12 / 140
1章女神の願い
1章9話ぶたや1
しおりを挟む
そして、夕方になり、アカリは慌てて、走り出す。
バイト先へ向かうために、繁華街の中へ入り、テラス席の屋台の密集地に入る。
英雄や冒険者が酒を食事する、賑やかなテラス席を通り過ぎ、のれんを潜ると、すぐにL字のカウンター古びた小さな屋台が広がる。
基本的に客の要望を叶え、店主がその場で即興、即席で調理し、テラス席や外部の客に出前として運ぶ。
もちろん、オンライン上で、そのまま料理を転送出来るが、店主は顔と顔を合わせるのが客商売だという思いがあるため、その新しい技術には頑なに頼らなかった。
アカリはすぐさまエプロンを纏い、髪を後ろで一本に縛る。
すると、バイトの仲間の茶髪のショートカットの、ヒヨリが配膳中の最中、汗だくにも関わらず、ぽわぁーんとした顔で、声を掛ける。
「遅かったねっ」
「ごめん……今すぐ運ぶから」
「じゃ、よろしくね」
バイト仲間であり、普段から世話になっているヒヨリ。
どこか、彼女はほんわかしているというか、気が抜けている。
でも、頼りになる時とは本当に頼りになるお姉さん気質だ。
茶髪ショートカット、猫のように優しげなブラウンの瞳、アイドルグループにいそうな容姿。
女神にスカウトしたいくらい。
すると、アカリはカウンター席にいる黒影の坊主男と目が合った。
あっ……また、この人いる。
ぶたやに良く来る常連客。
店主に聞いてみたが、素性は分からないらしい。
ただ、毎日、黒装束を纏い、不気味な青眼で、私達を見てくるのだ。
その黒影の男は、不敵な青眼で笑み浮かべ、そして、豚骨ラーメンを啜っていた。
「ずっる……ずるるるる……ずっる」
分厚いチャーシューを口の中に入れ、旨味成分が広がり、続けて黄金色の縮れ麺をすすり、一息付いた頃合いに、白濁のスープを飲み干す。
坊主の男は恍惚の表情した後、カウンターに向かって、声を上げる。
「どうだ? 旨いか?」
場はシーンとなり、私と店主は顔を見合わせ、首を傾げる。
この男は一人で誰と話をしているのだろうか。
カウンターを良く見るとニ、三匹の小さな黒い虫が汁とコーンに群がっていた。
「蟻?」
そして、黒影の坊主男は汁まで飲み干し、湯気を漂わせ、頬も赤い。
そして、白豚の大将がカウンターに特大チャーシューチャーハンどんと他の注文品を乗っける。
「出来たぞ」
「あっ……はい!」
バイト先へ向かうために、繁華街の中へ入り、テラス席の屋台の密集地に入る。
英雄や冒険者が酒を食事する、賑やかなテラス席を通り過ぎ、のれんを潜ると、すぐにL字のカウンター古びた小さな屋台が広がる。
基本的に客の要望を叶え、店主がその場で即興、即席で調理し、テラス席や外部の客に出前として運ぶ。
もちろん、オンライン上で、そのまま料理を転送出来るが、店主は顔と顔を合わせるのが客商売だという思いがあるため、その新しい技術には頑なに頼らなかった。
アカリはすぐさまエプロンを纏い、髪を後ろで一本に縛る。
すると、バイトの仲間の茶髪のショートカットの、ヒヨリが配膳中の最中、汗だくにも関わらず、ぽわぁーんとした顔で、声を掛ける。
「遅かったねっ」
「ごめん……今すぐ運ぶから」
「じゃ、よろしくね」
バイト仲間であり、普段から世話になっているヒヨリ。
どこか、彼女はほんわかしているというか、気が抜けている。
でも、頼りになる時とは本当に頼りになるお姉さん気質だ。
茶髪ショートカット、猫のように優しげなブラウンの瞳、アイドルグループにいそうな容姿。
女神にスカウトしたいくらい。
すると、アカリはカウンター席にいる黒影の坊主男と目が合った。
あっ……また、この人いる。
ぶたやに良く来る常連客。
店主に聞いてみたが、素性は分からないらしい。
ただ、毎日、黒装束を纏い、不気味な青眼で、私達を見てくるのだ。
その黒影の男は、不敵な青眼で笑み浮かべ、そして、豚骨ラーメンを啜っていた。
「ずっる……ずるるるる……ずっる」
分厚いチャーシューを口の中に入れ、旨味成分が広がり、続けて黄金色の縮れ麺をすすり、一息付いた頃合いに、白濁のスープを飲み干す。
坊主の男は恍惚の表情した後、カウンターに向かって、声を上げる。
「どうだ? 旨いか?」
場はシーンとなり、私と店主は顔を見合わせ、首を傾げる。
この男は一人で誰と話をしているのだろうか。
カウンターを良く見るとニ、三匹の小さな黒い虫が汁とコーンに群がっていた。
「蟻?」
そして、黒影の坊主男は汁まで飲み干し、湯気を漂わせ、頬も赤い。
そして、白豚の大将がカウンターに特大チャーシューチャーハンどんと他の注文品を乗っける。
「出来たぞ」
「あっ……はい!」
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。



【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました
竹桜
ファンタジー
いつもと変わらない日常を過ごしていたが、通り魔に刺され、異世界に転生したのだ。
だが、転生したのはゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる隣国の伯爵家の長男だった。
そのことを前向きに考えていたが、森に捨てられてしまったのだ。
これは異世界に転生した主人公が生きるために成長する物語だ。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる