最強の魔王による転生令嬢を巻き込んだ異世界チート無双計画

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4章神英雄団討伐

4章2話突入

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 魔王は巨大な豪華客船で英雄海を渡り、英雄の国の船着き場へ密かに降り立っていた。
 ここは英雄西海岸(ヒーローグリフノース)地区。
 昔ながらの巨大な古城が向こうの頂上にあり、中世風の街並みの街道、多くの民家が広がる。
 そして、魔王はやや勾配の坂を上り、一息入れ立ち止まり、振り返った。

「なぜお前までついて来る?」

 そこにいたのは生意気な紫色の両眼をした金髪の女神。

「私はこの世界を平和にすると誓ったの、だから、私も悪の英雄を倒しに行く」

「お前に何ができる?」

「弱いけど、出来ることはあるはず。なぜなら、私は王神の臣下女神よ」

 すると、アカリの隣にいる、先日魔王軍団に新しく入った銀髪の白い雪女シラユキが割って入る。

「娼婦奴め……魔王様に何という無礼な口を訊く」

「はぁ!? 誰が娼婦ですって!」

 そこで、仲裁に入ったのが、なぜここにいるのか分からないが、先日予選大会にいた、古びた銀色の鎧を身に纏う老龍騎士。

「若いものよ、やめるのじゃ」

「触るな糞じじい!」

 シラユキが冷徹の群青の両眼で、人睨みし、老龍騎士に手を振り解く。

「……それはすまん」

 その一連のいざこざを冷徹な視線で、無視する魔王。

「そこの女神が付いてきた理由は分かるが……じじいは何故だ」

 老龍騎士の仮面から表情は伺えないが、きっとよくぞ聞いてくれましたと笑みを浮かべているに違いない。
 もったいぶった態度に苛立ちを覚えるのが早いのが、魔王ではなくシラユキ。
 シラユキは老龍騎士の首を絞め、強引に言葉を吐かせようとする。

「早く言え糞爺!」

「ちょっと……ん……お嬢ちゃんやめてくれん……ごほん……やや」
 
「早く言え!」

 そのシラユキの凶暴さに待ったを掛け、押し退けるアカリ。

「やめなさいよ!」

「何だブス女」

「あなた……お年寄りには優しくしなさいってお母さんお父さんに言われなかったの!」

「私に母や父はいない。魔王様だけだ」

 アカリが怒りの視線を魔王に移す。
 魔王は冷徹な表情で見た後、黒衣を翻し、再度老龍騎士に問う。

「あまり……騒ぎ立てるな、人の目も気になる。それで、どういうことだ?」


「神英雄団と刃を交えるならば、ワシも一役買える」

「そうか……邪魔だけはするな」

「分かっておる」

 その時、周囲の家屋に強大な爆弾何発も空から放たれ、破壊され、周囲の民衆が叫び声を上げ、逃げて行く。
 魔王は険しい表情をする。

「殺気が」

 魔王が強烈な悪寒を感じ、一旦退こうした時、既に遅かった。
 目の前で、アカリ、シラユキが心臓を貫かれ、前のめりになり、倒される瞬間を目撃する。
 豪奢な装いをした英雄達が剣を抜き、そこから揺れる血飛沫が空を染める。
 そして、アカリを拘束し、魔王に刃を向けた。

「なにこれ」

「魔王様!」

 神英雄総勢五人は不敵な笑みを浮かべ、

「潔く女神を渡せ。要求が飲めないなら、貴様、貴様の家族や周辺の者は皆殺しだ」

「離して、離してよ」

 アカリは傷口を押さえながら、暴れる。
 魔王は冷徹な表情で、

「勝手にしろ。俺の物ではない」

「いい判断だ」

 そして、神英雄達はアカリを抱えて、颯爽と去って行く。
 アカリの必死に助けを求める視線を逸らす魔王。

「離してよぉぉぉぉ!!!!」

 手負いながら、立ち上がるシラユキと老龍騎士。
 
「行かせて良いのですか?」

「魔王よ。見損なったぞ」

 そして、魔王は空を見上げ、手を掲げ、雨粒を感じる。

「直に嵐が来るな。神の英雄との最終決戦に相応しい」
 
           *
 英雄の銅像の頂上には灰色の雲が絶え間なく流れ、稲妻、雨や風が吹き荒れる。
 鉄の十字架に吊された、心臓を数十本の剣で貫かれながらも、治癒力で何とか生命を保つ金髪の女神アカリ。
 その正面には白黒の髪の色をした無感情な顔した大神英雄シュトラウスがいた。
 そこへ、魔王が闇のオーラを放ちながら、ゆっくり歩き、立ち止まる。
 シュトラウスは不気味な笑顔で振り返り、

「良くここまでたどり着いたな。だが、意外だったすんなり女神を渡すとは」

「アカリを餌にここまで、たどり着いた。貴様の居場所が分からないし、英雄の結界を魔王が破るには相当苦労するのでな。それに、貴様にとってその女神は用済みなのだろ? 敗北者よ」

 魔王の最後の言葉は何もかも知った上での、嘲笑いの顔だ。
 その姿にシュトラウスは怒りを増幅させ、黒眼を飛び出し、狂った叫び声を上げる。

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!! オレ様は決して敗北者ではない。この世界の勝者だ! 正義を掲げ、世界を平和にしようとした英雄だぁぁぁぁぁぁぁ!」



 
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