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6章愛憎渦巻くゴブリン文明

6章13話ドラグロワVSゴブリンキング

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 その時、ドラグロワの頭上から謎の発光体が現れ、左右に揺れ、奇妙な動きをする。
 そんな不思議な現象にドラグロワは動じることは無く、むしろ予期していたかのようだ。
 白い発光体は地上へ降り立ち、人型を形作る。
 坊主の発光色の人間がそこにいた。
 そして、顔部分に黒い両眼が浮かび上がる。
【古代宇宙飛行士(クルル)】
 クルルは高く、ヘリウムを吸ったような声を発しながら、右手を上げ、挨拶する。

「よぉ? 久し振りだな」
 
 男か女かは不明で、異様な人物にしては、陽気な奴だった。
 ドラグロワは息を入れず、復讐に満ちた金眼をする。

「ゴブリンキングを倒したい。力をくれ」

 クルルは軽く体操し、笑みを浮かべる。

「やっと、決心ついたか。よし、お前を龍の神にしてやる」

 マグマ溜まりが異常を起こし、噴煙し、ゴブリン文明流域に火山灰と地震を幾度なく街に齎す。
 民衆は恐怖で逃げ惑うが、迫り来る噴煙と火山灰の餌食となる。
 もちろん、地下迷宮も例外ではない。
 向日葵畑は降り注ぐ火山灰によって、生気取られ、黒く枯れ葉てる。
 地下迷宮の中は火山内部繋がっているため、大量の溶岩が入り込み、一瞬で、ゴブリンと人間達を飲み込む。
 悲鳴と絶叫があたかも無く、一瞬で消し去る。
 直に溶岩が増え上がり、地上へも到達するだろう。
 そして、ゴブリンキングは煤を身体中に浴びながら、運良く地上に脱出していた。

「あぶね。マジで死ぬところだった。ハァハァハァハァハァ」

 命の危機に攫われ、紅の両眼は飛び出し、放心状態。
 正面に見えたのは赤黒い空、噴煙と微々たる溶岩が噴火した火山、そして、銀色の龍の騎士が近づいて来る。
 鎧から見えるのは黄金の龍の両眼、防具の背後からはみ出して、乱れる龍の棘のある尻尾。
 ゴブリンキングは恐怖で、声は震え、思わず後退る。

「誰だだだ?」

「忘れたか。おれはドラグロワ。いや、ドラグロワ龍王神」

「何しに来たぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 
 ゴブリンキングは王たる者簡単に引き下がれないと威勢良く声を張り上げ、恐怖を掻き消し、与える。
 その瞬間、ドラグロワの剣から強烈な赤い龍の波動が放たれ、ゴブリンキングの横を掠め、向こう山々に直撃し爆発、その瞬間、山崩れが起きる。
 恐ろしい神の力をこいつは手にしたのだと悟るゴブリンキング。
 
「待て。な? 冷静になれって。ドラグロワ」

 次の瞬間、ドラグロワは地面をけたたましく蹴り上げ、一直線に走る。
 ゴブリンキングは致し方ないとし、怒り紅の両眼をさせ、爆裂な雷の右拳を炸裂するが、華麗に上へ回避される。
 次にドラグロワは下へ龍の炎を纏う剣を垂直に振り下ろし、ゴブリンキングもすぐさま爆発力の雷の左拳で応戦し、そして、凄まじい衝突する。
 それは雷の鬼と炎の龍が激突し天地の衝突という恐ろしい光景という反面、他を魅力する程色彩豊かな美しい光景だ。
 その後、雷と炎は凄まじい動きを繰り返しながら、応酬を続ける。
 やがて、大きな衝突し、反動で両者は後退する。
 
「なかなかやるな」

「さすが、我が主だ。だが、勝利のはおれだ」

 攻撃力や機動力ではゴブリンキングの上だが、魔法力に関しては龍神になったドラグロワに分がある。
 ドラグロワは剣を天に掲げて、炎の大渦を放出、地上には巨大な円形の結界が刻印され、ゴブリンキングの範囲を捉え、自由を奪う。
 ゴブリンキングは驚愕の紅の両眼をし、暴れるも、為す術は無い。

「やめろぉぉぉぉぉ!!!!」

「灼熱地獄釜」

 次の瞬間、結界に灼熱の炎が灯り、燃え広がり、炎海となり、ゴブリンキングを焼き尽くす。

「あちち! あちちぃぃぃぃぃぃ! あちぃぃぃぃぃぃ!!」

 更に、ドラグロワは魔法を唱える。

「灼熱龍窯焼き!」
 
 その瞬間、炎龍が地面からゴブリンキングを咥えて、火達磨にし、浮かぶゴブリンキングを、炎龍が行ったり来たりを繰り返し攻撃をする。
 ゴブリンキングの助けを求める絶叫が響く。

「あちぃぃぃぃぃぃぃぃぃよ!!! 助けてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 そんな聞く耳を持たない、非情な龍となった男は更に剣を掲げ、次なる魔法を行使する。

「消えろぉぉぉぉぉぉぉぉ憎きゴブリン!!!!」

 
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