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5. 魔法
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冒険者ギルドに行った後ノアは大分パニックになっていたので、すぐにヴァリスヴェール家に戻った。
暫くノアは一人でブツブツ何かを言ってたかと思うと…。
(乃亜!魔法を覚えてみよう!)
「え!!?ど、どうやって?」
(ふっふっふ、アタシにいい考えがあーる!)
◇
「乃亜ちゃんいい?呪文を詠唱する時はイメージが大事よ。書いてある事を読むだけじゃダメなの」
「はいっ」
館の中庭で、お母様ーー【ルネリーネ・デ・ヴァリスヴェール】ーーは言う。
ノアの『いい考え』というのはお母様、ルネリーネ様の事だった。
なんでもお母様、若い頃は王都の王宮魔術師だったらしい。一般的に魔法を扱う人を魔術師。位の高い魔術師の事を魔導士って呼び分けるんだって。
ちなみにそんなお母様が王宮魔導士を辞めた理由は、お父様に一目惚れして結婚したから。
魔導士はこの国に百人もいないらしく、王都の王宮魔導団は泣く泣くお母様を手放したんだとか。
だから未だにお父様は、王都では肩身が狭いらしい。可哀想に…。
という訳で、私は今お母様に魔法を教えてもらっているのである。
「イメージ……うーん」
中々これが難しい。魔法を使うには私が今手に持っている魔導書に書いてある文章を詠唱するんだけど、覚え立ての文字を読むのに集中しちゃってイメージどころではない。
今習っているのは火の魔法。魔法は火、水、風、雷、氷、土等色んな属性があって、私が好きな小説の魔法使いも使っていたな~。
この世界の人って、そもそもイメージを強くする為に呪文を詠唱してるんだよね、きっと。
私は一つ思いついた、ちょっと試してみよう。
前の世界で一番火のイメージができる物。人差し指を立て、小さな声でこう呟いた。
「ライター」
シュボッと人差し指から、ちっちゃな炎が揺らめいた。
お母様が驚いた表情で駆け寄ってきた。
「乃亜ちゃん!今のは!?ライターって何?」
「あー、いやー、何か思いつきで。あはは…」
説明すると長くなりそうだったので誤魔化してしまった。でもできた!
イメージが強くできれば、長い詠唱とかはいらないんだ。
だったらさっき出来なかった魔法もできるはず。
お母様から習っていたのは【火炎球】という魔法。炎の球を標的に放つ魔法だ。
「ではお母様、もう一回やってみますね」
「ええ、がんばって」
炎の球……、赤く、熱く、さっきのライターの火を丸くイメージ。
すると手の平にビー玉サイズの炎の球が浮かんだ。なんか小っちゃいけど!
「火炎球!!」
放った小さな火球は真っ直ぐに木の板でできた的を貫通し、的の後ろに植えられていた大木を一瞬で全焼させた。
「「・・・・・・・・」」
「わあああああああああああ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「だ、大丈夫よ乃亜ちゃん、落ち着いて。それより凄いわ!あの大きさの火炎球でこんな威力が出せるなんて!」
(おおおおおおお!!)
ノアは大興奮だ。
び、びっくりしたぁ……。あんな小っちゃい火の玉で、あんな破壊力になるなんて。でもこれはなんだか………とっても楽しいかもしんない!実は魔法って憧れてたし!
(乃亜!もっと色々試してみようよ!アタシは魔法って使えないから、感動だよー!)
誰にでも魔力という物はあるらしいんだけど、魔法を使うには修練やセンス、感受性などが必要で簡単に扱えるようにはならないらしい。専門の魔法学校に小さい頃から通って、資質のある人だけがやっと使えるようになると聞いた。
こんなあっさり出来ちゃっていいんだろうか。
「それじゃあ他の魔法も練習してみましょうか。もしかしたら別の属性も使えるようになるかもしれないしね。二属性の魔法が扱えたら一人前よ、魔導士《ソーサラー》クラスになると三属性使える人もいるわ」
よーし、がんばってみよう。ノアも楽しそうだし。
夢中になりすぎて気が付くと日が日が傾いている事に、私もお母様もメイドさんが呼びにくるまで気づかなかった。
結果、私は六属性の魔法が使えたのだ。
何というチート……。
暫くノアは一人でブツブツ何かを言ってたかと思うと…。
(乃亜!魔法を覚えてみよう!)
