最強の魔王による転生令嬢を巻き込んだ異世界チート無双計画

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5章呪われた魔王

5章3話向日葵墓地

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 向日葵墓地。
 鬱蒼としげる草木があり、中の様子は見えない。
 昼間だというのに、赤黒い景色。
 時折、聞こえる悲鳴のような鳥の鳴き声。
 門は棘の鎖で何重にも堅く施錠され、誰が入った形跡はない。
 すると、そこへ、赤黒蜘蛛の集団が一斉にその門をぶち壊していく。
 丸みを帯び、巨大な尻部分は毒針を垂らしながら、赤く太い長い脚が地面を抉るように走り、そして、余った脚は出鱈目に前方の障害物を破壊していく。
 そして、顔と言うものが無いが、ただ高低のある歯で、逃げ遅れた魔獣を噛み砕く。
 まるで、口だけが動いているようにも見える。
 それもそのはず、この蜘蛛達にはそれぞれ自らの意志というものは無い。
 あるとすれば、ボス蜘蛛の食欲しかない。
 恐ろしい蜘蛛の行列だ。

「ェオェオェオェオ」

 そして、少し進むと、黒く枯れた向日葵畑と到着する。
 何か感じるならば、異様な空間だということが分かる。
 ここ一帯は淀んだ雲や霧も流れ、頻繁に地場が歪む。
 ふと、霧が消えると、多数の小さな墓が立っている。
 古く、読めないのが多々あるが、一つの墓石にゴブリンと書かれているのが見える。
 だが、そんな怪しげさを無視して、蜘蛛の集団達は墓を荒らし、破壊していく。
 その時、蜘蛛の集団は固まる。

「ェオ!?」

 その時、巨大な塊が凄まじい衝撃で空から落下する。
 まるで、隕石のようなものが落下したような衝撃。
 それは巨大な蜘蛛のようではあるが、鬼と蜘蛛が合わさった怪物。
 怪物も衝撃を和らげるため腰を下ろした状態で、周囲を睨む、そして、上半身を伸ばすと全貌が明らかになる。
 それは四メートル級の巨大な鬼。
 全身が影のように黒く、赤い両眼が光り、不敵な口から舌がベロベロ蠢く。
 何から何まで大きく、背中には八本の分厚い黒い蜘蛛の手が生え、また強靭な足腰。【鬼蜘蛛将軍】(アラクネ)という男。魔王軍団第三支部隊長。
 おそらく、デュランダルと肩を並べる程の強さを持っている程、危険な男。 
 威圧するような声を発する。

「チビ共! 何固まってんだ? 早く穴を掘れや」
 
 恐怖で震え上がる蜘蛛達は、すぐさま鋼鉄の脚で穴を掘って行く。
 アラクネはイライラしながら舌打ちをし、胡座を掻いて地面に座る。

「時間はねぇぞ! 分かってんのかぁ!」

「ェオァ!!!!」

   「アラクネ! この血を荒らすとはいい度胸やな!」

「あぁ?」

 黒い影の怪物がのそっと後ろを向き、血の両眼が左右に睨む。
 シラユキは美しい顔に関わらず、眉間に皺を寄せ、右手に吹雪を纏わし戦闘態勢の構え。
 後ろへ隠れ震えながら、裸一貫で、黄色のキノコ帽子を被ったマツタケ。
 シラユキはマツタケに苛立ちながらも、代わりに主張する。

「貴様の行為は他の領域に侵略するのは魔王軍団規則に反する」

「おいおい、誰に言ってんのか分かってるのか綺麗な姉ちゃん? オイラはアラクネだぞ?」

「魔王様に反旗翻す気か?」

 アラクネはシラユキの無礼な態度に怒りを露わにし、たった右拳の一振りで、枯れた地面を破壊し、亀裂を生じさせる。
 凄まじい衝撃と風圧が生じ、その影響で、マツタケのみが吹っ飛ぶ。
 何とか態勢を保つシラユキは即時に反撃の右手から吹雪を放つ。

「消えろ」

 しかし、その攻撃はアラクネには無効だった。
 まるで、黒い影が雪の結晶を吸収した。
 アラクネの血の両眼は挑発する。

「びびってんのか?」

「言っておく、魔王様は生きている」

 しかし、その魔王復活という衝撃の事実に驚きもしないアラクネ。

「ぁあ? だから何だ?」

 マツタケは地面に這いつくばり、声を震わせながら。

「アラクネは反魔王派だ!」

 シラユキの綺麗な顔の眉間にさらに皺が寄る。

「何」

「クックックッそういうことたぁぁぁぁ!」

 その瞬間、アラクネは気味の悪い口から糸が発射する。
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