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1章魔獣になりましょう
70話鬼団を潰せ
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森林を抜けると崖が見えてきて、そこに闇のように暗い奈落の底がある。
命綱を引き受けるのが崖と崖を繋ぐ一本の簡素な橋。
下から冷たい突風が吹き抜け、橋を左右に揺らし、一部分が壊れ、木材が奈落の底へと、叫び声を上げながら落下していく。
その橋の入り口で待っていたのは、頬にそばかすのある、銃羊《スリーパー》。
格好つけたように手を上げ、一度目を見張ったものの、軽く微笑む。
似非紳士を演じているのだろうか。
「お別れは済んだかい?」
「ああ。言っとくがお前を信用した訳じゃないからな」
「それで良い。僕の望みは鬼団の壊滅だけだ」
「で? どうする?」
「これから廃墟の跡地へ行き、中層会議に参加する。この中層会議では5番隊から九番隊の隊長が一同に会する。その5番隊の隊長に四鬼との謁見を承諾させることだ」
「なぜその5番隊隊長なんだ?」
「どうやらこいつは三鬼と頻繁に接触図っているらしい、おそらく昇格絡みのことだろう。鬼団内部では昇格争いが激しい。なお、四鬼の選定となると、苛烈を極める。他から呼び込むことがあるからな」
「それは分かったが……お前の筋書きなんだ」
「もちろん、最終目標は鬼団の壊滅。そのためには四鬼全員を始末する必要がある」
「俺達二人でそれは可能なのか?」
「正直言って望みは薄いだろう。だが、あんたは恐熊を倒した程の実力がある。その実力があれば四鬼の内一人は倒せる。それでも鬼団に大打撃を与えることができる。そして、それは鬼団内部でも不信感を招き、反抗を示す者も現れ、内部分裂も避けられない。そうなれば、他の共食いや敵対する一族が鬼団に攻撃を仕掛けているのは確かだ」
「お前はそれを狙ってる訳か」
「到底僕達二人では出来ない。だから、念入りに準備はしているつもりだ」
命綱を引き受けるのが崖と崖を繋ぐ一本の簡素な橋。
下から冷たい突風が吹き抜け、橋を左右に揺らし、一部分が壊れ、木材が奈落の底へと、叫び声を上げながら落下していく。
その橋の入り口で待っていたのは、頬にそばかすのある、銃羊《スリーパー》。
格好つけたように手を上げ、一度目を見張ったものの、軽く微笑む。
似非紳士を演じているのだろうか。
「お別れは済んだかい?」
「ああ。言っとくがお前を信用した訳じゃないからな」
「それで良い。僕の望みは鬼団の壊滅だけだ」
「で? どうする?」
「これから廃墟の跡地へ行き、中層会議に参加する。この中層会議では5番隊から九番隊の隊長が一同に会する。その5番隊の隊長に四鬼との謁見を承諾させることだ」
「なぜその5番隊隊長なんだ?」
「どうやらこいつは三鬼と頻繁に接触図っているらしい、おそらく昇格絡みのことだろう。鬼団内部では昇格争いが激しい。なお、四鬼の選定となると、苛烈を極める。他から呼び込むことがあるからな」
「それは分かったが……お前の筋書きなんだ」
「もちろん、最終目標は鬼団の壊滅。そのためには四鬼全員を始末する必要がある」
「俺達二人でそれは可能なのか?」
「正直言って望みは薄いだろう。だが、あんたは恐熊を倒した程の実力がある。その実力があれば四鬼の内一人は倒せる。それでも鬼団に大打撃を与えることができる。そして、それは鬼団内部でも不信感を招き、反抗を示す者も現れ、内部分裂も避けられない。そうなれば、他の共食いや敵対する一族が鬼団に攻撃を仕掛けているのは確かだ」
「お前はそれを狙ってる訳か」
「到底僕達二人では出来ない。だから、念入りに準備はしているつもりだ」
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