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1章魔獣になりましょう

21話洞窟の巣穴

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 地図があれば入り口から一時間程で行けるゴブリンロード中央部。
 だが、地図があればの話で探索力で長けている者でなければ、三時間はかかるだろう。
 なお一度この迷路を制覇しなければ、地図作成《マッピィング》とはならない。
 つまり、地図作成が成功すれば、この地に再入場した時に完成地図を展開することができる。
 このゴブリンロードの各通過点には洞穴があり、その一角にアタマカラ達は身を隠した。
 夜刻を回り気温が低下しているので、全員が焚き火に近寄り、寒さを凌いでいた。
 皆で持ち寄った蜥蜴の肉切れを食べながら栄養補給をする。
 アタマカラは食べれないと不満を垂れていたが、ゴブリン姉の厳しい忠告で、嫌々ながら食べた。
 それは蜥蜴の臭いに関して嫌悪していたが、案外食べてみると、最高級牛肉にも劣らない美味さだった。
 先程まで殺伐とした雰囲気も、食事になると一気に緊張の糸がほどけ、緩やかになっていく。
 その雰囲気にやっと観念したのか、口を開く玄奘。

「それにしてもアタマカラ……傷の治りが異常に早いんやな」

「まあ言わてみればそうかもしれない」

「あれだけの闘牛の暴力を食らって生きてるのが奇跡ですわ」

「お姉ちゃんの言う通りれす!」

 確かに皆の言う通りだった。
 先程顔に石のような雲がぼこぼこと埋め尽くした、目なんて開けていられなかったのに、一時間程仮眠したら、いつの間にか嘘のように治っていた。
 おそらく、自然力に関係があるのかと思ったりもしたが、確証は得られない。
 それも疑問としてあるが、もう一方疑問に思ったことがあった。
 それはレベルのことだ。
 まず最初に遭った冒険者との戦闘で、不戦勝だったにせよ勝利したから経験値1000と報酬1000コインを獲得し、レベルが10程上がったしかし、時間が経過するとレベル0に戻っていた。
 それから、闘牛との戦闘中においてレベルが10へとまた戻っていた。
 それからあらぬことか、レベル10から50までに跳ね上がり、ステータスも著しく上昇していた。
 しかし、現在はレベル0に振り出しに戻り、あの大敗北という現実が残った。
 レベルの上昇は幻だったのかと思いたくもなるが、確実にレベルは上昇していた。
 あの現象は一体何だったのだろうか。
 その後、食事が終わると玄奘は危機を知らせる現状と今後の方針について、話を始めた。
 やはり、このゴブリンロードにおいて、他のチームの連中も共食いに襲われて、数多くの負傷獣や死亡獣が続出したということ。
 したがって、今回のゴブリンロードの遠征は中止となり、今すぐ自領域へ帰還せよと全員に伝達があったそうだ。
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