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3章魔王軍団編成前編
3章8話軍団を統率したい
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「聞きたいことがある。もし、魔王が復活したとしたらどうする?」
魔王は遂に、核心めいた質問をする。
マツタケは先程までの、ノホホンとした表情が一瞬で変わり、細い目は更に釣り上がる。
そして、瞬時に立ち上がり、湯船に浸かる魔王の首もとすれすれに鋭い爪を向けて、脅迫する。
「正気か? 数年前、魔王様は信頼していた部下に殺され、死んだ。生き還る訳がねぇ……あんた……ふざけたこと抜かすと……ホンマに殺すで」
暗殺が得意だと言うのも、頷ける瞬発力だ。
魔王は眉一つ変えず、青眼も見開いたまま、ただ口を開ける。
「ならば……この場で戦うか……この魔王と」
「何やと? あんたが魔王だと?」
「信じられないか」
「いや……確かにこの黒い影を纏い、莫大な魔力、アロンダイト・ピロロ様の面影を感じる。しかし、あんたじゃねー」
やはり、本物と偽るのは無理があるか。
俺が魔王を殺したと言える訳でもないが。
「確かに俺は本物の魔王ではない」
「てめぇ……言ってることが矛盾してるで」
「俺は魔王を殺し、代わりに魔王をやっている」
「言ったはずや、魔王様は部下に殺されたと」
「……」
マツタケは依然として、刃を向け、睨んだままだ。
「仮にあんたが魔王を務めるとして、いまやアロンダイト軍団は内部崩壊し、仲間同士で争っている、できることはねぇよ。あんたが統率できるとは思えねーしな」
ならば、チートでこの男を従わせるか。
すると、ルルが突如警告をする。
「チートにも限度や相性があります。もしかしたら、それ以上の力を望めなくなってしまう可能性があります。また、バグというものが発生し、魔王様の命を蝕む可能性があるのです」
「だが、魅了では魔獣を統率できない。また、百段階発展というものも、この能力には存在しない。では俺はどうすれば良いのだ」
「ちゃんと向き合って、臣下に認めてもらうしかありません。臣下との堅い絆はチートでは構築することは出来ません」
そして、ルルの声が途絶えたと同時に、マツタケも刃を下ろし、湯船に浸かり、再度浮上し、笑みを浮かべる。
「プハァァ……よっしゃ。あんたを魔王にしたるわ。その代わり、ワイを二支部リーダー兼側近にしてくれや」
随分な気の変わりようだな。
でも、協力してくれるなら、ありがたい話だ。
「いいだろう。だが、掛け持ちで大変ではないか?」
「あー大丈夫や。ワイ一人しかおらんしな。それに二支部の墓地は保護魔法が張り巡らされて、侵入者なんて入れんから仕事なんて全然あらへん。あっ、ワイも入れんくらい凄いバリアなんやで」
「そうか……なら、良いな」
「さて、この浴場に入ったら絶景の景色を見るといいで」
目の前の落ちる滝のような湯がピタリと止まり、二つに割れ、暗闇の全面ガラスが露わになる。
その暗闇に星のように輝く人間が棲む街と赤黒の地獄のような魔獣が棲む街が一望出来た。
アロンダイト軍団を統率し、いずれこのピロロ王国を支配してやる。
魔王は遂に、核心めいた質問をする。
マツタケは先程までの、ノホホンとした表情が一瞬で変わり、細い目は更に釣り上がる。
そして、瞬時に立ち上がり、湯船に浸かる魔王の首もとすれすれに鋭い爪を向けて、脅迫する。
「正気か? 数年前、魔王様は信頼していた部下に殺され、死んだ。生き還る訳がねぇ……あんた……ふざけたこと抜かすと……ホンマに殺すで」
暗殺が得意だと言うのも、頷ける瞬発力だ。
魔王は眉一つ変えず、青眼も見開いたまま、ただ口を開ける。
「ならば……この場で戦うか……この魔王と」
「何やと? あんたが魔王だと?」
「信じられないか」
「いや……確かにこの黒い影を纏い、莫大な魔力、アロンダイト・ピロロ様の面影を感じる。しかし、あんたじゃねー」
やはり、本物と偽るのは無理があるか。
俺が魔王を殺したと言える訳でもないが。
「確かに俺は本物の魔王ではない」
「てめぇ……言ってることが矛盾してるで」
「俺は魔王を殺し、代わりに魔王をやっている」
「言ったはずや、魔王様は部下に殺されたと」
「……」
マツタケは依然として、刃を向け、睨んだままだ。
「仮にあんたが魔王を務めるとして、いまやアロンダイト軍団は内部崩壊し、仲間同士で争っている、できることはねぇよ。あんたが統率できるとは思えねーしな」
ならば、チートでこの男を従わせるか。
すると、ルルが突如警告をする。
「チートにも限度や相性があります。もしかしたら、それ以上の力を望めなくなってしまう可能性があります。また、バグというものが発生し、魔王様の命を蝕む可能性があるのです」
「だが、魅了では魔獣を統率できない。また、百段階発展というものも、この能力には存在しない。では俺はどうすれば良いのだ」
「ちゃんと向き合って、臣下に認めてもらうしかありません。臣下との堅い絆はチートでは構築することは出来ません」
そして、ルルの声が途絶えたと同時に、マツタケも刃を下ろし、湯船に浸かり、再度浮上し、笑みを浮かべる。
「プハァァ……よっしゃ。あんたを魔王にしたるわ。その代わり、ワイを二支部リーダー兼側近にしてくれや」
随分な気の変わりようだな。
でも、協力してくれるなら、ありがたい話だ。
「いいだろう。だが、掛け持ちで大変ではないか?」
「あー大丈夫や。ワイ一人しかおらんしな。それに二支部の墓地は保護魔法が張り巡らされて、侵入者なんて入れんから仕事なんて全然あらへん。あっ、ワイも入れんくらい凄いバリアなんやで」
「そうか……なら、良いな」
「さて、この浴場に入ったら絶景の景色を見るといいで」
目の前の落ちる滝のような湯がピタリと止まり、二つに割れ、暗闇の全面ガラスが露わになる。
その暗闇に星のように輝く人間が棲む街と赤黒の地獄のような魔獣が棲む街が一望出来た。
アロンダイト軍団を統率し、いずれこのピロロ王国を支配してやる。
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