9 / 53
2章魔術師学院(閑話)
9話岩をくだけ
しおりを挟む
「まず、始めに100メートルを走り、あの岩を破壊してもらおうか」
訓練所の真ん中に奇妙な形が岩があった。
【再生岩】
壊しても、壊しても、再生する不思議な岩。
生徒の間で不平不満が起きる。
イルガだけが、パチパチと拍手し、その場を沈める。
幾人かの生徒がイルガに意義を唱える。
当然の反応だろう。
今日は入学式だけのはずだった。
「聞いてないです!!」
「そうだ!」
イルガは大声で説教をする。
先程までとは違い、怖い表情をした。
「魔術師ともあろうものが、ぐだぐだ言ってんじゃねーよ!! てめえら魔術師なめんなよ?」
恐怖のあまり静まり返る生徒達。
「さあ、位置につけ。お前らの魔力、敏捷力どんなものか見てやる。良しなら合格だ」
「駄目なら、どうなるんですか?」
「聞かなくても分かるだろ?」
問題は魔力の球体を構築すること。
高い魔力の球体を構築するにはそれなりの技術が必要だ。
エルグランド王国トップに位置する魔術師学院の在校生徒ならまだしも、新入生では難しい。
「俺に魔力の調整、瞬発力を見せつけてくれ。さあ、位置につけ」
「今テストする意味はあるんですか?」
「魔術師はいかなる時いかなる場所でも常に魔術を使用できる状態にしなければならない。分かったか?」
「……」
「魔力による暴走なら心配するな。オレが全力で止めてやるよ」
「あの……僕は魔甲鍛冶師目指しているもの者で、やらなければなりませんか?」
「もちろん強制はしない。だが受けない場合は不合格」
「そんな……」
「このAクラスの担任は俺だ。自ずとオレがルールだ」
「くっーーー」
そして、魔術小テストが始まった。
何人かの生徒は魔力を足に纏わせた身体強化走りをし、魔力を放出し、岩に亀裂を生じさせる。
やはり、Aクラス、文句を言いながらも、それなりの実力を見せてくる。
だが、
「おいおい、何だそのおこちゃまみたい魔力は……俺は岩を破壊しろと言ったはずだ? 話を聞け」
生徒達は悔しさを露わす。
あの岩を破壊するには、膨大な魔力を一点に集中させる魔力操作力が必要だ。
すると、クロテアという生徒の番がやってきた。
フレスに次いで、美少女なためか男子のファンの声援が凄い。
「落ちこぼれのゼルフォード君? 私の魔術を見て、勉強することね」
さて、この少女はどの程度やれるのか。
入学試験では3位だったな。
そして、クロテアは右手を出し、意識をその手に集中させる。
100メートルを走り、体内にあるいくつかの粒子が交わり、粒子集合体が構築され、すぐに体内にある回路を流れ、手に行き渡り、粒子集合体つまり魔力が勢い良く放出され、なんとか抑え、岩に放ち、不規則に動いていた魔力がだんだんと規則正しく動くようになる。
円を描くように。小さな魔力の球体が出来上がる。
波のように回転する音。
綺麗な無属性の魔の力が一部の岩を破壊した。
「おぉぉぉぉ!」
「やっぱり、すげぇクロテア様」
この高度な能力ならば間違いなく合格だろう。
「まあまあだ。合格。じゃ次」
そして、生徒は次々とこなしていく。
訓練所の真ん中に奇妙な形が岩があった。
【再生岩】
壊しても、壊しても、再生する不思議な岩。
生徒の間で不平不満が起きる。
イルガだけが、パチパチと拍手し、その場を沈める。
幾人かの生徒がイルガに意義を唱える。
当然の反応だろう。
今日は入学式だけのはずだった。
「聞いてないです!!」
「そうだ!」
イルガは大声で説教をする。
先程までとは違い、怖い表情をした。
「魔術師ともあろうものが、ぐだぐだ言ってんじゃねーよ!! てめえら魔術師なめんなよ?」
恐怖のあまり静まり返る生徒達。
「さあ、位置につけ。お前らの魔力、敏捷力どんなものか見てやる。良しなら合格だ」
「駄目なら、どうなるんですか?」
「聞かなくても分かるだろ?」
問題は魔力の球体を構築すること。
高い魔力の球体を構築するにはそれなりの技術が必要だ。
