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1章魔獣になりましょう

52話逆らってはいけない

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 老婆の必死の制止に関わらずカエラは正義を貫こうとする。
 何と勇敢な獣なのだろうか。
 それもそのはず、奇妙な出で立ちのアタマカラを助けるぐらいなのだから。
 だが、このままカエラがあの熊男達に立ち向かえば、いたぶられ、殺される結末を迎えるのが目に見えている。
 仮にそうなったとしても、自身がここで黙って見逃す訳にはいかないだろうが。
 アタマカラがそう思った時、体が勝手に前へと動き、その非情な状況へと足を踏み入れた。
 カエラはあっと不意を付かれ驚き、それは隠れ見る住民も同様。
 なぜならこの熊男達に立ち向かおうとする魔獣はいなかったのだから、無理もないだろう。

「やめろよ」

「あぁん? 何だお前?」

「今すぐ暴力をやめろ」

「グハハハ……力もねぇ癖に吠えてんじゃねぇぇぇぇぞ!!」
 
 そう吐き捨てると同時に強烈な拳がアタマカラを襲う。
 だが、瞬時にスキルが発動され、直撃は幻に終わり、一歩前にアタマカラが存在した。

「終わりか?」

「チッ……生意気なぁぁぁぁ!」

 繰り返す拳の連撃。
 しかし、やれどやれど、アタマカラには当たらない。
 そこで、アタマカラが反撃とばかりに渾身の拳を熊男に食らわす。

「うわっ……いでぇぇぇぇぇよ」

 熊男の腹に勢い良く入ったため、かなりの衝撃で吹き飛ばされ、地面に投げ出され、悶え苦しむ。
 悪い状況に痺れを切らした熊男の仲間達が襲いかかってくる。
 その出鱈目な攻撃の連鎖にアタマカラは難なく回避していく、明らかに以前とは回避スピードが上昇していると実感する。
 いけると思った瞬間、一体目の熊の顔に拳を直撃させ、態勢を低くくしながらニ体目の足蹴を回避し、反撃の足の回し蹴りを相手の膝でぶち込む。
 流れるように素早く跳び、前のめりになった二体の顔面を足蹴で直撃させ、吹き飛ばした。
 かなり衝撃から察するに、威力は抜群、そのため、三体の熊達は悶え苦しみ、再び顔を見上げるも顔面蒼白で、戦意喪失し、叫びながら逃げ行った。

「覚えてろよ!! 雲野郎がぁぁぁ!!」

 そして、カエラが怪我をした、羊男の家族の元へ駆け寄り、治療へとあたる。
 なお、熊男が去っていき、住民達も顔を出し、勇気あるアタマカラの戦闘に少なかったが、称賛の声を上げた。
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