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1章魔獣になりましょう
40話鬼童子
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翌朝、朝日もやっと立ち上り、霧がまだ濃い頃合いに草木を掻き分けてやってくる二体の高低差のある影が現れ、真近に迫った。
一体は人間の子供のようにも見えるが、黒髪のおかっぱの頭頂部にニ角が生えている姿から魔獣らしい。
裸一貫で、下はふんどしのみ。
黒色のまん丸の目でアタマカラをじっと見つめ、鼻をほじり、侮蔑の目へと変わる。
ちなみに10番隊隊長の座敷鬼童子。
【座敷鬼童子《ザシキオニドウジ》】
レベル400。愛くるしい顔をしてるが、戦いとなると恐ろしいくらいに強い。
趣味はよく人間を騙したり、殺したりする。
そんな反面、人間と遊んだりするなど不可解な行動をする。
しだがって、今は子供の故かそれ程強くはないが、潜在能力は桁外れであり、今後強くなる可能性を秘めている。
戦闘は物質干渉能力《エスパー》魔力スキルを主に使用する。
すると、鬼童子が口を引き千切れくらい吊り上げ、その上大量に口から血を垂れ流し、不可解な満面の笑顔、まるで少女のように甲高く笑い出す。
「ヨロシクナ……キサマラ……キャキャキャキャキャキャ」
「よろ……」
「しゃべるんじゃねぇぇぇぇ!!!!」
カイザーは鬼気迫る叫び声を鬼童子に挨拶しようとするアタマカラに浴びせて、親交しようとする手を払いのけた。
あまりの気迫に炎がじりじりと湧き出し、興奮を抑えようと必死。
周囲は鬼童子を除いて、緊迫感に苛まれる。
すると、もう一方の長い紫髪、大きな釣り目、知的な片側のみの丸眼鏡、赤い口紅をした派手な狼女が慌てた様子でやってきた。
ちなみに14番隊隊長。
【狼】
レベル350。攻撃力、敏捷力に優れる。
バランスタイプ。
月を見るとステータスが大幅に上昇する。
すぐさま鬼童子を見て、はっと畏れの表情をする。凶器の怪物を見たかのようだ。
そこへ、カイザーが怒りの表情で、狼女へと向かった。
「なぜあいつがここにいる!? 13番隊隊長蠍《サソリ》はどうした?」
「それはワタシの知らないことでありましたでザマス……鬼童子様が殺してしまったのでございます」
「何だと?」
「聞くところに寄ると蠍様が鬼童子様を知らなくて、うっかり質問に返答してしまいましたら……鬼童子様の鬼ごっこが始まりまして……それで蠍様は切り刻まれてしまい……あの世でございます」
「それで、なぜあいつがここに来る?」
「丁度鬼童子様が蠍様の依頼を耳にして、蠍がこんな風になっちゃったからボクが依頼受けるよと言って、ここにいらっしゃった次第です……」
「お前あいつが来たら……ここにいる全員が死ぬ……」
すると、アタマカラ達に事の次第を話し、鬼童子から何を質問をされても返答しない、話し掛けないときつく言われた。
もし、返答すれば死の鬼ごっこゲームが始まると。
こんな緊張感のある中で、羊女ことシエラの様子が一段とおかしく、両手で身体を押さえ、震えていた。
最初は奴隷の時や家族を失った後遺症かと思ったらそうではないらしい。
おそらく鬼童子への恐怖に違いない。
何とかこちらが冷静を保つようにと声を掛けたり、大丈夫だという態度で示し、少し落ち着き取り戻したかのように思えたが、突如として、か細く、視線を下に向けた、言葉を連ねる。
「鬼は鬼ヶ島で勇者と対決し、鬼が勝ち、鬼神となりました。そこで鬼神は邪魔になった勇者の亡骸を地中に埋めて、その勇者の亡骸の眠る場所で仲間達と祝杯を上げ、飲み明かしました。やがて、その亡骸の眠る場所からある人間の子供が生まれましたと。そして、鬼神はその子供を拾い大切に育てました……」
「よく知ってるな……シエラちゃん……その伝説を……」
「……?」
「鬼童子は鬼神が拾った子供だ……ちなみに鬼神は鬼団の創始者……そして、伝説に続きがある……鬼童子は人間だった……それはもしかしたら勇者の子供ではないかと……鬼神はそれを知って鬼童子が恐ろしくなり……鬼童子が好きで一緒に遊んでいた鬼ごっこというゲームの最中に殺そうと鬼神は決意した……しかし、殺されたのは鬼神だったという話だ」
※
一体は人間の子供のようにも見えるが、黒髪のおかっぱの頭頂部にニ角が生えている姿から魔獣らしい。
裸一貫で、下はふんどしのみ。
黒色のまん丸の目でアタマカラをじっと見つめ、鼻をほじり、侮蔑の目へと変わる。
ちなみに10番隊隊長の座敷鬼童子。
【座敷鬼童子《ザシキオニドウジ》】
レベル400。愛くるしい顔をしてるが、戦いとなると恐ろしいくらいに強い。
趣味はよく人間を騙したり、殺したりする。
そんな反面、人間と遊んだりするなど不可解な行動をする。
しだがって、今は子供の故かそれ程強くはないが、潜在能力は桁外れであり、今後強くなる可能性を秘めている。
戦闘は物質干渉能力《エスパー》魔力スキルを主に使用する。
すると、鬼童子が口を引き千切れくらい吊り上げ、その上大量に口から血を垂れ流し、不可解な満面の笑顔、まるで少女のように甲高く笑い出す。
「ヨロシクナ……キサマラ……キャキャキャキャキャキャ」
「よろ……」
「しゃべるんじゃねぇぇぇぇ!!!!」
カイザーは鬼気迫る叫び声を鬼童子に挨拶しようとするアタマカラに浴びせて、親交しようとする手を払いのけた。
あまりの気迫に炎がじりじりと湧き出し、興奮を抑えようと必死。
周囲は鬼童子を除いて、緊迫感に苛まれる。
すると、もう一方の長い紫髪、大きな釣り目、知的な片側のみの丸眼鏡、赤い口紅をした派手な狼女が慌てた様子でやってきた。
ちなみに14番隊隊長。
【狼】
レベル350。攻撃力、敏捷力に優れる。
バランスタイプ。
月を見るとステータスが大幅に上昇する。
すぐさま鬼童子を見て、はっと畏れの表情をする。凶器の怪物を見たかのようだ。
そこへ、カイザーが怒りの表情で、狼女へと向かった。
「なぜあいつがここにいる!? 13番隊隊長蠍《サソリ》はどうした?」
「それはワタシの知らないことでありましたでザマス……鬼童子様が殺してしまったのでございます」
「何だと?」
「聞くところに寄ると蠍様が鬼童子様を知らなくて、うっかり質問に返答してしまいましたら……鬼童子様の鬼ごっこが始まりまして……それで蠍様は切り刻まれてしまい……あの世でございます」
「それで、なぜあいつがここに来る?」
「丁度鬼童子様が蠍様の依頼を耳にして、蠍がこんな風になっちゃったからボクが依頼受けるよと言って、ここにいらっしゃった次第です……」
「お前あいつが来たら……ここにいる全員が死ぬ……」
すると、アタマカラ達に事の次第を話し、鬼童子から何を質問をされても返答しない、話し掛けないときつく言われた。
もし、返答すれば死の鬼ごっこゲームが始まると。
こんな緊張感のある中で、羊女ことシエラの様子が一段とおかしく、両手で身体を押さえ、震えていた。
最初は奴隷の時や家族を失った後遺症かと思ったらそうではないらしい。
おそらく鬼童子への恐怖に違いない。
何とかこちらが冷静を保つようにと声を掛けたり、大丈夫だという態度で示し、少し落ち着き取り戻したかのように思えたが、突如として、か細く、視線を下に向けた、言葉を連ねる。
「鬼は鬼ヶ島で勇者と対決し、鬼が勝ち、鬼神となりました。そこで鬼神は邪魔になった勇者の亡骸を地中に埋めて、その勇者の亡骸の眠る場所で仲間達と祝杯を上げ、飲み明かしました。やがて、その亡骸の眠る場所からある人間の子供が生まれましたと。そして、鬼神はその子供を拾い大切に育てました……」
「よく知ってるな……シエラちゃん……その伝説を……」
「……?」
「鬼童子は鬼神が拾った子供だ……ちなみに鬼神は鬼団の創始者……そして、伝説に続きがある……鬼童子は人間だった……それはもしかしたら勇者の子供ではないかと……鬼神はそれを知って鬼童子が恐ろしくなり……鬼童子が好きで一緒に遊んでいた鬼ごっこというゲームの最中に殺そうと鬼神は決意した……しかし、殺されたのは鬼神だったという話だ」
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