時空魔術操縦士の冒険記

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2章ダンジョンへ向かおう

怒りのケンタウロス

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 マッドケンタウロスを捕獲するためBルート付近の密林の草に隠れ、時を待っていた。
【MC】から怒鳴り声が聞こえる。

「早くしな!! 今すぐ捕まえるんだわさ!!」

 分かってるわ。 
 しかし、探しても探しても対象物がいないし、現れないんだよ。
 それにしても腹立たしい。
 後ろでは呑気に狐とカナブンバッタが遊び、リオラは俺に抱きついて、腰を振ってるしさ。
 まあ金髪美少女にこんなことされるなんて嬉しい限りだが。
 時と場所を選べ。

「あんっ……はぁ」

「リ……リオラいい加減にしろ!!」

「な……なんでアル君……私の事嫌いなの?」

 うるうるさせて上目遣いで言い寄り、胸の谷間をちらちら見せつける。

「そうじゃなくてさ」

 俺は困惑する。
 するとミユミユの甲高い声が聞こえる。

「やめるのだ!! カナブン!! キャハハハハハ」

 あー。
 苛々する。

「うるせぇぞ!! 狐!!」

 目を丸くして、こちらにやってくるミユミユ。

「何だ!! 大きな声出すでない!! びっくりするであろうが!!!!」

 そして、突然ザザザザザザと林がざわめき立つ。
 来る気配がして、モンスターは現れた。

【怒人馬《マッドケンタウロス》】
 上半身はヒューマンで下半身は馬。
 土色の上半身でもじゃもじゃした黒い髪の毛。
 死人の両眼。
 恐怖を感じる。
 レベル200。



 数体いるな。
 何やら、槍で何かを囲んで突き刺している。
 マッドケンタウロスは琢磨しい身体を動かし、叫ぶ。

「ホロォォォォォォォォ!!!!」

 次第に他のマッドケンタウロスも乗じて叫ぶ。

「ホロォォォォォォォ!!!!」

 ヒューマンかモンスターか分からない叫び声に気味悪さを感じる。
 何だこの倦怠感《けんたいかん》。
 すると、突き刺した対象物が現れる。
 百獣王《ライオン》だ。
 肉片やら血やらとさらけ出し、見るに耐えない光景だ。
 うぅ。
 数体のマッドケンタウロスは地面に座り、貪るように噛みちぎっていった。
 ミユミユとルシアは口をあんぐり開け、目を丸くして、黙って見ていた。
 すると、マッドケンタウロスがビクッとこちらを向く。
 感づかれたか。
 知能は低いが、嗅覚や視覚かなり優れている。
 突然、マッドケンタウロスは立ちあがる。
 うぁ怖いわ。
 逃げたい。
 逃げたい。
 逃げられない。
 リオラが俺に抱きついたまま離れない。
 泣いている。

「アル君怖いよっ!! もう無理だよっ!!」

 ミユミユとカナブンバッタが即座に俺のポケットに入る。
 全然こいつら役に立たないな。
 ダダダダダダダダダダダダ。
 あっという間にマッドケンタウロスに囲まれた。
 槍が四方八方で、逃げ場なし。
 体長は5メートルぐらいあるな。
 そして、俺は魔戦を人型サイズへ具現化し、シルバディウスが現れる。
 左肩に金髪の少女を抱え、左手の龍王大剣を正眼に構える。
 まあ、正直言ってな、俺にかかればこいつらなんて敵じゃねーわ。
 数体のマッドケンタウロスが叫ぶ。

「ホロォォォォォォォ!!!!」

 一斉に槍で突き刺す。
 シルバディウスは中空へ跳び、回避し、そのまま、龍王大剣を回転させ、斬る。
 マッドケンタウロスの目に直撃し、よろめき、悲鳴を上げる。
 シルバディウスはその隙に何とか後方へ着地し、地面に触れる。
 土揺れを起こし、大規模な地震でマッドケンタウロスを襲う。
 バランスを崩すが、何とか持ちこたえる。
 さすがに、これだけじゃ倒せないな。
 数体のマッドケンタウロスは顔を真っ赤にさせ、槍を自由自在に振り回し、周りの木や林が真っ二つに切り刻む。
 その攻撃はシルバディウスを襲う。
 右水平、上から斜め、左水平、下から斜めと振り回す。
 何とかテンポ良く躱わしていく。
 マッドケンタウロスは攻撃が当たらない事に苛立ちを覚えたのか、前足を上げて襲いかかる。
 刹那。
 シルバディウスは高速で斬っていき、一体目喉元に龍王大剣で下から突き出す。
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