エルグランド王国トップに位置する魔術師学院の在校生徒ならまだしも、新入生では難しい。
「俺に魔力の調整、瞬発力を見せつけてくれ。さあ、位置につけ」
「今テストする意味はあるんですか?」
「魔術師はいかなる時いかなる場所でも常に魔術を使用できる状態にしなければならない。分かったか?」
「……」
「魔力による暴走なら心配するな。オレが全力で止めてやるよ」
「あの……僕は魔甲鍛冶師目指しているもの者で、やらなければなりませんか?」
「もちろん強制はしない。だが受けない場合は不合格」
「そんな……」
「このAクラスの担任は俺だ。自ずとオレがルールだ」
「くっーーー」
そして、魔術小テストが始まった。
何人かの生徒は魔力を足に纏わせた身体強化走りをし、魔力を放出し、岩に亀裂を生じさせる。
やはり、Aクラス、文句を言いながらも、それなりの実力を見せてくる。
だが、
「おいおい、何だそのおこちゃまみたい魔力は……俺は岩を破壊しろと言ったはずだ? 話を聞け」
生徒達は悔しさを露わす。
あの岩を破壊するには、膨大な魔力を一点に集中させる魔力操作力が必要だ。
すると、クロテアという生徒の番がやってきた。
フレスに次いで、美少女なためか男子のファンの声援が凄い。
「落ちこぼれのゼルフォード君? 私の魔術を見て、勉強することね」
さて、この少女はどの程度やれるのか。
入学試験では3位だったな。
そして、クロテアは右手を出し、意識をその手に集中させる。
100メートルを走り、体内にあるいくつかの粒子が交わり、粒子集合体が構築され、すぐに体内にある回路を流れ、手に行き渡り、粒子集合体つまり魔力が勢い良く放出され、なんとか抑え、岩に放ち、不規則に動いていた魔力がだんだんと規則正しく動くようになる。
円を描くように。小さな魔力の球体が出来上がる。
波のように回転する音。
綺麗な無属性の魔の力が一部の岩を破壊した。
「おぉぉぉぉ!」
「やっぱり、すげぇクロテア様」
この高度な能力ならば間違いなく合格だろう。
「まあまあだ。合格。じゃ次」
そして、生徒は次々とこなしていく。
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
データワールド(DataWorld)
大斗ダイソン
SF
あらすじ
現代日本、高校生の神夜蒼麻は、親友の玄芳暁斗と共に日常を送っていた。しかし、ある日、不可解な現象に遭遇し、二人は突如として仮想世界(データワールド)に転送されてしまう。
その仮想世界は、かつて禁止された「人体粒子化」実験の結果として生まれた場所だった。そこでは、現実世界から転送された人々がNPC化し、記憶を失った状態で存在していた。
一方、霧咲祇那という少女は、長らくNPCとして機能していたが、謎の白髪の男によって記憶を取り戻す。彼女は自分が仮想世界にいることを再認識し、過去の出来事を思い出す。白髪の男は彼女に協力を求めるが、その真意は不明瞭なままだ。
物語は、現実世界での「人体粒子化」実験の真相、仮想世界の本質、そして登場人物たちの過去と未来が絡み合う。神夜と暁斗は新たな環境に適応しながら、この世界の謎を解き明かそうとする。一方、霧咲祇那は復讐の念に駆られながらも、白髪の男の提案に悩む。
仮想世界では200年もの時が流れ、独特の文化や秩序が形成されていた。発光する星空や、現実とは異なる物理法則など、幻想的な要素が日常に溶け込んでいる。
登場人物たちは、自分たちの存在意義や、現実世界との関係性を模索しながら、仮想世界を揺るがす大きな陰謀に巻き込まれていく。果たして彼らは真実にたどり着き、自由を手に入れることができるのか。そして、現実世界と仮想世界の境界線は、どのように変化していくのか。
この物語は、SFとファンタジーの要素を融合させながら、人間の記憶、感情、そしてアイデンティティの本質に迫る壮大な冒険譚である。
DEADNIGHT
CrazyLight Novels
SF
総合 900 PV 達成!ありがとうございます!
