いた声を発する。

「私は取引に賛成です」

「何を言うか虫女……」

「あなたが反対と言うなら……ここから立ち去るが宜しいのでは?」

「そういうことを……」

 納得いかないと云った表情をする地蔵。
 しかも、虫女のあまりの冷静さに怒りをどこへ持っていけば良い分からない。
 どうせなら感情を表に出してくれた方がこちらとしてはやりやすいのだが。
 やはり、虫女とは相成れない。それはここにいる全員が思っていることだ。
 そこで、地蔵を責め立てる悪い性格の後目。

「もし、地蔵様がこの条件に承諾してくださらないのであれば、隊長を解任することも検討していますよ」

「我はいつこの座を降りてもいい」

「フッフッフッ……では、地蔵一族を鬼団から追放しても宜しいのですね?」

「何だと!?」

 普段は冷静な地蔵も、この脅しには怒気を強める。
 煽りがいがあると見た後目は企みの目と変わる。

「隊長が代わればメンバーも変わる当然でしょ」

「おのれぇぇぇぇ」
 
 そこへ、更に畳掛けるのは虎帝。もう既に次期四鬼選挙の闘いは始まってるぞと云った気迫。

「先程聞き捨てならない情報が入った。もう内部抗争もやむ終えない事態まで来ている。酒呑鬼側の下位部隊が八番隊を殲滅に向けて、進軍しているとな。つまり、自動的に地蔵一族は酒呑鬼と戦わなければならない」

「馬鹿なぁ! それは嘘だ!」

 声を荒げる地蔵。
 すると、誰かの部下らしき者が入ってきて、虎帝に耳打ちする。
 虎帝は目を見開き、唾吐き出し、叫ぶ。
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