最強の魔王による転生令嬢を巻き込んだ異世界チート無双計画

一色

文字の大きさ
上 下
94 / 140
3章魔王軍団編成前編

3章5話ピロロタウン

しおりを挟む
 ピロロタウン。
 ニ百年前、七魔神王アロンダイト・ピロロが建国した、魔獣と人間が棲む王国。
 当初、魔獣しかいなかったが、魔王が暗殺され逝去した機を境に、亜人や人間が棲むようになり、王国は急速に発展していき、経済、軍事、資源が豊富な世界有数の国家となり、超神国の一つとなった。
 その発展の原因として挙げられるのが、あの世界最悪の魔王が創造した街というのが一番になる。
 しかし、魔王が逝去したのを境に超大国に没落していく。
 また、魔王の権威、功績、怖れ故か、王族達はこの国の王座に着任しようとはしない。
 なぜなら、現在ピロロの有力なギルドや他超大国間で激しい抗争が勃発し、街は危機的状況になっていて、統一できない状況なのだ。
 ところで、ようやく、魔王は王国の入口へと足を踏み入れる。
 しかし、そこは広大な森林が生い茂るダンジョン。
 長い川や十メートル級の巨木が何千本と並び、濃霧が神秘さを際立せる深い森林。
 到底、この先に王国があるとは思えない。
 魔王は顰めっ面の表情で、巨大な白い門前で立ち止まる。

「……この王国か……記事で読んだことがあるぐらいの知識しかない。ルルよ、説明しろ」

「ピロロタウンはこの魔獣が棲む森林ダンジョンに囲まれ、更に東には広大な海があります」

「そうか」

「それと、一般市民は滅多に外には出ません。出入りするのはほとんどが外部の冒険者や亜人や魔獣の方が多い。この閉鎖的な立地のおかげで、神英雄団や他国からの侵略を防いでいる。それも、皆魔王が創造したおかげなのです」

    そして、やっと王国の最終門へと到着した。
 魔王は浮遊しながら、このピロロ王国の全貌を見下げる。
 南は現代的な街並み。
 また、北に連れて、闇のように暗く、古い巨塔や西洋風レンガの家々が多くなり、昔の趣が色濃く残っている。
 北と南の風景では明らかに異なっている。
 横に伸びた広大な敷地面積、一つの地区から別の地区に歩いて行くのに二、三時間はかかるらしい。

「ここが……新平和幕府団の直轄地の東平和地区、西平和地区の二地域を占領しています。この地域には一般市民や他国英雄が暮らしたり、寝泊まりをしています。ちなみに、この新平和幕府団は世界十聖鬼団の一つ。魔獣を排除し、人間のみ世界を創るをスローガンにし、あの神賢者で構成された最強軍団です。統一が成されていない混乱期にあるピロロ王国ですが、事実上統一しているのはこのギルドなのです」

 神賢者?

「叡智の頭脳と世界を滅ぼす力を持つ覇王の力を持った神賢者……もしかしたら、神英雄団を凌駕するかもしれません」

 面白い。

「で、その真ん中の一つの地区が鬼龍団の領域。主に、亜人が暮らしています。このギルドは幕府団とは良好な関係を保っていますが、魔王アロンダイト団とは激しい対立を深めています」

 ほう。
 魔王アロンダイト軍団?

「その後ろの二つの地区が……魔王が支配していた領域。 そこに魔王アロンダイト軍団があります……ですが、魔王亡き後、いくつもの派閥ギルドに別れ、抗争を繰り返しています」

「補足ですがヒヨリさんはアカリさんを連れて病院へ、ネズさんと白豚さんはアカリさん毒を治す薬草と食料の買い出しで、既に入国しています」

「そうか」


          *

 魔王は飛行加速をし、浮遊する我が根城へと到着した。
 アロンダイト地区は東と西に別れ、その中央に地面ごと空に浮かぶ黒い城こそが魔王の城。 
 地獄にある三巨塔として、恐れられる。
 暗い、深い霧が漂わせ、空を浮かぶその姿は恐怖を駆り立てる。
 魔王は何の戸惑いもなく、邸宅の全長三十メートルの巨大な門を開く。
 この巨大な門のせいで、先程見えていた根城は見えず、しかも、だんだんと下にまで降りてきて、暗い霧が濃くなってくる。
 抜けると、銀色の石畳のある巨大な広場へと到着する。
 全長何千メートルあろうかスペース。
 ここに魔獣の軍団でも率いて、行進やら決起集会でもするのだろう。
 その時、周囲に突如、悪の殺気を放つ魔獣が現れる。
 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――

金斬 児狐
ファンタジー
 ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。  しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。  しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。  ◆ ◆ ◆  今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。  あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。  不定期更新、更新遅進です。  話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。    ※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました

竹桜
ファンタジー
 いつもと変わらない日常を過ごしていたが、通り魔に刺され、異世界に転生したのだ。  だが、転生したのはゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる隣国の伯爵家の長男だった。  そのことを前向きに考えていたが、森に捨てられてしまったのだ。  これは異世界に転生した主人公が生きるために成長する物語だ。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

処理中です...