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1日目

第16話 ステータスウィンドウを手に入れろ⑤

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 博人は一度、黒服⑲に近づく。

 暗闇でも博人のことが見えているようで、近づくとこちらを向いてくる。

 ――とりあえず話しかけてみるか。

「黒服さん、すいません」

「どうされましたか」

「ポケットの中にある【スキル】をいただけませんか」

 その言葉を聞いた、黒服⑲は不機嫌な気持ちを露わにしながら、

「そのことを知っているということは、監視系スキルを使いましたね?そちらはマナー違反ですのでお控えくださいますようお願いいたします。あなたには【スキル】はお渡しできません」

 というと、そのまま会場を出ていった。

 どうやら僕は読み間違えたようだ。
 そう思う博人の前に緑のウィンドウが表示された。

〔黒服⑲からの親愛度が1下がりました。〕

 観察眼(小)は監視系スキルに分類されるらしい。
 あの時は、多くの人がいて、誰が使ったのか分からず、親愛度の減少を免れたが、今僕がその情報を伝えたことで、監視系スキルを使ったことがばれてしまったということだろう。


 博人はもう一度会場を見て回った後、会場を後にした。


 会場の外に出るとさっきの黒服とは違う黒服が立っていた。
 黒服は、博人が会場を出たのを確認すると扉を閉め、施錠した。

 そして、人が入れないように、扉の前に立った。


 その様子を一通り見てから、博人は3階部分の探索を始めた。
 とりあえずスロープを見てみると、手すりのところにテープが貼ってあったであろう跡があった。
 その他にも、近くにある植木も触られた跡が、観察眼を使わなくても見て取れた。

「だいぶ荒らされてるな」

 そう、一言漏らした後、博人は片っ端から【観察眼(小)】を使っていく。

 ――すぐに反応がある。

 目の前の植木からだ。植木が入っている鉢の中を見てみる。

 ――土しか見えない。

 裏は・・・持ち上がらない。

 意外と植木って重いんだな。

 そう思って顔を上げると目の前に文字が見える。

 葉っぱの裏か。

 葉っぱに触ってみると、その葉っぱだけ消えた。
〔STR+0.1 VIT+0.1を獲得しました。ステータスが上昇します。〕

 これは!博人の目がきらりと光る。

 博人は、手でわさわさと植木の葉っぱを触った。

 簡単なことだ。触ればステータスが手に入る。はずだ。


 しかし、何も起こることはなく、ステータスの上昇はなかった。

 試しに、葉の裏を見ると、文字が見える葉が2枚。
 見ながら触ると、葉っぱが消える。
〔INT+0.2 VIT+0.2を獲得しました。ステータスが上昇します〕

 どうやら認識しないと、もらえないらしい。これは大変だ・・・。

 佐伯博人(さえきひろと)
 STR:不明+1.6 VIT:不明+0.7
 INT:不明 +0.2 DEX:不明 
 AGI:不明 LUK:不明+3
 HP :不明+2
【冷静】【視力小上昇】【観察眼(小)】


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