最強の魔王による転生令嬢を巻き込んだ異世界チート無双計画

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2章英雄闘拳地区予選

2章32話暗殺騎士

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 結局、勝か負けるか。
 そんな敗者の称賛は屈辱にしか聞こえないだろう。
 ミハイルは怒りを拳に滲ませる。

 その時、空を浮遊する魔王の下から、銀髪の男が強化脚力スキルによって、上昇し、鋭い爪が襲う。

「てめぇぇぇぇぇぇぇぇ……」

 魔王はすかさず、連続の破壊の弾丸を投じる。
 重力と共に空を切り裂く鉄の弾丸。
 だが、ミハイルは避ける様子も無く、右拳を差し出し、迎え撃つ。
 馬鹿な。
 こいつは先程の破壊の弾丸の威力を知らないのか。
 衝突し、光が明滅した瞬間、ミハイルの大きな笑みが見える。
 何だ?


「反撃(カウンター)」

 そして、魔王は驚愕の現象を目撃する。
 投じられたはずの破壊の弾丸は消え、入れ代わるようにして、ミハイルの拳から破壊の弾丸が出現し、刹那、魔王を至近距離で、爆風と共に爆発が襲った。
 空に黒煙が漂い、静寂が訪れる。
 ミハイルは嘲笑った紅の両眼で、勝利を予期する。

「至近距離で、あれだけ食らえば確実に死んだはずだ」
 
 しかし。
 黒煙が消え、バリアの壁に守られた、坊主の男が露わになる。

「なせだ……まさか……破壊の弾丸は物理10000は越えていたはずだ……なぜ防御できた」

 ミハイルの驚愕で、硬直する。
 その油断した隙に、魔王は更に黒影でその場から消え、ミハイルの背後に回る。

「反撃スキルなかなかの者だな……しかし、使い方が単調過ぎるじゃないか……」

 その瞬間、ミハイルが振り向き様の反撃の右手を講じようとするが、腰に捻るような破壊の拳が直撃し、口から吹き出し、衝撃の激痛に気絶し、白眼になりながら、落下した。
 魔王は二人の神英雄団を倒し、順位を確認し、一気に12位に上がったことにほくそ笑む。
 しかし、その休息は長くは続かなかった。

 その時、追跡型光のミサイルが、前方から蛇のように動きながら、尾鰭から火を放ち、向かってくる。
 魔王は一瞬、焦りの青眼をするも、無効のバリアで、衝撃を吸収し、風圧だけで済んだ。
 
 「誰だ?……」

 それは凹凸のある四人組の異様な集団だった。
 両脇に悲しげな江戸屋敷の家屋が並び、真ん中の道から砂煙が渦を巻きながら舞い、奥の方で進んで、消えた頃合いに、殺気を放つ四人組の強者共が待っていた。

「暗殺者ギルド……アサシンナイト(暗殺騎士)」

 暗殺騎士(アサシンナイト)?
 ルルが解説する。

「元、神聖、大聖騎士を集めた、暗殺を生業とするギルド。世界指名手配を受けています。このギルドは皇帝、大物貴族はもちろん、神英雄団も狙う程の実力者が揃ってます。魔王様……ここはお逃げになった方が吉かと」

 
「……何だと」

 四人の騎士は疾風の如く現れ、最後に砂利を踏む音だけ残した。
 全員がそれぞれ豪傑な防具を纏い、肩には紋章と見られる、四端の赤い文字が書かれていた。
 一番の後ろには180センチの魔王よりも遥かに大きな2メートル級の怪物の男。
 金髪の角刈り、四角い顔に、獰猛な白眼。
 光虎イメージした、黄金の厚みのある防具。
 通り名【惻隠】。名をキンタロウ。

「……」

 無口な性格故か無言の圧力に、溢れ出す、湧き上がる光の魔力。

 右側には眼鏡にしては、やや大きなサイズの近未来を感じさせる黒眼鏡、キャップを深く被り、濃緑色の身軽な防具、スコープ付きの黒いスナイパー銃。
 通り名【辞譲】。名はダーツ。
 こいつも、臆病者で、神経質な性格なのか、無言。

「……」

 左側には白傘を差した長い黒髪、長身の気味の悪い女。
 顔は見えないが、ただ、隙間から充血した右目が見え、微かに不気味に笑っている。
 その顔には不釣り合いな黒色の立派なドレス風防具。
 【羞悪】。ミユ。
 ミユは気味の悪い喋り方をする。

「へへへへ……あなたミユのこと好き? へへへへ……ね? ミユのこと好き?」

 そして、白傘の中に入るのが可愛いらしい白い帽子被ったお嬢様がいた。
 風で揺れる帽子や防具用の可愛いらしい青いワンピースを押さえ、乱れる水色のミディアム髪。
 目を引く乳白色の肌、ロリ顔。
 清楚な容姿とは裏腹に、冷酷な水色の眼差し、水色の睫毛を動かし、見張り、小悪魔の表情をする。
【是非】。ミスト。
 こいつがこの暗殺騎士のリーダーらしい。
 それにしても、暗殺を生業とする騎士には見えないが。
 魔王は怖じ気づくこともなく、挑発の青眼を向ける。

「貴様ら……何か用か?」

 話を先導するのは、ミストしかいない。
 他は明らかに意志疎通のできない、異物揃い輩達だった。
 甘えたように尋ねる小悪魔ミスト。

「ねぇ……私達は少し困っていることがあるの……聞いてくれる? ポイント……ちょうだい?」

 小指を唇で舐め、上目遣いをするミスト。
 生意気に暴力で脅し、ポイントを奪う気か?
 最低、最悪な女だ。
 魔王は冷徹に一蹴した。

「無理決まってる……消えろブスが」

 クズと言おうとしたが、誤ってブスと言ってしまった。

 
 
 
 

 
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