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1章魔獣になりましょう
16話ゴブリン姉妹
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次々と出発し、この広い洞窟ホールに最後に残ったのが闘牛チーム。
全てが去ってかなり険悪な雰囲気が消えたと思ったら、顔知る残った者達が対峙した瞬間殺気へと変わる。
予想していた通り、ミノルとオガの二人組はアタマカラを物凄い形相で睨みつける。
これほど憎しみを向けてこられるならばきっとこの二人組の怒りを沈める手段なんてあるはずがないと諦めるしかない。
だが、今後更なる怒りを増大させ、最悪な末路を辿ってしまうことは何とか避けたい。
したがって、出来るだけこの二人組と穏便に対処するように心がけるべきだろう。
すると、後ろで岩壁に寄りかかり、腕組みをした河童、いや玄奘がこの状況に含んだ笑みを浮かべ、「大変やな」と洩らす。
さすがというべきなのか、しつこいというべきかなのか、その一挙動を見逃さないのがミノル。
「おい!玄奘何笑っていやがる?」
「あー作戦練ってた訳だが……随分荒々しいなミノル……少し落ち付けや」
「黙れ。この新人が生意気ことを抜かしやがってるからよ」
「いつまでもそんなことで根に持ってるから上に行けないんや」
「なんだと!」
ミノルの怒りが頂点に達した所で、制止する形で口を割ったのが緑色の小さな生物であるゴブリン姉妹。
長い鼻ぱっしら、コミカルな帽子、斧を片手に持った二人組。
右側に利発な目をし、眼鏡を掛けたゴブリン姉。
左側が睫が長くパチクリとしたゴブリン妹。
【ゴブリン兄弟】
戦闘において単体ではかなり弱く、耐異常でも死亡してしまう弱い生き物。
だが、二人組、数が増えるに従って強くなる。おそらく一人になると精神が不安定になるため、思うように力が発揮できない。
比べて集団になると、仲間がいるという安心があるから、本来の力を発揮できる。
したがって、ゴブリンを過小評価をしてはならない。
コブリン姉が体躯には似つかわしくない大人のお姉さんと云った声で、ミノルを諭す。
一方、妹の方は泣きそうな顔で姉を制止する。
「止めなさいよ。あなた! 大黒猿《コング》様に言いつけるわよ」
「お姉ちゃん危ないれす!」
ミノルはそのボス猿の名前を聞いた瞬間、舌打ちをして、金棒を引っ張り出し、威嚇を一瞬した後に前を向き直り、枝分かれの洞窟の道へと進んで行った。
そこへ金魚の糞のようにオガが追従し、危機は去り一安心。
「助かった」
「礼を言う必要はないよ。あのミノは新人いじめをしてるって有名なの……だから皆が迷惑してるから言ってやっただけよ」
「いや、でも助かったから……お礼だけは言わせてくれ……ありがとう」
「あなた……ずいぶんと礼儀正しいのね……人間みたいだわ」
(まあ元々は人間なんですけどね)
「でもでも……お姉ちゃんあのミノに目を付けられたら危ないよっ」
「大丈夫よ……襲いかかったてきたら……お姉ちゃんが斧で撃退よ」
ゴブリン姉は自信過剰、楽観的な性格、妹はかなり臆病な性格らしい。
二体はキャッキャッと女子校生同士で会話してるようだった。
見ていてとても微笑ましい姉妹。
すると、そこへ水を差すようにして、楔を入れるのが陰気な玄奘。
「ミノルはしつこいで」
「……」
「玄奘! 可哀相だろ」
「アタマカラ……お前にも忠告してやる……このダンジョンで一瞬のちっぽけな情や気の緩みで死に繋がる」
「分かってるさ」
全てが去ってかなり険悪な雰囲気が消えたと思ったら、顔知る残った者達が対峙した瞬間殺気へと変わる。
予想していた通り、ミノルとオガの二人組はアタマカラを物凄い形相で睨みつける。
これほど憎しみを向けてこられるならばきっとこの二人組の怒りを沈める手段なんてあるはずがないと諦めるしかない。
だが、今後更なる怒りを増大させ、最悪な末路を辿ってしまうことは何とか避けたい。
したがって、出来るだけこの二人組と穏便に対処するように心がけるべきだろう。
すると、後ろで岩壁に寄りかかり、腕組みをした河童、いや玄奘がこの状況に含んだ笑みを浮かべ、「大変やな」と洩らす。
さすがというべきなのか、しつこいというべきかなのか、その一挙動を見逃さないのがミノル。
「おい!玄奘何笑っていやがる?」
「あー作戦練ってた訳だが……随分荒々しいなミノル……少し落ち付けや」
「黙れ。この新人が生意気ことを抜かしやがってるからよ」
「いつまでもそんなことで根に持ってるから上に行けないんや」
「なんだと!」
ミノルの怒りが頂点に達した所で、制止する形で口を割ったのが緑色の小さな生物であるゴブリン姉妹。
長い鼻ぱっしら、コミカルな帽子、斧を片手に持った二人組。
右側に利発な目をし、眼鏡を掛けたゴブリン姉。
左側が睫が長くパチクリとしたゴブリン妹。
【ゴブリン兄弟】
戦闘において単体ではかなり弱く、耐異常でも死亡してしまう弱い生き物。
だが、二人組、数が増えるに従って強くなる。おそらく一人になると精神が不安定になるため、思うように力が発揮できない。
比べて集団になると、仲間がいるという安心があるから、本来の力を発揮できる。
したがって、ゴブリンを過小評価をしてはならない。
コブリン姉が体躯には似つかわしくない大人のお姉さんと云った声で、ミノルを諭す。
一方、妹の方は泣きそうな顔で姉を制止する。
「止めなさいよ。あなた! 大黒猿《コング》様に言いつけるわよ」
「お姉ちゃん危ないれす!」
ミノルはそのボス猿の名前を聞いた瞬間、舌打ちをして、金棒を引っ張り出し、威嚇を一瞬した後に前を向き直り、枝分かれの洞窟の道へと進んで行った。
そこへ金魚の糞のようにオガが追従し、危機は去り一安心。
「助かった」
「礼を言う必要はないよ。あのミノは新人いじめをしてるって有名なの……だから皆が迷惑してるから言ってやっただけよ」
「いや、でも助かったから……お礼だけは言わせてくれ……ありがとう」
「あなた……ずいぶんと礼儀正しいのね……人間みたいだわ」
(まあ元々は人間なんですけどね)
「でもでも……お姉ちゃんあのミノに目を付けられたら危ないよっ」
「大丈夫よ……襲いかかったてきたら……お姉ちゃんが斧で撃退よ」
ゴブリン姉は自信過剰、楽観的な性格、妹はかなり臆病な性格らしい。
二体はキャッキャッと女子校生同士で会話してるようだった。
見ていてとても微笑ましい姉妹。
すると、そこへ水を差すようにして、楔を入れるのが陰気な玄奘。
「ミノルはしつこいで」
「……」
「玄奘! 可哀相だろ」
「アタマカラ……お前にも忠告してやる……このダンジョンで一瞬のちっぽけな情や気の緩みで死に繋がる」
「分かってるさ」
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