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1章辺鄙な領にて
21話春
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春の温かな陽光、新緑の風が窓から吹き、赤金のカーテンを揺らす。
そこに向日葵の一枚の花びらが降ってきた。
その花びらを触ると、重力のような思いが伝わってきて、突如、視界が変わる。
「ここはどこだ?」
ネギのような植物やトマトのような実やナスのような大きな実が成った畑、そこから乱高下する黄金の稲が咲き、黄金の果実が実った野菜、そして、頂上には太陽のような大輪の花を咲かせる木々が乱立している。圧巻する程、とても綺麗だ。
「この見える格子状の窓、真上にある窓と似ている」
だとしたら、外はこんな風になってるのか。
肉眼で向日葵が咲く木々を見ようと床から窓へ登ろうとしたが、立つこともできないし、窓はだいぶ高さがあるので、赤ん坊にはきつい。
はぁ……立てれば何とかできたかもな。
すると、屋敷内で、ドタバタした音と騒がしい男女の声が聞こえてくる。
今日の屋敷内は大忙し、出入りの激しい4月というのもあるが、約三日に渡って行われる目玉行事である父ウルギアが総軍団長として統括する新人ウゼルゲート魔術軍団の入団式がこの敷地内にある大ホールで今行われるのだ。
その儀式は新人の魔術騎士の御披露目がメインとし行われる。ウゼルゲート領や他領から名知れた軍人関係者が集まる大行事。各領の未来の魔術軍師を見極めや交流や人脈を作る機会となる。
ここにはうちに下宿しているセルナも参加している。名門のアセドラ魔術第一高等学院に通いながらも、才能を高さを認められ、今年からウゼルゲート魔術騎士団に配属されたためである。魔術騎士団は年齢は問わず、実力主義だ。
軍団長の妻としてユスアも参加し、そして、次期当主候補として6歳のサリバンも参加している。親族からの推薦が多数を占める10歳のエリオも参加し、おてんば娘のストラノも参加してる。
俺はというと、泣き喚いては式が台無しになると父に一喝され、リビングルームにて1人でお留守番だ。
遊び盛りのストラノの方が式を台無しにする危険性は高いぞ。これは、断固として言おう。
そして、屋敷内は入団閉会式後に行われるパーティーの食事の準備や新人メイドの引っ越しの準備など何かと忙しいらしく、リビングルームには朝、昼の食事の時にしかやってこず、俺に構っている暇はないようだ。
普通なら寂しいと思うのが赤ん坊の心だが、俺にとっては一人になるのは好都合。
先日、神の如き力を見せ、死にかけの鶏を救い、大量の鶏の恩まで獲得することができたこの品質操作スキルを再び試すことができるのだからな。
【品質操作】レベル2
効能 対象の品質を自由自在に調整できる
対象 道具、食物、植物
それに、ベビーカー生活から抜け出し、ハイハイできるようになったので、これで行動範囲が広がった。
そんなこと考えながら、子供部屋から抜け出し、誰にも見つからないように注意しながら、廊下をハイハイと這っていく。
はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……。
敏捷が10アップしました
敏捷8→敏捷18
戦闘レベルが1アップしました
戦闘レベル0→戦闘レベル1
レベル 0→1
HP 10/10→ 30/30
MP 10/10→ 30/30
魔力 1→2
攻撃 8→15
体力 8→15
耐魔 8→15
耐攻 8→15
回復力 8→15
敏捷 18→30
創造 8→15
運 5→6
知識 5→6
おぉ! レベルアップした! でも、ステータスの伸び悪いな。
よし、どんどん進んで、赤ちゃん成長ポイント貯めるぞ。
はぁ……はぁ……はぁ……はぁはぁはぁ。
疲れた……。
それにしても、這う度に膝、腕、関節が床との摩擦で、じわじわと痛い。
早く立って歩けるようになればな……効率良く貯められるような気がする。
初めてハイハイを継続するを達成しました
赤ちゃん成長ポイント1000ポイントを獲得しました
所有している赤ちゃん成長ポイント:7115ポイント
赤ちゃん称号:存在不確かな生命(ステージ1)
ランクアップはまだまだ!
この赤ちゃん成長ポイントはいったいなんなんだろう。
ランクアップって何か貰えるのかな?
魔法の杖とか、ドラゴンとかかな?
できれば、二足歩行ができるような薬みたいものはないのか?
すると、そんなことに気を取られ、堅い木材らしき箱にぶつかった。
いたたたたっ……。
床には水溜まりと、ガラスの破片が落ちていた。
花瓶?
「うわぁ…………何だこれ? え? 俺が割ったのか? いやいや、俺じゃない、俺じゃない、俺が来た時にはこのような無惨な状態になっていた! って、誰もいない……」
【壊れた一級品の花瓶】
効能 水、火属性魔力が備わっていて、水をいちいち変えなくても、水が汚れれば、勝手に水を沸騰させ、気体にし空気中に放出し、また新たな水を生成する不思議な花瓶。
品質 G(修復不能)
価値 百万貨2枚
※ログレル大魔導具師が創ったログレルシリーズの魔導具。
通貨早見表
億貨1枚 1億
千万貨1枚 1000万
百万貨1枚 100万
十万貨1枚 10万
万貨1枚 1万
千貨1枚 1000
「200万!? 高っ!」
うわぁ……どうすんだこれ……この花瓶割った奴誰だよ……このままだと、俺が割ったみたいじゃないか。
はぁ……困ったな。
ん……でも、待てよ、この品質操作スキルあるじゃないか。
で、品質を向上させれば、元に戻るんじゃないか。
思い立ったら何事も試しが肝心だ。
そこに向日葵の一枚の花びらが降ってきた。
その花びらを触ると、重力のような思いが伝わってきて、突如、視界が変わる。
「ここはどこだ?」
ネギのような植物やトマトのような実やナスのような大きな実が成った畑、そこから乱高下する黄金の稲が咲き、黄金の果実が実った野菜、そして、頂上には太陽のような大輪の花を咲かせる木々が乱立している。圧巻する程、とても綺麗だ。
「この見える格子状の窓、真上にある窓と似ている」
だとしたら、外はこんな風になってるのか。
肉眼で向日葵が咲く木々を見ようと床から窓へ登ろうとしたが、立つこともできないし、窓はだいぶ高さがあるので、赤ん坊にはきつい。
はぁ……立てれば何とかできたかもな。
すると、屋敷内で、ドタバタした音と騒がしい男女の声が聞こえてくる。
今日の屋敷内は大忙し、出入りの激しい4月というのもあるが、約三日に渡って行われる目玉行事である父ウルギアが総軍団長として統括する新人ウゼルゲート魔術軍団の入団式がこの敷地内にある大ホールで今行われるのだ。
その儀式は新人の魔術騎士の御披露目がメインとし行われる。ウゼルゲート領や他領から名知れた軍人関係者が集まる大行事。各領の未来の魔術軍師を見極めや交流や人脈を作る機会となる。
ここにはうちに下宿しているセルナも参加している。名門のアセドラ魔術第一高等学院に通いながらも、才能を高さを認められ、今年からウゼルゲート魔術騎士団に配属されたためである。魔術騎士団は年齢は問わず、実力主義だ。
軍団長の妻としてユスアも参加し、そして、次期当主候補として6歳のサリバンも参加している。親族からの推薦が多数を占める10歳のエリオも参加し、おてんば娘のストラノも参加してる。
俺はというと、泣き喚いては式が台無しになると父に一喝され、リビングルームにて1人でお留守番だ。
遊び盛りのストラノの方が式を台無しにする危険性は高いぞ。これは、断固として言おう。
そして、屋敷内は入団閉会式後に行われるパーティーの食事の準備や新人メイドの引っ越しの準備など何かと忙しいらしく、リビングルームには朝、昼の食事の時にしかやってこず、俺に構っている暇はないようだ。
普通なら寂しいと思うのが赤ん坊の心だが、俺にとっては一人になるのは好都合。
先日、神の如き力を見せ、死にかけの鶏を救い、大量の鶏の恩まで獲得することができたこの品質操作スキルを再び試すことができるのだからな。
【品質操作】レベル2
効能 対象の品質を自由自在に調整できる
対象 道具、食物、植物
それに、ベビーカー生活から抜け出し、ハイハイできるようになったので、これで行動範囲が広がった。
そんなこと考えながら、子供部屋から抜け出し、誰にも見つからないように注意しながら、廊下をハイハイと這っていく。
はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……。
敏捷が10アップしました
敏捷8→敏捷18
戦闘レベルが1アップしました
戦闘レベル0→戦闘レベル1
レベル 0→1
HP 10/10→ 30/30
MP 10/10→ 30/30
魔力 1→2
攻撃 8→15
体力 8→15
耐魔 8→15
耐攻 8→15
回復力 8→15
敏捷 18→30
創造 8→15
運 5→6
知識 5→6
おぉ! レベルアップした! でも、ステータスの伸び悪いな。
よし、どんどん進んで、赤ちゃん成長ポイント貯めるぞ。
はぁ……はぁ……はぁ……はぁはぁはぁ。
疲れた……。
それにしても、這う度に膝、腕、関節が床との摩擦で、じわじわと痛い。
早く立って歩けるようになればな……効率良く貯められるような気がする。
初めてハイハイを継続するを達成しました
赤ちゃん成長ポイント1000ポイントを獲得しました
所有している赤ちゃん成長ポイント:7115ポイント
赤ちゃん称号:存在不確かな生命(ステージ1)
ランクアップはまだまだ!
この赤ちゃん成長ポイントはいったいなんなんだろう。
ランクアップって何か貰えるのかな?
魔法の杖とか、ドラゴンとかかな?
できれば、二足歩行ができるような薬みたいものはないのか?
すると、そんなことに気を取られ、堅い木材らしき箱にぶつかった。
いたたたたっ……。
床には水溜まりと、ガラスの破片が落ちていた。
花瓶?
「うわぁ…………何だこれ? え? 俺が割ったのか? いやいや、俺じゃない、俺じゃない、俺が来た時にはこのような無惨な状態になっていた! って、誰もいない……」
【壊れた一級品の花瓶】
効能 水、火属性魔力が備わっていて、水をいちいち変えなくても、水が汚れれば、勝手に水を沸騰させ、気体にし空気中に放出し、また新たな水を生成する不思議な花瓶。
品質 G(修復不能)
価値 百万貨2枚
※ログレル大魔導具師が創ったログレルシリーズの魔導具。
通貨早見表
億貨1枚 1億
千万貨1枚 1000万
百万貨1枚 100万
十万貨1枚 10万
万貨1枚 1万
千貨1枚 1000
「200万!? 高っ!」
うわぁ……どうすんだこれ……この花瓶割った奴誰だよ……このままだと、俺が割ったみたいじゃないか。
はぁ……困ったな。
ん……でも、待てよ、この品質操作スキルあるじゃないか。
で、品質を向上させれば、元に戻るんじゃないか。
思い立ったら何事も試しが肝心だ。
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