最強の魔王による転生令嬢を巻き込んだ異世界チート無双計画

一色

文字の大きさ
上 下
78 / 140
2章英雄闘拳地区予選

2章23話ゴブリン女王との対面

しおりを挟む
 投げつけれたゴブリンの亡骸は魔王の身体からずり落ちる。
 魔王は、嘘の悲しみの青眼で、しゃがみこんで、痛ましい姿になったゴブリンの亡骸を抱きしめる。

「可哀想に……あーなんて……可哀想なんだ!」

 涙を押さえるようにして、ゴブリンの悲劇を嘆く魔王。
 そして、魔王は亡骸をそっと、床に整え、最後に見開かれた黄色の両眼をそっと閉じさせた。
 その様子にゴブリン女王は大きな鼻穴をフガフガとさせ、少し困惑していた。
 魔王は嘘の怒りの両眼で、ゴブリン女王に問い質す。

「なんて恐ろしい蛮行だ!……貴様はゴブリンを何だと思ってるんだ!」

「なな……なんじゃと!? 妾に向かってその言い草は……」

「そうではないか……ゴブリンを一生叶えられない目標によって縛り、死ぬまで働かせ、そして、死んで尚、このようなゴブリンの尊厳を傷つける……悪しき所業……許せる訳がない!」

 魔王の知ったような風の主張はゴブリン女王の怒りを増幅させる。

「黙れ! 黙れ! 黙るのじゃぁぁぁぁぁ!」

 そして、魔王は衝撃の言葉を口にする。

「貴様は新たな文明の場所を知っているんじゃないか?」

 ゴブリン女王は図星を突かれたように、たじろぎ、誤魔化そうとする。

「何をそのような戯れ言を!!」

 顔を真っ赤にし、歯を震わせるゴブリン女王。
 動揺し過ぎだ。
 これだから、馬鹿だの、低級だの蔑みを向けられるのだ。

「貴様の居場所を捜索している時に、一カ所だけ発掘作業が中断している場所があった。近くのゴブリンに聞いて見ると、作業途中で女王が掘るなと怒られたそうだと」

「だから、なんじゃ」

「その先には何がある?」
 
 笑みを浮かべる青眼。
 汗を大量に垂らし、動揺するピンクの両眼。

「何も無いと言ってるのじゃ!」

「その周辺には七色の水が流れていた。明らかに何かあるはずだ。だが、なぜ貴様は発掘を中止にしようとしてるのか疑問だ」

「何もないと言ってるダロウガァァァァァァァ!」

「騒ぎ立てるな……化け物」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました

竹桜
ファンタジー
 いつもと変わらない日常を過ごしていたが、通り魔に刺され、異世界に転生したのだ。  だが、転生したのはゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる隣国の伯爵家の長男だった。  そのことを前向きに考えていたが、森に捨てられてしまったのだ。  これは異世界に転生した主人公が生きるために成長する物語だ。

伯爵家の三男は冒険者を目指す!

おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました! 佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。 彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった... (...伶奈、ごめん...) 異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。 初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。 誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。 1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。

処理中です...