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1章魔獣になりましょう

62話雲になりたい

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 揺れるアタマカラは右指を指して、言い放つ。
 そこに迷いなどはない。
 羊族の呪われた呪縛を一緒に背負ってやると決めた。

「だから、俺は雲だって言ってんだろ!」

「ふざけやがるな……ここまで怒りを覚えたことはないでやんす」

「そろそろ三度目の正直で俺が勝たないとな」

「舐めてんのかぁ……小僧ガァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 その挑発で、更なる怒りの増大を抑え切れずに雷を発し、纏い恐熊は全速力で地面を駆け抜ける。
 あまりの速度で地面の土は抉れ、脇にあった緑の葉は黒い塵となり舞い、アタマカラの顔面に雷撃の拳をぶち込む。
 しかし、それは幻に終わり、反撃の白い拳がいつの間にかあった。
 不意を突かれた恐熊は慌てて仰け反り回避する。
 ところが、雲の腕は自由自在に動き、恐熊の顔面に見事に鉄槌を下し、吹っ飛ばす。
 強烈な鈍痛が顔中を襲い、頭蓋骨が割れていた。
 恐熊は激しい痛みよりも、敵のステータスが顕著に上昇していることに驚愕する。
 もちろん、先の戦闘でステータスが上昇しているのは分かっていだが、自身を倒す程の値ではない。
 しかし、レベル600という規格外のこの数値は無視出来るはずがないだろう。
 この辺境のダンジョンで、一介の魔獣がこの戦闘中でこれほどの数値出したのは見たことがない。
 対して、アタマカラはこの数値の上昇を機に新たなスキルを取得した。

【自由自在《フリーダム》】
 形態変化系スキル。
 雲を形態変化させ、攻撃の方法、防御の方法、様々なバリエーションが増える。なお、それぞれに応じて数値が上昇。

 一瞬、ふらっとする恐熊。アタマカラはその隙を逃すまいと、霧になって瞬時に恐熊の目の前に。
 金色の両眼に焦りの色が滲み出し、小さな狼狽えた奥に、強烈な、連打の雲の二拳をぶち込む。
 強く、正確に、速くを意識して、もっとも虐げられた羊族の悔しさを込めて、拳を振るう。
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