最強の魔王による転生令嬢を巻き込んだ異世界チート無双計画

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1章女神の願い

1章9話ぶたや1

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 そして、夕方になり、アカリは慌てて、走り出す。
 バイト先へ向かうために、繁華街の中へ入り、テラス席の屋台の密集地に入る。
 英雄や冒険者が酒を食事する、賑やかなテラス席を通り過ぎ、のれんを潜ると、すぐにL字のカウンター古びた小さな屋台が広がる。
 基本的に客の要望を叶え、店主がその場で即興、即席で調理し、テラス席や外部の客に出前として運ぶ。
 もちろん、オンライン上で、そのまま料理を転送出来るが、店主は顔と顔を合わせるのが客商売だという思いがあるため、その新しい技術には頑なに頼らなかった。
 アカリはすぐさまエプロンを纏い、髪を後ろで一本に縛る。
 すると、バイトの仲間の茶髪のショートカットの、ヒヨリが配膳中の最中、汗だくにも関わらず、ぽわぁーんとした顔で、声を掛ける。

「遅かったねっ」

「ごめん……今すぐ運ぶから」

「じゃ、よろしくね」

 バイト仲間であり、普段から世話になっているヒヨリ。
 どこか、彼女はほんわかしているというか、気が抜けている。
 でも、頼りになる時とは本当に頼りになるお姉さん気質だ。
 茶髪ショートカット、猫のように優しげなブラウンの瞳、アイドルグループにいそうな容姿。
 女神にスカウトしたいくらい。

 すると、アカリはカウンター席にいる黒影の坊主男と目が合った。
 あっ……また、この人いる。
 ぶたやに良く来る常連客。
 店主に聞いてみたが、素性は分からないらしい。
 ただ、毎日、黒装束を纏い、不気味な青眼で、私達を見てくるのだ。
 その黒影の男は、不敵な青眼で笑み浮かべ、そして、豚骨ラーメンを啜っていた。

「ずっる……ずるるるる……ずっる」

 分厚いチャーシューを口の中に入れ、旨味成分が広がり、続けて黄金色の縮れ麺をすすり、一息付いた頃合いに、白濁のスープを飲み干す。
 坊主の男は恍惚の表情した後、カウンターに向かって、声を上げる。

「どうだ? 旨いか?」

 場はシーンとなり、私と店主は顔を見合わせ、首を傾げる。
 この男は一人で誰と話をしているのだろうか。
 カウンターを良く見るとニ、三匹の小さな黒い虫が汁とコーンに群がっていた。

「蟻?」

 そして、黒影の坊主男は汁まで飲み干し、湯気を漂わせ、頬も赤い。


 そして、白豚の大将がカウンターに特大チャーシューチャーハンどんと他の注文品を乗っける。

「出来たぞ」

「あっ……はい!」
 
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