Season 2 Ground 執筆中 全章執筆終了次第順次公開予定
1396年、5歳の主人公は村で「自由のために戦う」という言葉を耳にする。当時は意味を理解できなかった、16年後、その言葉の重みを知ることになる。
21歳で帝国軍事組織CTIQAに入隊した主人公は、すぐさまDeadNight(DN)という反乱組織との戦いに巻き込まれた。戦場で自身がDN支配地域の出身だと知り、衝撃を受けた。激しい戦闘の中で意識を失った主人公は、目覚めると2063年の未来世界にいた。
そこで主人公は、CTIQAが敗北し、新たな組織CREWが立ち上がったことを知る。DNはさらに強大化しており、CREWの隊長は主人公に協力を求めた。主人公は躊躇しながらも同意し、10年間新しい戦闘技術を学ぶ。
2073年、第21回DVC戦争が勃発。主人公は過去の経験と新しい技術を駆使して戦い、敵陣に単身で乗り込み、敵軍大将軍の代理者を倒した。この勝利により、両軍に退避命令が出された。主人公がCREW本部の総括官に呼び出され、主人公は自分の役割や、この終わりなき戦いの行方について考えを巡らせながら、総括官室へ向かう。それがはじまりだった。
乾坤一擲
響 恭也
SF
織田信長には片腕と頼む弟がいた。喜六郎秀隆である。事故死したはずの弟が目覚めたとき、この世にありえぬ知識も同時によみがえっていたのである。
これは兄弟二人が手を取り合って戦国の世を綱渡りのように歩いてゆく物語である。
思い付きのため不定期連載です。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
十六夜誠也の奇妙な冒険
シルヴィアたん
SF
平和な国ー日本ー
しかしこの国である日ウイルスが飛来した。このウイルスに感染したものは狂人と化し人間を見つけては襲いかかる。
狂人に噛まれたものも狂人へと変わる、、、
しかしある一定の年齢までならこのウイルスに感染しない。
これはウイルスに感染せずなお狂人に噛まれなかった少年少女たちの物語。
十六夜誠也と仲間達はウイルスについて、日本の状態についてを知るために狂人と戦う。
第2章
最強の超感染体ウェイパーを倒し、日本も段々と人が増え平和を手にした誠也たち。だが新たに強力な超感染体が次々と現れる。
セルリアン
吉谷新次
SF
銀河連邦軍の上官と拗れたことをキッカケに銀河連邦から離れて、
賞金稼ぎをすることとなったセルリアン・リップルは、
希少な資源を手に入れることに成功する。
しかし、突如として現れたカッツィ団という
魔界から独立を試みる団体によって襲撃を受け、資源の強奪をされたうえ、
賞金稼ぎの相棒を暗殺されてしまう。
人界の銀河連邦と魔界が一触即発となっている時代。
各星団から独立を試みる団体が増える傾向にあり、
無所属の団体や個人が無法地帯で衝突する事件も多発し始めていた。
リップルは強靭な身体と念力を持ち合わせていたため、
生きたままカッツィ団のゴミと一緒に魔界の惑星に捨てられてしまう。
その惑星で出会ったランスという見習い魔術師の少女に助けられ、
次第に会話が弾み、意気投合する。
だが、またしても、
カッツィ団の襲撃とランスの誘拐を目の当たりにしてしまう。
リップルにとってカッツィ団に対する敵対心が強まり、
賞金稼ぎとしてではなく、一個人として、
カッツィ団の頭首ジャンに会いに行くことを決意する。
カッツィ団のいる惑星に侵入するためには、
ブーチという女性操縦士がいる輸送船が必要となり、
彼女を説得することから始まる。
また、その輸送船は、
魔術師から見つからないように隠す迷彩妖術が必要となるため、
妖精の住む惑星で同行ができる妖精を募集する。
加えて、魔界が人界科学の真似事をしている、ということで、
警備システムを弱体化できるハッキング技術の習得者を探すことになる。
リップルは強引な手段を使ってでも、
ランスの救出とカッツィ団の頭首に会うことを目的に行動を起こす。
AI彼女
椛屋 杏
SF
科学技術は日々発展し、それは人々の生活の一部として受け入れられ始めた。
それに伴い、恋愛シミュレーションゲームも進化を遂げた。
決まった選択肢、決まった受け答え、決まったエンディングの時代は終わりを告げた。
『AI彼女』の発売とともに。
彼女達は考える
『彼は何をしたら喜ぶか』
彼女達は考える
『彼はなんと言えば笑ってくれるのか』
彼女達は考える
『彼のそばにずっと居たい』
AIである彼女達はありとあらゆる手を尽くす。
全ては彼と共にあるために。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる