12 / 70
1章勇者の活動
12話不遜な少女
しおりを挟む
すると、吹雪の中、女が近寄る。冷たい声で、
「危なかったわ。しかしその翼竜、相当弱っているわね」
「もう、駄目だ。助けてくれ」
その女の視界に青いホログラムが現れる。調合リストの欄が表示される。
「仕方ないわね。癒やしの薬でそのドラゴンを治せるわ。幸運にも私はその材料を持っているわ」
「あ、ありがとう」
その女は長方形型の箱を用意し、薬草やらなんやら入れた。すると、箱は光る。
そして、翼竜の傷口に癒やしの薬を塗られ、みるみるうちに傷は癒える。やがて、ドラゴンは翼をはばたかせて飛び回っていた。
「ガルル ガルル」
「お! 元気になった!!」
「ありがとう」
「あなたも飲みなさい」
「……」
そして、吹雪は消え、暑くなったのか女はコートを脱ぐ。
さっきは吹雪でよく見えていなかったが、青髪でショートカットの可愛いらしい美少女。冷たい瞳に佇まいは落ち着いた印象を受けるが顔にはまだ可愛いらしさがある。
年齢は十八才ぐらい。身長は百六十センチ程。
それと、青を基調とした服装。スカートの丈が少し膝の上にあり、そこから少し見える白い太ももは艶めかしさを感じさせ、細い腕。ひらひらに覆われた胸元は大きく強調されている。
腰には細長い剣があり、柄と鞘には高級品の装飾が施されている。
「で、あんた誰?」
「俺は逃げる足で駆けると書いて逃足駆《にげあし かける》だ!」
「説明がよく分からないけど。あしがるでいいかしら」
「いや、違う、駆ける!!」
「しつこいわね。どっちも一緒よ」
同じじゃねーよ!
薄ら笑いを浮かべる。如何に軽蔑している表情。
露骨にそんな不遜な態度をされるとこちらが苛立ってくる。
親からもらった大切な名前、間違えて呼んで貰っては困る。学校で友達の名前はちゃんと覚えましょうと教えられなかったのか。
この国の教育はどうなってるんだ。
すかさず、自分の名前の訂正を怒りの口調で試みるが、
「おい」
「は? あんた人に助けてもらって良くそんな態度がとれるはね。助けたんだからそれなりの対価は払いなさいよ。分かるわよね?」
「あっ、名前は足軽でいいです」
「そうね。足軽がお似合いね」
最悪。
名前訂正大作戦は失敗に終わる。
冷たい顔で脅し、駆が負けを認めると髪を弄りながら、クスクスと笑っている。勝ち誇ったように。一方、駆は地面に両手と膝を付き、涙の土下座。
「危なかったわ。しかしその翼竜、相当弱っているわね」
「もう、駄目だ。助けてくれ」
その女の視界に青いホログラムが現れる。調合リストの欄が表示される。
「仕方ないわね。癒やしの薬でそのドラゴンを治せるわ。幸運にも私はその材料を持っているわ」
「あ、ありがとう」
その女は長方形型の箱を用意し、薬草やらなんやら入れた。すると、箱は光る。
そして、翼竜の傷口に癒やしの薬を塗られ、みるみるうちに傷は癒える。やがて、ドラゴンは翼をはばたかせて飛び回っていた。
「ガルル ガルル」
「お! 元気になった!!」
「ありがとう」
「あなたも飲みなさい」
「……」
そして、吹雪は消え、暑くなったのか女はコートを脱ぐ。
さっきは吹雪でよく見えていなかったが、青髪でショートカットの可愛いらしい美少女。冷たい瞳に佇まいは落ち着いた印象を受けるが顔にはまだ可愛いらしさがある。
年齢は十八才ぐらい。身長は百六十センチ程。
それと、青を基調とした服装。スカートの丈が少し膝の上にあり、そこから少し見える白い太ももは艶めかしさを感じさせ、細い腕。ひらひらに覆われた胸元は大きく強調されている。
腰には細長い剣があり、柄と鞘には高級品の装飾が施されている。
「で、あんた誰?」
「俺は逃げる足で駆けると書いて逃足駆《にげあし かける》だ!」
「説明がよく分からないけど。あしがるでいいかしら」
「いや、違う、駆ける!!」
「しつこいわね。どっちも一緒よ」
同じじゃねーよ!
薄ら笑いを浮かべる。如何に軽蔑している表情。
露骨にそんな不遜な態度をされるとこちらが苛立ってくる。
親からもらった大切な名前、間違えて呼んで貰っては困る。学校で友達の名前はちゃんと覚えましょうと教えられなかったのか。
この国の教育はどうなってるんだ。
すかさず、自分の名前の訂正を怒りの口調で試みるが、
「おい」
「は? あんた人に助けてもらって良くそんな態度がとれるはね。助けたんだからそれなりの対価は払いなさいよ。分かるわよね?」
「あっ、名前は足軽でいいです」
「そうね。足軽がお似合いね」
最悪。
名前訂正大作戦は失敗に終わる。
冷たい顔で脅し、駆が負けを認めると髪を弄りながら、クスクスと笑っている。勝ち誇ったように。一方、駆は地面に両手と膝を付き、涙の土下座。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~
島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!!
神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!?
これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる