127 / 140
6章愛憎渦巻くゴブリン文明
6章11話悲劇
しおりを挟む
勢い良い余って、シラユキ諸共抱きしめるドラグロワ。
ゴブミはびっくりしたような顔するも、両手を叩き、可愛い笑顔で、笑い声を上げる。
シラユキも自然と笑顔になる。
ドラグロワは今までの悲しい思いも相まって、嬉し泣きする。
傍から見れば仲むつまじい親子。
「生きてくれてありがとう。ゴブミ、ゴブミ、ゴブミ」
「パンパ……パンパ……パンパ」
その時、運悪く、化け物じみた速さで、ドラグロワを追い掛けてきたゴブリアがその瞬間を目撃してしまう。
ピンク色の両眼は醜悪な笑みをする。
「いたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
完全に体はゴブリンとなり、完全に心もゴブリンと化したゴブリア。
斧を持ち、襲いかかろうと、三人に近寄ろうとするが、途中で、人間の頃の記憶が蘇り、愛する人が他の女と楽しく話している姿にポロポロと涙が出てくる。
「何で……私泣いてるの?」
ゴブリアはまだリアという人間の記憶と心を忘れられなかった。
忘れようにも、忘れられないのだ。
こんなはずじゃなかった。
私はあなたに酷いことをしたかもしれない。
でも、それは全てあなたのためだった。
あなたに振り向いて欲しかっただけよ。
最近、あなたは騙された借金を返すために、仕事仕事で、私を放置していた。
私は寂しかった。
でも、あなたの力になりたい、困ってるあなたを助けたいと思った。
だからこそ、私はゴブリンキングに結婚とお金の交換条件を持ち掛けた。
あなたと一緒に逃げるために。
でも、あなたはそんな悪事は出来ないと拒否した。
私がせっかくあなたを助けようと優しさを掛けたのに、あなたは冷たい一言であしらった。
許せなかった。
綺麗事で世の中は回ってはいない。
あなたの正義を貫く態度は素晴らしいけれど、この醜い世の中では生きてはいけない。
でも、そんなあなたが私は好きで好きで仕方がない。
誰よりも愛している。
けれど、強い愛は強い憎しみを生む、その二つの思いの葛藤がごちゃごちゃになり、私はおかしくなった。
どうやったら、私のあなたに対する愛を分かってくれるのか。
そして、あなたの私に対する愛を確かめたかった。
たった一言、嘘でも良いから愛してると言って欲しかった。
だから、私は愛を確かめるために、歪んだ愛の計画を思いついた。
グリムと結託し、ゴブリンキングに計画を告げ口し、あなたにグリムとの仲をばらしたのだ。
あなたから何もかも奪い、友に裏切られ、恋人に捨てられ、上司に見捨てられ、地獄に突き落としてやった。
私は表面では憎しみをぶちまけたけど、内心はあなたの哀れな姿を見て、心が張り裂けそうだった。
そして、何かも失ったあなたが私に必死の助けを求めることを願った。
でも、あなたは何も言わず立ち去った。
なんでなの……。
あなたに対する怒りと自身の悔しさが私に生じた。
ごめんなさい、愛してると言えば、私はあなたのところに戻ったのに……。
なぜ、何も言わず立ち去ってしまうの。
どうして、どうして、どうして。
こんなに私は愛してるのに……。
そもそも、ゴブリンキング、グリムとだって愛の誓いなんてしていない。
愛の誓いをしたのはあなただけ。私が愛してるのはあなただけ。
だから、そう、ゴブミはあなたの子なの。
あなたと私の子なの。
そして、心の中で、言い続けながら、遂にドラグロワの元へ走り出す。
その瞬間、ドラグロワは振り向き、驚愕の目をする。
「ドラグロワ愛してるわ」
しかし、懐から剣を取り出し、透かさず、リアの心臓に突き刺した。
血は傷口から剣の刃を伝い、地面に流れ、ポタポタ滴り落ちる。
「憎きゴブリン奴め」
あーそうか。
私は醜いゴブリンだった。だから、愛する人にも殺されてしまうのね。
でも、良かった。
殺してくれたのがドラグロワで、
こんな私を殺してくれて、ありがとう。
悲しいピンク色の両眼で見つめ、血糊ついた両手で、ドラグロワの顔を愛を示すかのように触る。
「……愛してるわ」
ドラグロワは刺した瞬間、気づいてしまった。
目の前にいる一番嫌いなゴブリンは、愛する人間のリアだということに。
ドラグロワは顔を歪め、嗚咽を漏らし、呼応するように涙を滲ませ、溢れ、流れる。
「あぁ……うぅ……何で……何で……あぁ」
緑の怪物は次第に美しい顔となる。
綺麗な緑色の髪、白い肌、両眼の下にそばかす、ほくろ、強い眉。
そして、彼女の両眼から涙の一筋の軌跡が流れ落ち、枯れ果て、そっと目を閉じた。
ドラグロワは絶望の絶叫をした。
「ああああああ」
ゴブミはびっくりしたような顔するも、両手を叩き、可愛い笑顔で、笑い声を上げる。
シラユキも自然と笑顔になる。
ドラグロワは今までの悲しい思いも相まって、嬉し泣きする。
傍から見れば仲むつまじい親子。
「生きてくれてありがとう。ゴブミ、ゴブミ、ゴブミ」
「パンパ……パンパ……パンパ」
その時、運悪く、化け物じみた速さで、ドラグロワを追い掛けてきたゴブリアがその瞬間を目撃してしまう。
ピンク色の両眼は醜悪な笑みをする。
「いたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
完全に体はゴブリンとなり、完全に心もゴブリンと化したゴブリア。
斧を持ち、襲いかかろうと、三人に近寄ろうとするが、途中で、人間の頃の記憶が蘇り、愛する人が他の女と楽しく話している姿にポロポロと涙が出てくる。
「何で……私泣いてるの?」
ゴブリアはまだリアという人間の記憶と心を忘れられなかった。
忘れようにも、忘れられないのだ。
こんなはずじゃなかった。
私はあなたに酷いことをしたかもしれない。
でも、それは全てあなたのためだった。
あなたに振り向いて欲しかっただけよ。
最近、あなたは騙された借金を返すために、仕事仕事で、私を放置していた。
私は寂しかった。
でも、あなたの力になりたい、困ってるあなたを助けたいと思った。
だからこそ、私はゴブリンキングに結婚とお金の交換条件を持ち掛けた。
あなたと一緒に逃げるために。
でも、あなたはそんな悪事は出来ないと拒否した。
私がせっかくあなたを助けようと優しさを掛けたのに、あなたは冷たい一言であしらった。
許せなかった。
綺麗事で世の中は回ってはいない。
あなたの正義を貫く態度は素晴らしいけれど、この醜い世の中では生きてはいけない。
でも、そんなあなたが私は好きで好きで仕方がない。
誰よりも愛している。
けれど、強い愛は強い憎しみを生む、その二つの思いの葛藤がごちゃごちゃになり、私はおかしくなった。
どうやったら、私のあなたに対する愛を分かってくれるのか。
そして、あなたの私に対する愛を確かめたかった。
たった一言、嘘でも良いから愛してると言って欲しかった。
だから、私は愛を確かめるために、歪んだ愛の計画を思いついた。
グリムと結託し、ゴブリンキングに計画を告げ口し、あなたにグリムとの仲をばらしたのだ。
あなたから何もかも奪い、友に裏切られ、恋人に捨てられ、上司に見捨てられ、地獄に突き落としてやった。
私は表面では憎しみをぶちまけたけど、内心はあなたの哀れな姿を見て、心が張り裂けそうだった。
そして、何かも失ったあなたが私に必死の助けを求めることを願った。
でも、あなたは何も言わず立ち去った。
なんでなの……。
あなたに対する怒りと自身の悔しさが私に生じた。
ごめんなさい、愛してると言えば、私はあなたのところに戻ったのに……。
なぜ、何も言わず立ち去ってしまうの。
どうして、どうして、どうして。
こんなに私は愛してるのに……。
そもそも、ゴブリンキング、グリムとだって愛の誓いなんてしていない。
愛の誓いをしたのはあなただけ。私が愛してるのはあなただけ。
だから、そう、ゴブミはあなたの子なの。
あなたと私の子なの。
そして、心の中で、言い続けながら、遂にドラグロワの元へ走り出す。
その瞬間、ドラグロワは振り向き、驚愕の目をする。
「ドラグロワ愛してるわ」
しかし、懐から剣を取り出し、透かさず、リアの心臓に突き刺した。
血は傷口から剣の刃を伝い、地面に流れ、ポタポタ滴り落ちる。
「憎きゴブリン奴め」
あーそうか。
私は醜いゴブリンだった。だから、愛する人にも殺されてしまうのね。
でも、良かった。
殺してくれたのがドラグロワで、
こんな私を殺してくれて、ありがとう。
悲しいピンク色の両眼で見つめ、血糊ついた両手で、ドラグロワの顔を愛を示すかのように触る。
「……愛してるわ」
ドラグロワは刺した瞬間、気づいてしまった。
目の前にいる一番嫌いなゴブリンは、愛する人間のリアだということに。
ドラグロワは顔を歪め、嗚咽を漏らし、呼応するように涙を滲ませ、溢れ、流れる。
「あぁ……うぅ……何で……何で……あぁ」
緑の怪物は次第に美しい顔となる。
綺麗な緑色の髪、白い肌、両眼の下にそばかす、ほくろ、強い眉。
そして、彼女の両眼から涙の一筋の軌跡が流れ落ち、枯れ果て、そっと目を閉じた。
ドラグロワは絶望の絶叫をした。
「ああああああ」
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。



特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました
竹桜
ファンタジー
いつもと変わらない日常を過ごしていたが、通り魔に刺され、異世界に転生したのだ。
だが、転生したのはゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる隣国の伯爵家の長男だった。
そのことを前向きに考えていたが、森に捨てられてしまったのだ。
これは異世界に転生した主人公が生きるために成長する物語だ。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?

伯爵家の三男は冒険者を目指す!
おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました!
佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。
彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった...
(...伶奈、ごめん...)
異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。
初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。
誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。
1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる