最強の魔王による転生令嬢を巻き込んだ異世界チート無双計画

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7章魔王軍団VS世界革命軍団

7章9話選ばれた魔王

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 新地球の外側で魔王の様子を見守る白い宇宙人がいた。
 恍惚の黒い両眼で、喜びを現す古代宇宙飛行士(クルル)。

「素晴らしいです。興奮する。さすが、魔王だ」

 その時、赤髪の眼帯を右目に付けた、逞しい体格の大旅人ベイルが隣に現れる。
 冷徹な左の赤眼が鋭く光った。
 クルルは笑みを浮かべ、動じる様子は無い。

「お前はゴブリンキングを利用して、何をしようとしていた?」

「さあ?」

「クリムトにあのチートのアイテムを与えたのはお前だろ?」
 
「何をおっしゃってるんですか? そんなことをして何の意味があるんですか?」

「まあ良い。お前は世界を巻き込んで、楽しいか?」

「ええ。楽しいですよ。非道だとでも言うのですか? 良いではないですか。いずれ、滅びる新地球。この世界は争い、貧困、飢餓、様々な問題がある。そして、大半の人間はその世界は嫌いで、滅びろと思っている。なら、望み通り滅ぼしてあげよう、僕達もその光景を見て、幸せになるのです。良いのでは」

「だが、今回は世界は滅びない。クリムトが止めるからな」

「でしょうね。彼は僕が最も愛する魔王なのですから」

          *
 ゴブリン魔王はノアの源となる本体の居場所を探していた。
 ノア本体を獲得すれば、この大災害を止められる。
 すると、空から現れたのはゴブリン化したアカリを手にしながら、ドラグロワが冷徹な黄金色の両眼で下降し、アカリを地面に投げ捨てた。

「さすがじゃ、魔王よ。まさか、ゴブリンキングを倒すとはな」

 アカリの扱いに怒りを燃やす訳でもなく、不敵に笑う魔王。

「ずいぶん上からだな。偽りの神よ」

「……黙れ」

 ドラグロワは怒りの炎を発したが、回避され、逆にゴブリン魔王に懐へ瞬間移動させられ、

「俺はもしかしたら、王神を倒すかもしれない」

「……なに」

 その瞬間、強烈なゴブリンの右拳がドラグロワの顔面に直撃し、吹き飛ばした。
 煙を上げ、落下する。
 煙が消えた頃に、ドラグロワは全身を血だらけにしながらも、立ち上がり、気絶したアカリを人質にし、訴える。

「この女を殺す」

「好きにしろ」

「何じゃと? 此奴はお主が大切に思ってるアカリじゃぞ?」 

「煩い爺だ。ならば、俺が殺してやろう」
 
 すると、ゴブリン魔王は右手を向け、無効の破壊の弾丸を構築。
 
「正気かお主?」

「なぁ? 龍よ。貴様は本当は分かっているんじゃないか。どれだけ、リアの器を探しても、それは本物のリアには敵わないことを。自らの悲しみが癒えないことを」

「違う。リアの魂はアカリにあるのじゃ」

「そこにリアの魂は無い。貴様のふざけた妄想だ。ただあるのは、腐った、ゴミのようなリアの細胞があるだけだ」

「リアを侮辱するな」

「結局の所、アカリは完全体にはなりきれてない。それは、リアの細胞自身がアカリを拒絶している」

「そんなはず……は」

「試してみるか?」

 その瞬間、無効の破壊の弾丸は、アカリの心臓を貫き、リアの細胞をアカリから排除し、粉々になった細胞が舞った。
 アカリは全身からゴブリンの皮膚がさっーと引いていき、元の可愛いらしい本来の姿に戻る。
 そして、血を吐き出しながらも、意識を取り戻した。

「はぁはぁはぁ……はぁ」
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