逃げ足スキルで職業勇者になろう

1章勇者の活動

11話シロギガを倒せ

　現状、武器や魔法能力などない絶対絶命。
　そのとき、シロギガが駆に襲いかかる、しかし、命中出来ずに、地面に落下。
　それから、巨体は連続で右爪、左爪で襲う。対して駆は何とか自慢の俊敏さで避ける。避けることしかできない。
　案外、攻撃を避けれたことに驚きを感じたがそれでも状況は悪化しているのは間違いない。

　「はぁ……はぁ……少し疲れてきたぜ」

　巨体の爪には毒があり、毒が駆のかすった傷口に流れ込む。ふと、めまいがして倒れそうになり、足下が落ち着かない。
　それでも巨体は休むことなく襲いかかる。
　何か打開策はないのだろうか。○ボタンで攻撃、Lボタンを押しながら△□○ボタンで大技繰り出す……。なんて機能はこの世界にはなかった。
　ゲームの知識はいかんせん実戦では何の役にも立たず、戦いは相手の攻撃がどこから飛んでくるかわからない。自らの感覚で避わし、攻撃しなければならならい。
　崖の上で綱渡りをするような生きるか死ぬかの攻防、それにこの異世界にはチュートリアルやコンテニューなどないのだ。
　死んだら終わり。

　死。死ぬ。

　すると吹雪の中、コートを纏った女と白いユニコーンのような生物が現れる。
　女の肩には城が描かれた紋章。視界が悪く顔は見えない。
　白いユニコーンのような生物は雷をビリビリと周囲に放ち、目を合わせてはいけないという謎めいた神秘さを感じさせ、さらに、雪と雷が神秘さを際立たさせている。

　その瞬間、女はなにやら空に十字を切るという詠唱をし、傍らには眩い光を纏った白い生物から雷が放出し、そのシロギガに直撃し、やがて、丸焦げになり動かなくなった。　

「雷鳴《イカズチ》」　

「たた、助かった？」

　駆は窮地を脱し、すぐさま弱ったドラゴンに駆け寄る。だんだん動かなくなる。
　小さな鳥のように。
　息がだんだんと小さくなる。あの活き活きとした翼竜がこれほどまでに弱っている。

「どうすればいいんだ！！」