最強の魔王による転生令嬢を巻き込んだ異世界チート無双計画

2章英雄闘拳地区予選

2章19話ゴブリンの襲撃1

　魔王はゴブリンの殺気を感じ、立ち止まる。
　けれど、怯える様子も微塵もなく、むしろこの状況を楽しんでいた。
　フフフ……こいつらはどうやら、俺を許せないらしい。
　何が悪いのだ？
　もうこの世に生の無い亡骸を蹴り上げて何が悪い？
　むしろ、魔王の進行を妨げたのあの亡骸のゴブリンを断罪するべきだろう。
　だが、馬鹿な、低級魔獣のゴブリンでは理解できないことらしいな。
　ならば、俺が痛みで、教えるべきだろう。
　その瞬間、ゴブリン共がスコップを振り上げながら、襲いかかってきた。　
　しかし、魔王は一瞬で、周囲に鉄の壁を作り上げ、攻撃を防御し、その隙に鉄の壁を炎の壁と変化させ、前、後ろに奥まで押し込む。
　炎の壁はゴブリン達を呑み込み、一掃し、黒焦げと化す。
　やがて、沈黙が訪れ、地面には大量の黒焦げとなったゴブリンの亡骸と、熱い蒸気が噴出していた。
　魔王はゴブリンを踏み潰しながら、笑みを浮かべ、進む。
　ゴブリンを全滅にさせたことで、ポイントを大量に獲得した。
　だが、後ろから正義気取りの女神の声がした。

「待ちなさい」

　魔王は振り返ると、クリーム色の髪の女神は怒りの紫眼をし、ゆっくりこちらに向かって来た。
　魔王は見下し、含んだ笑みで問い掛ける。

「なん……」

　だが、その瞬間、アカリの綺麗な軌道を描き、音の良い強烈な張り手が魔王の左頬を襲った。

「バシッッ」

　魔王は怒りと苛立ちの青眼で、見開き、歯を震わせながら。

「貴様ぁぁぁぁぁ」

　この女……本当に、どこまで、俺をこけにしたら気が済むのだ。
　今度こそ、許さんぞ。
　更に、アカリは腕を組み、顎を上げながら、挑発する。

「そんなに許せないなら、私を殺しなさいよ」

　しかし、アカリの背後に恐ろしい緑の殺気を放つ老龍騎士が待機していた。
　ちっ……。