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1章ゴブミ脱走

1章4話トウモロコシ

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「どうせ私を殺すんでしょ! なら、私があんたを殺してやるわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 私はカマキリのようなピンク色の両眼を飛び出させ、醜い顔、剥き出しの八重歯を見せながら、叫ぶ。
 一方、おじさんは崩れ落ち必死で謝るも、呆れた言い訳だった。

「いや、悪い。お前を殺すのは嘘だ。俺は面白半分でちょっとからかっただけだ。あっ、ああ、そうだ。余興だ、余興なんだよ。みんな日頃から鬱憤が溜まっているだろ……それで、日頃笑いを取ってるお前に俺は目をつけたんだ。こいつなら、大爆笑をかっさらうとな」

「ふざけなん……なぁぁ……死ねぇぇぇぇぇ!」

「ややややめろ!!!!」
 
 私はトウモロコシで再びおじさんを襲おうとするが、乱雑に置かれた箒に躓いて、転んでしまう。
 おじさんはその隙に地面を這いながら、逃げようとする。

「死んじまう。死んじまう。たたたた……すけてくれや」

 逃がすかぁぁぁぁ!
 私は狂気に満ちた絶叫で立ち上がり、驚異の跳躍で禿げの頭上にトウモロコシを思いっ切りぶつけてやった。

「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 おじさんを大量の血を流し、地面で激痛による悶絶をする。
 私はおじさんの後頭部を左手で鷲掴みにして、今までのありたっけの鬱憤を泣き叫ぶ、  

「毎日毎日、みんなの前で、ブスとか、臭いとか、化け物とか、客に見せると苦情が来るとか、農場人気ランキング最下位の動物とか笑って言ってんじゃねぇよぉぉぉぉぉぉ!!!! 傷ついてるんだよこっちは!」

「ああああ! うぅぅうぅ……待て! 悪かったから……もう、悪口は言わんから。だから、頼む……命だけは」

 おじさんは顔中血だらけで、鼻水を垂らし泣きながら、私の前で命乞いをする。
 私はもう我を失っていた。

「ああ……もう絶対に許さない。許さない……」

「……もう、ややめてくれ……あっ、そそうだだだ。トウモロコシの件は許してやる、それで、農場から解放してやるよ。なぁ? それで良いだろ?」

「トウモロコシ、トウモロコシ、トウモロコシってしつこいんだよぉぉぉぉぉぉ!」

 それから、私は何度も何度もおじさんの頭をトウモロコシで殴った。
 トウモロコシで殴る生々しい音と呻き声が農場から響き渡った。


 
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