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2話 不参加、そして同行
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2話 不参加、そして同行
「凱旋式と晩餐会には出ないのか?」
王の謁見が終わり、俺らは街中で行われる凱旋式と、城での晩餐会に出席することになっていた。しかし、イン以外の4人はもうすでに元の旅装束に着替え終わっており、今にも出発できるようになっている。
「人前に出るのはちょっと…… 」
とユフィーナ
「晩餐会で貴族とか見たら殴っちまうからな。」とジキル
「見世物になるために勇者に志願したわけじゃないわ。召喚教典貰えたからもうここに用はないわよ。」とカレア
「俺もパスだ。正直に言うと、晩餐会に居るであろう穢れを知らない貴族の箱入りお嬢様には興味がある。だけどあの約束があるからな、早めにドラクリフ島に着いておきたい。」
背中をカレアが爪先で蹴ってくるけどまぁそれは気にしない。
「インは俺らを気にせず行ってきてくれ。ギルドマスターになるなら顔を広くしておく必要があるだろ。」
ギルドマスターになる以上、貴族や各地の領主とのパイプはあった方が絶対に良い。晩餐会はそれにピッタリだ。
「そうか。8ヶ月と短い間だったが君たちと侵攻が出来て楽しかった。また伝書鳩で文を送ろう。あと何かあったらウチのギルドに来るんだぞ。」
そう言ってインが微笑む。
「俺も此処で一旦お別れだ。妻と娘に早く姿を見せてやりたい。」そうジキルも言う。8ヶ月ぶりの再会らしいからうずうずしてるだろう。
そうこうしている内に凱旋式の時間になってインが出ていき、同時にジキルも自分の家へと帰って行った。やっぱり毎日一緒に旅をして、お互い背中を預け合って戦った仲間との別れは寂しいし悲しい気分になってしまう。
漂っている憂鬱な雰囲気を紛らわそうとカレアにも声を掛ける。
「カレアはどうするんだ?一旦実家に戻るのか?」
「なに言ってるの、私もドラクリフ島に行くわよ。」
はい?
「ちょっと待て、ドラクリフに行く⁉︎ 5か月ぶりに親父さんやお袋さんと会わなくていいのか?」
「半分家出みたいな感じで侵攻に参加したのよ。今更帰れないわ。それに実家に帰ったら商家を継がなきゃいけなくなるじゃない。」
そうかそうか、大変なんだな。
でも“そこ”じゃねぇ。
「俺と一緒にドラクリフに住んでくれるのか⁉︎ も、もしかして、いやもしかしなくとも、俺のこと心配してくれてるとか?」
そう聞くとカレアは急に顔を真っ赤にして、けれど目を吊り目にしてグーで叩きながらまくし立ててくる。
「べっ、別にゼクトの事なんか心配なんかしてないから‼︎ だけど貴方、近接格闘がゴミ以下でしょっ‼︎ だからっ、だからしょうがなく付いていってあげるのよ‼︎ 」
そういうのを心配してるっていうんじゃないでしょうか。このツンデレ娘が。
「そうか、そんなに俺が好きか。だったらせめて旅立つ前にお前の実家にご挨拶に “シュッ” ヤメてヤメテヤメテ斬りかからないで、わかったからごめんなさいってばぁ‼︎ 」
折角からかっていたのにいたのにカレアが顔を真っ赤にして剣で斬りかかって来たので慌てて退避する。
「じゃあ俺とカレアはドラクリフでイチャイチャラブラブ新婚生活を送るとして、ユフィは? 」
言葉の途中でまたカレアが斬りかかってくるが、こっそり防御結界を張っていたので勢いよく結界にぶつかって「ぐみゅ」と潰れている。
「私も行くところがないので……ドラクリフ島にお邪魔しましょうか。」
「よし。大丈夫俺は甲斐性があるから奥さんは2人いても “バコッ” 痛ってぇ‼︎ 杖で殴るなよ、それ高いんだろ‼︎ 」
「けっ、け、結婚だなんて‼︎ いくらゼクトさんでもそういう冗談は言っちゃダメですっ‼︎ 」
純情無垢のユフィちゃんは真っ赤になりながら術杖を振り回してくる。筋力ステータスの低い回復術師とはいえ、ユフィほどの高ランク術師になると一撃一撃がなかなか痛い。流石にこれ以上2人をからかうのはやめとこう。
「はぁ。わかったわかった、冗談はこれくらいにしとくよ。じゃあそろそろ行こうか。ドラクリフ島までは馬車で1週間くらいか。」
「そうですね。ふふっ。侵攻が終わったらそれで皆さんとはお別れかと思ってたから嬉しいです。」
ユフィがニコニコしながら小刻みに跳ねるので、彼女の綺麗な銀色の髪が光を反射して輝く。
「そうね。魔獣島でならこれからも退屈しないだろうし。」
カレアも金色の髪をかきあげる。
いやぁ、眼福ですわ。今から美少女2人と魔獣の蔓延る島で冒険生活だなんて、もう興奮が止まらない。
いやもう興奮が止まらない。
いや、冒険自体に興奮してるんですよ。って誰に言い訳してるんだろ。
おっさんと妻帯者の男2人が去ったこのパーティはもはや俺のハーレムなんじゃないか。
「時にゼクト。」
「なんだいカレアちゃん。」
「パーティ内が男子1人になったからっていって、ユフィや私を襲ってでもみなさい。刈り取ってあげるわ。」
刈り取る⁉︎ なんでこう「刈り取る」って言われただけで、こんなに下腹部が ヒュンッ ってなるのだろうか。
『何を刈り取るんだよ~言ってみろや』って言ってからかっても良いけど、刈られるの怖いからやめとこう。
「そうですよ~ゼクトさん。そんなことしたら発癌魔法かけますからね。」
【発癌】それは回復術を極め、人体を知り尽くした者にしか使えない技。相手の体に触れてその部位に過剰な回復の力を叩き込む。そうすることで細胞分裂に異常を起こして、相手は身体中の細胞が癌化する。
これはマジで恐ろしい。なんてったって癌は絶対に回復治癒魔法で治らない。絶対に解除できない時限爆弾を埋め込まれるのである。俺が知ってるユフィの使える術の中で2番目に怖い。
「すんません。手は出しません。」
こんな2人とドキドキの生活が始まりそうです。
「凱旋式と晩餐会には出ないのか?」
王の謁見が終わり、俺らは街中で行われる凱旋式と、城での晩餐会に出席することになっていた。しかし、イン以外の4人はもうすでに元の旅装束に着替え終わっており、今にも出発できるようになっている。
「人前に出るのはちょっと…… 」
とユフィーナ
「晩餐会で貴族とか見たら殴っちまうからな。」とジキル
「見世物になるために勇者に志願したわけじゃないわ。召喚教典貰えたからもうここに用はないわよ。」とカレア
「俺もパスだ。正直に言うと、晩餐会に居るであろう穢れを知らない貴族の箱入りお嬢様には興味がある。だけどあの約束があるからな、早めにドラクリフ島に着いておきたい。」
背中をカレアが爪先で蹴ってくるけどまぁそれは気にしない。
「インは俺らを気にせず行ってきてくれ。ギルドマスターになるなら顔を広くしておく必要があるだろ。」
ギルドマスターになる以上、貴族や各地の領主とのパイプはあった方が絶対に良い。晩餐会はそれにピッタリだ。
「そうか。8ヶ月と短い間だったが君たちと侵攻が出来て楽しかった。また伝書鳩で文を送ろう。あと何かあったらウチのギルドに来るんだぞ。」
そう言ってインが微笑む。
「俺も此処で一旦お別れだ。妻と娘に早く姿を見せてやりたい。」そうジキルも言う。8ヶ月ぶりの再会らしいからうずうずしてるだろう。
そうこうしている内に凱旋式の時間になってインが出ていき、同時にジキルも自分の家へと帰って行った。やっぱり毎日一緒に旅をして、お互い背中を預け合って戦った仲間との別れは寂しいし悲しい気分になってしまう。
漂っている憂鬱な雰囲気を紛らわそうとカレアにも声を掛ける。
「カレアはどうするんだ?一旦実家に戻るのか?」
「なに言ってるの、私もドラクリフ島に行くわよ。」
はい?
「ちょっと待て、ドラクリフに行く⁉︎ 5か月ぶりに親父さんやお袋さんと会わなくていいのか?」
「半分家出みたいな感じで侵攻に参加したのよ。今更帰れないわ。それに実家に帰ったら商家を継がなきゃいけなくなるじゃない。」
そうかそうか、大変なんだな。
でも“そこ”じゃねぇ。
「俺と一緒にドラクリフに住んでくれるのか⁉︎ も、もしかして、いやもしかしなくとも、俺のこと心配してくれてるとか?」
そう聞くとカレアは急に顔を真っ赤にして、けれど目を吊り目にしてグーで叩きながらまくし立ててくる。
「べっ、別にゼクトの事なんか心配なんかしてないから‼︎ だけど貴方、近接格闘がゴミ以下でしょっ‼︎ だからっ、だからしょうがなく付いていってあげるのよ‼︎ 」
そういうのを心配してるっていうんじゃないでしょうか。このツンデレ娘が。
「そうか、そんなに俺が好きか。だったらせめて旅立つ前にお前の実家にご挨拶に “シュッ” ヤメてヤメテヤメテ斬りかからないで、わかったからごめんなさいってばぁ‼︎ 」
折角からかっていたのにいたのにカレアが顔を真っ赤にして剣で斬りかかって来たので慌てて退避する。
「じゃあ俺とカレアはドラクリフでイチャイチャラブラブ新婚生活を送るとして、ユフィは? 」
言葉の途中でまたカレアが斬りかかってくるが、こっそり防御結界を張っていたので勢いよく結界にぶつかって「ぐみゅ」と潰れている。
「私も行くところがないので……ドラクリフ島にお邪魔しましょうか。」
「よし。大丈夫俺は甲斐性があるから奥さんは2人いても “バコッ” 痛ってぇ‼︎ 杖で殴るなよ、それ高いんだろ‼︎ 」
「けっ、け、結婚だなんて‼︎ いくらゼクトさんでもそういう冗談は言っちゃダメですっ‼︎ 」
純情無垢のユフィちゃんは真っ赤になりながら術杖を振り回してくる。筋力ステータスの低い回復術師とはいえ、ユフィほどの高ランク術師になると一撃一撃がなかなか痛い。流石にこれ以上2人をからかうのはやめとこう。
「はぁ。わかったわかった、冗談はこれくらいにしとくよ。じゃあそろそろ行こうか。ドラクリフ島までは馬車で1週間くらいか。」
「そうですね。ふふっ。侵攻が終わったらそれで皆さんとはお別れかと思ってたから嬉しいです。」
ユフィがニコニコしながら小刻みに跳ねるので、彼女の綺麗な銀色の髪が光を反射して輝く。
「そうね。魔獣島でならこれからも退屈しないだろうし。」
カレアも金色の髪をかきあげる。
いやぁ、眼福ですわ。今から美少女2人と魔獣の蔓延る島で冒険生活だなんて、もう興奮が止まらない。
いやもう興奮が止まらない。
いや、冒険自体に興奮してるんですよ。って誰に言い訳してるんだろ。
おっさんと妻帯者の男2人が去ったこのパーティはもはや俺のハーレムなんじゃないか。
「時にゼクト。」
「なんだいカレアちゃん。」
「パーティ内が男子1人になったからっていって、ユフィや私を襲ってでもみなさい。刈り取ってあげるわ。」
刈り取る⁉︎ なんでこう「刈り取る」って言われただけで、こんなに下腹部が ヒュンッ ってなるのだろうか。
『何を刈り取るんだよ~言ってみろや』って言ってからかっても良いけど、刈られるの怖いからやめとこう。
「そうですよ~ゼクトさん。そんなことしたら発癌魔法かけますからね。」
【発癌】それは回復術を極め、人体を知り尽くした者にしか使えない技。相手の体に触れてその部位に過剰な回復の力を叩き込む。そうすることで細胞分裂に異常を起こして、相手は身体中の細胞が癌化する。
これはマジで恐ろしい。なんてったって癌は絶対に回復治癒魔法で治らない。絶対に解除できない時限爆弾を埋め込まれるのである。俺が知ってるユフィの使える術の中で2番目に怖い。
「すんません。手は出しません。」
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