「え!!?ど、どうやって?」
(ふっふっふ、アタシにいい考えがあーる!)
◇
「乃亜ちゃんいい?呪文を詠唱する時はイメージが大事よ。書いてある事を読むだけじゃダメなの」
「はいっ」
館の中庭で、お母様ーー【ルネリーネ・デ・ヴァリスヴェール】ーーは言う。
ノアの『いい考え』というのはお母様、ルネリーネ様の事だった。
なんでもお母様、若い頃は王都の王宮魔術師だったらしい。一般的に魔法を扱う人を魔術師。位の高い魔術師の事を魔導士って呼び分けるんだって。
ちなみにそんなお母様が王宮魔導士を辞めた理由は、お父様に一目惚れして結婚したから。
魔導士はこの国に百人もいないらしく、王都の王宮魔導団は泣く泣くお母様を手放したんだとか。
だから未だにお父様は、王都では肩身が狭いらしい。可哀想に…。
という訳で、私は今お母様に魔法を教えてもらっているのである。
「イメージ……うーん」
中々これが難しい。魔法を使うには私が今手に持っている魔導書に書いてある文章を詠唱するんだけど、覚え立ての文字を読むのに集中しちゃってイメージどころではない。
今習っているのは火の魔法。魔法は火、水、風、雷、氷、土等色んな属性があって、私が好きな小説の魔法使いも使っていたな~。
この世界の人って、そもそもイメージを強くする為に呪文を詠唱してるんだよね、きっと。
私は一つ思いついた、ちょっと試してみよう。
前の世界で一番火のイメージができる物。人差し指を立て、小さな声でこう呟いた。
「ライター」
シュボッと人差し指から、ちっちゃな炎が揺らめいた。
お母様が驚いた表情で駆け寄ってきた。
「乃亜ちゃん!今のは!?ライターって何?」
「あー、いやー、何か思いつきで。あはは…」
説明すると長くなりそうだったので誤魔化してしまった。でもできた!
イメージが強くできれば、長い詠唱とかはいらないんだ。
だったらさっき出来なかった魔法もできるはず。
お母様から習っていたのは【火炎球】という魔法。炎の球を標的に放つ魔法だ。
「ではお母様、もう一回やってみますね」
「ええ、がんばって」
炎の球……、赤く、熱く、さっきのライターの火を丸くイメージ。
すると手の平にビー玉サイズの炎の球が浮かんだ。なんか小っちゃいけど!
「火炎球!!」
放った小さな火球は真っ直ぐに木の板でできた的を貫通し、的の後ろに植えられていた大木を一瞬で全焼させた。
「「・・・・・・・・」」
「わあああああああああああ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「だ、大丈夫よ乃亜ちゃん、落ち着いて。それより凄いわ!あの大きさの火炎球でこんな威力が出せるなんて!」
(おおおおおおお!!)
ノアは大興奮だ。
び、びっくりしたぁ……。あんな小っちゃい火の玉で、あんな破壊力になるなんて。でもこれはなんだか………とっても楽しいかもしんない!実は魔法って憧れてたし!
(乃亜!もっと色々試してみようよ!アタシは魔法って使えないから、感動だよー!)
誰にでも魔力という物はあるらしいんだけど、魔法を使うには修練やセンス、感受性などが必要で簡単に扱えるようにはならないらしい。専門の魔法学校に小さい頃から通って、資質のある人だけがやっと使えるようになると聞いた。
こんなあっさり出来ちゃっていいんだろうか。
「それじゃあ他の魔法も練習してみましょうか。もしかしたら別の属性も使えるようになるかもしれないしね。二属性の魔法が扱えたら一人前よ、魔導士《ソーサラー》クラスになると三属性使える人もいるわ」
よーし、がんばってみよう。ノアも楽しそうだし。
夢中になりすぎて気が付くと日が日が傾いている事に、私もお母様もメイドさんが呼びにくるまで気づかなかった。
結果、私は六属性の魔法が使えたのだ。
何というチート……。
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