59 / 140
2章英雄闘拳地区予選
2章8話英雄の企み
しおりを挟む
鬱陶しく、無意味な正義感の女神に苛立つ黒髪の英雄は上に目配せし、笑みを上げる。
すると、アカリの後ろから密かに隠れていたと思われるオノを片手に持った小さなゴブリンと棍棒を手にした赤鬼(オーガ)が出現した。
「ギャハハハハハ」
「オーオー!!!!」
「何これ!?」
そして、アカリを穴へと突き飛ばし、同時に魔獣ニ体も降り、袋の鼠状態となる。
それと同じくして、浮遊する魔王は、疑問を浮かべる。
「あの魔獣はなんだ?」
あの英雄が魔獣を従えているということなのか。
ルルが解説する。
「おそらく魔獣と英雄は奴隷契約を結んだのでしょう。英雄は殺さずに、魔獣に命乞いさせることで相互契約が成立しました。法では相互契約として認められていますが、実際は一方的な奴隷契約なのです」
「……奴隷か」
「けれど、奴隷契約は低級魔獣や中級魔獣にしか適用しません。上位魔獣になってくると、相互契約の使役契約を結ぶことになります。他にも、精霊や伝説魔獣と契約を結ぶことが出来ます」
「クックックッ……おっ……あの女神このままだと殺されるな。これは見物だ。あのふざけた金髪にもこの顛末の動画を見せられる」
「悪趣味ですね」
あの時の屈辱を許してはいない。
俺の衣服にソフトクリームを汚した馬鹿なガキがいて、そこへ、女神がノコノコとやってきて、無意味な正義感を振りかざし、公衆の面前で俺に恥をかかせた。
許さない。
この自らの手で、あいつに復讐の手を加えようと思ったが。
しかし、あんな雑魚相手に貴様がやられるなら良しとよう。
一体どんな顔で死を迎えるんだろうな。
楽しみだ。
すると、ルルが呟く。
「魔王様……助けてあげないのですか?」
「何?」
「あっ……いえ。何でもありませんでした。あの女神どんな顔で死ぬのでしょうかね……楽しみ」
「……」
助ける?
なぜ俺が?
俺は人間の優しさを捨てた世界を滅ぼす魔王だぞ。
優しさ? 正義?
ふざけるな。
そんな言葉は魔王の啓示録に一文字もない。
そして、アカリは退避しようとするが、どうした訳か足が動かない。
黒髪の英雄は笑みを漏らす。
「そこは僕の恐怖の硬直スキルが発動した。あらかじめ、ドラゴンをおびき寄せるために、その辺りに範囲対象として指定していたが、運悪くお前が嵌まったのさ。だが、結果的に良かった。これで、お前の所持金、アイテムは頂く」
すると、アカリの後ろから密かに隠れていたと思われるオノを片手に持った小さなゴブリンと棍棒を手にした赤鬼(オーガ)が出現した。
「ギャハハハハハ」
「オーオー!!!!」
「何これ!?」
そして、アカリを穴へと突き飛ばし、同時に魔獣ニ体も降り、袋の鼠状態となる。
それと同じくして、浮遊する魔王は、疑問を浮かべる。
「あの魔獣はなんだ?」
あの英雄が魔獣を従えているということなのか。
ルルが解説する。
「おそらく魔獣と英雄は奴隷契約を結んだのでしょう。英雄は殺さずに、魔獣に命乞いさせることで相互契約が成立しました。法では相互契約として認められていますが、実際は一方的な奴隷契約なのです」
「……奴隷か」
「けれど、奴隷契約は低級魔獣や中級魔獣にしか適用しません。上位魔獣になってくると、相互契約の使役契約を結ぶことになります。他にも、精霊や伝説魔獣と契約を結ぶことが出来ます」
「クックックッ……おっ……あの女神このままだと殺されるな。これは見物だ。あのふざけた金髪にもこの顛末の動画を見せられる」
「悪趣味ですね」
あの時の屈辱を許してはいない。
俺の衣服にソフトクリームを汚した馬鹿なガキがいて、そこへ、女神がノコノコとやってきて、無意味な正義感を振りかざし、公衆の面前で俺に恥をかかせた。
許さない。
この自らの手で、あいつに復讐の手を加えようと思ったが。
しかし、あんな雑魚相手に貴様がやられるなら良しとよう。
一体どんな顔で死を迎えるんだろうな。
楽しみだ。
すると、ルルが呟く。
「魔王様……助けてあげないのですか?」
「何?」
「あっ……いえ。何でもありませんでした。あの女神どんな顔で死ぬのでしょうかね……楽しみ」
「……」
助ける?
なぜ俺が?
俺は人間の優しさを捨てた世界を滅ぼす魔王だぞ。
優しさ? 正義?
ふざけるな。
そんな言葉は魔王の啓示録に一文字もない。
そして、アカリは退避しようとするが、どうした訳か足が動かない。
黒髪の英雄は笑みを漏らす。
「そこは僕の恐怖の硬直スキルが発動した。あらかじめ、ドラゴンをおびき寄せるために、その辺りに範囲対象として指定していたが、運悪くお前が嵌まったのさ。だが、結果的に良かった。これで、お前の所持金、アイテムは頂く」
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈


【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
神に愛された子
鈴木 カタル
ファンタジー
日本で善行を重ねた老人は、その生を終え、異世界のとある国王の孫・リーンオルゴットとして転生した。
家族に愛情を注がれて育った彼は、ある日、自分に『神に愛された子』という称号が付与されている事に気付く。一時はそれを忘れて過ごしていたものの、次第に自分の能力の異常性が明らかになる。
常人を遥かに凌ぐ魔力に、植物との会話……それらはやはり称号が原因だった!
平穏な日常を望むリーンオルゴットだったが、ある夜、伝説の聖獣に呼び出され人生が一変する――!
感想欄にネタバレ補正はしてません。閲覧は御自身で判断して下さいませ。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました
竹桜
ファンタジー
いつもと変わらない日常を過ごしていたが、通り魔に刺され、異世界に転生したのだ。
だが、転生したのはゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる隣国の伯爵家の長男だった。
そのことを前向きに考えていたが、森に捨てられてしまったのだ。
これは異世界に転生した主人公が生きるために成長する物語だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる