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2章英雄闘拳地区予選

2章34話ブチ切れ

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「てめぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 遂にブチ切れたキンタロウは仲間の制止を振り切り、剛腕の光の拳で魔王に襲いかかる。
 貴様も……やられにきたか。間抜けが。

「雑魚共が……宇宙の銀河スキル発動」

 瞬間、キンタロウの真下に楕円形状の宇宙の銀河の一部が現れ、途轍もない引力で、取り込もうとする。

「何ッ!」

 キンタロウは引力に抵抗し、足掻こうと、光真下に放つが、闇の中で、小さな光となって縮小し、取り込まれるだけ。

「ぁああああ!」

 そして、魔王が侮蔑の青眼で、見下し、

「喚くな。目障りだ」

「おのれぇぇぇ」
 
 そして、魔王は思いっ切り、右足で、キンタロウの顔面にぶち込み、更に闇の両手が最後の後始末をしようと、伸び、キンタロウの巨体を引きずり込み、消えた。

「ぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 恐怖で、絶句する一同。
 さて、残りの仔羊達をどうするかだ。
 次の瞬間、ミユが発狂し、剣を片手に襲って来る。

「ミユは可愛いっていいなさぁぁぁぁぁぁぁい!」

「黙れ!」

 魔王は弾丸を放ち、ミユの顔面にぶつけて、即死させた。
 危機を感じたスナイパーのダーツが銃の引き金を引くも、真下に出現した宇宙の銀河に吸い込まれ、塵となる。
 そして、泣き崩れ、絶望したミストに戦う力は無い。
 魔王は欠伸をし、笑みを浮かべ、その場を後にする。

「さて、帰るとするか。臨時収入も入ったことだしな」

 すると、ミストは怒りの釣り上がった、水色の両眼で、睨み叫ぶ。
 綺麗な容姿から想像もつかない、怨みの籠もった鬼の顔。

「この怨み……一生忘れないわぁぁぁぁぁぁぁぁ!! あなたは暗殺騎士に喧嘩を売ったことを必ず後悔することになるわ」

 魔王は一瞬、恐ろしい女の怨みに悪寒がぞっとするも、笑い声を上げる。

「お前らが……何をしようと……この俺の前では無力だ……百年後に出直せ」

   魔王は黒影スキルで、転送した先は門前から北東をずっと進む場所にある高い城。
 そして、そこの頂上の座敷に一番乗りのアカリがいた。
 だが、様態は深刻だった。
 アカリは自らの傷を自己治癒で、何とか治していたようだが、魔力と体力が尽きて、気絶してしまったようだ。
 この傷は、アイテムでは治癒出来ず、もちろん、魔王の不死身だって役には立たない。
 専門治癒師に依頼する以外選択肢はないようだ。
 したがって、アカリは現時点での獲得ポイントを持って、この大会の予選終了することになる。
 もちろん、離脱したからといって、失格になる訳ではない。
 けれど、アカリは現時点200位、予選通過の最低ライン12位には届かない。
 よって、彼女は失格を余儀無くされる。
 そこで、チートを使用し、俺のポイントを彼女に配分すれば、もしかしたら、彼女は予選通過をできるかもしれない。



 
 
 
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