最強の魔王による転生令嬢を巻き込んだ異世界チート無双計画

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6章愛憎渦巻くゴブリン文明

6章7話裏切り

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 おぞましい血の光景だ。
 口や目、心臓から血を垂れ流した死体が積み重なり、多すぎて崩れ落ちる。
 ゴブリンやミノタウロス、特に人間の神官が多かった。
 なぜ、慕っていた部下に対してこんなことができるんだ。
 涙すら枯れ果て、絶句するしかないドラグロワ。
 これは夢なんじゃないかそう思ってしまう。
 ゴブリンキングは壇上に飛び出してきた、ゴブスの死体を汚物のような紅の両眼で、蹴散らした。

「汚ねぇな」
 
 悔しさが更に滲み上がり、拳を振り上げ訴えるドラグロワ。

「なぜ殺したんですか? 慕っていた部下ですぞぉ」

「ガハハハハハハハハ。ドラグロワ、お前は哀れだな。こいつらはお前を裏切り、お前が苦心して練り上げた暗殺計画を告げ口したんだ」

「なら、殺すのはおれだけで良かったはずだ!」

「そうだな。でも、面倒だから全部殺した。ガハハハハハハハハハ」

「あぁああああああああああ!!!!」

 狂ったようにドラグロワは剣を振り回し、ぎゅっと強くリアの手を握り締め、教会から逃げ出す。
 純白のドレスを纏った花嫁を奪う黄金の戦士。
 奇異に映るその光景に目を奪われ、唖然とする皆。
 ゴブリン騎士達ははっと驚き、追い掛けようとするが、ゴブリンキングによって制止させられた。
 だが、まだ企みの笑みは終わってはいない

「今回の結婚式のショーはここまでだ。ガハハハハハハハ」


           *
 黄金の通路をひたすら走る。
 どこまでも、どこまでも走る。
 すると、通路で松明を持ちながら、待つ人影が見えた。
 あれは我が友人グリムだった。
 灰色の長髪、利発な面差し、間違いない。
 ドラグロワは立ち止まり、苛立ちを露わにし、訴える。
 
「グリム! お前……どうして、教会から抜け出した」

「……」

 グリムは無言で、笑みを浮かべる。

「何とか言え!」

 そして、グリムは陰鬱な白眼で、悪魔のように歪み、ようやく口を開き、左の懐を開ける。

「ご苦労だったな」

 すると、隣にいた純白ウェディングドレスを纏った、緑色の髪の美女がグリムの懐に一直線に飛び込んだ。
 今何が起きてるんだ。
 今グリムに向かった彼女は誰だ?
 いや……。
 長年の想い人リアと親友グリムと恋仲のように肩を寄せ、更に額と額を合わせ、口つけをした。
 リアは俺には見せない、頬を赤らませ、雌のような興奮、発情した肢体をグリムの股間に絡ませる。

「あぁぁぁぁぁ」

 ドラグロワは衝撃の光景に、ショックで崩れ落ち、悔しさを滲ませながらも、声を震わせ問い掛ける。

「いつからだ?」

 事が終わるとグリムは振り向き、嘲笑った、見下した表情で、淡々と冷静に答える。

「数ヶ月前かな。リアがストーカーに悩まされていると聞いてな」

 一々グリムとリアは相互に愛撫でをする。
 まるで、ドラグロワに魅せつけるかのように。
 ドラグロワは話が見えず、死んだような顔で問い掛ける。

「ストーカー?」

 そして、リアは魅惑の緑眼で、グリムの顔を馴れた手つき触りながら、ドラグロワを見た。
 断罪するかのような、いつものリアの声ではない低い声で、

「ストーカーはあなたよ。ドラグロワ」

「おれが……そんなことをした覚えはない……」

 グリムは白々しく嘘をつくドラグロワに、怒りの形相をし、激しく罵倒する。
 普段温厚なグリムがここまで激怒するのは初めて見た。

「この期に及んで、まだそんな嘘を言う気か? 卑怯な奴め」
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