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2章英雄闘拳地区予選
2章33話批判集中
しおりを挟む手下共も怒りを表す。
「殺してやる……来い……こっちに来い!」
金髪の角刈りの男であるキンタロウが、怒りを煮えたぎらせ、威嚇。
こいつまで何だと言うのだ。
「そこの怪物少し黙れ」
「あぁん? 何なんだその態度は?」
キンタロウは怒りを爆発させ、いきなり吠え、前を進み襲いかかろうとするが、冷静沈着なダーツがスナイパーをそっと差し出し、運良く奇妙な制止をする。
「オイ! 来いや! こっちに来いって!!!!」
その威嚇はまるで、巨大な番犬が家に侵入しようとする泥棒に吠えているようだ。
そこに、黒髪のミユが不気味に笑い。
「ねぇ? ミユは可愛い? ねぇ? ミユは? ミユは? ミユは? ミユは? ミユは? ミユ?」
こいつに至っては一体何なんだ。
何がしたいんだ。
すると、ミユは魔王の釈然としない態度に怒りを覚えたのか、白粉を塗った顔と黒い歯を剥き出し、気味の悪い顔で、怒りを爆発させる。
「ねえ? ねえ? ねえ? ミユは? ミユは? ミユは? 可愛いのって聞いてるでしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「は?」
面倒臭いな。
あー謝れば良いのだろ?
ったく。
「はいはい。謝ればいいんだろ。謝れば良いんだろ……ブスッっ……言ったのは悪うございました」
しかし、その禁句の発言を口にした時、目の前から水の龍が飛んできた。
魔王が最後に放った不用意な一言はとんでもない波紋を広げる。
まずい、つい口走ってしまった。
日頃から悪に染まり過ぎて……。
しかし、既に時遅しだった。
ミストの先程までの無理矢理の笑顔は消え、左右に非対称に睨み、叫ぶ。
「今なんて言ったんだよこらぁ? なめんじゃねぇよ!」
言い過ぎたか。
しかし、魔王がここで、謝る訳にいかない。
「ブスにブスと言って何が悪い! このブスがぁぁぁ!!」
さすがに女の子に対してあの一言はなかった。
ルルも、先の発言に対して追及する。
「魔王様……本当に最低です。女の子に……ブスッて」
「仕方ないだろう」
「ちゃんと謝るべきです」
「何で俺が謝らないといけない。そもそも……目の前の女がポイントを強奪しようと粋がっていたのが悪いんだろ」
「分かりました。魔王様がそういう態度ならルルにも考えがあります。魔王様から依頼される大量アイテムはもう今後一切作製しません」
「待て……それは」
「魔王様なら創造スキルあるんですから、ルルがいなくても、作れますよね」
「俺にそんな時間は……」
「あーもういいです」
それから、ルルに一切返事はなかった。
完全に見放された。
そして、ミストの怒りは頂点に達し、恐ろしい三角眼と、魔性の女の笑みで、周囲に水の冷気を漂わせる。
「フフフフ……」
魔王は慌てて、顔を引き、間一髪で、水の渦を回避する。
だが、またも目の前に水の渦。
しかし、魔王は飛行加速を応用し、加速を利用、全ての出鱈目な水の攻撃を回避する。
ミストは息切れをしながら、目の前の坊主の男に驚愕の水色の眼を向ける。
「……なんなんのこいつ……」
瞬時の回避能力は化け物じみている。
一方、魔王は黒装束を翻し、余裕の笑み。
「まだやる気か?」
ミストは再度怒りが湧いたのか、右手を向け、最大出力の水を放出する。
「なら……恐怖を見せてやるわ……水鳥!!」
ミストの右手から無数の水の鳥が飛び出し、襲いかかる。
水鳥の大群は魔王の遥か上の大きさとなり、飲み込もうとする。
が、しかし、魔王の全無効スキルが発動され、水の地上干渉スキルの発動をキャンセルし、瞬く間に、冷気と水鳥が溶けていく。
そして、驚愕と、騒然という静寂が訪れる。
ミストは何が起きたか信じられない様子で、震え崩れ落ちる。
「だから、何なんのよ……これ」
侮蔑、嘲笑の表情は一切そこにはない。
ただ、目の前の理解できない現象に驚くばかり。
魔王はゆっくりとミストに近づき、憎たらしい笑みで、見下ろす。
「まだやるのか……」
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