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第二部 魔法少女は、ふたつの世界を天秤にかける
第8話 空(から)の棺 その二
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厳重に隠されていた扉の向こうに、白音たちは魔法の研究室を発見した。
現世界科学と、異世界魔法技術が入り交じるその研究室を探索するうち、いつきが一通の手紙がのこされていることに気づく。
それは、魔族語で綴られたメッセージだった。
◇
『親愛なる』ヒナギクたんへ
あなた様の存在をついに感じました。殿下がお望みを成就されたのですね。
おめでとうございます。
おふたり手を携えて、こちらの世界へ無事お戻りになると信じております。
わたしはあなた様を感知すれば目覚めるように設定して、氷の眠りについておりました。
ですが眠りの間に外の様子が激変してしまったようです。
あなた様と殿下がこちらの世界にお戻りになられた時にすぐにお役に立てますよう、わたしは情報収集に出たいと思います。
もし、ここを空けている間にこれを読まれましたら、晴れてのご帰還に不在をいたしますご無礼をお赦し下さい。
追伸:愛してます
◇
いつきたちにも分かるように翻訳しながら声に出して呼んでいたのだが、最後のところで手紙を投げ捨てそうになった。
「無駄に達筆なのが余計に腹立つわね……」
「ヒナギクたん!!」
そう言ってリプリンが白音の頬を突っついてきた。
リプリンはずっと白音の身体の中にいて、白音の目や耳を通して外の世界の出来事を見聞きしていた。
だから『ヒナギクたん』が白音のことだというのを覚えていたのだろう。
「うゆ……。そうよ、リプリン。わたしのことね。まあ、わたしのことをそんな風に呼んでる人もいるのよ」
白音は渋々ながら認める。
「じゃあこれって、姐さん宛の手紙っすか?」
「……そうみたい、ね」
いつきは白音が魔族だということは知っている。
しかし一度死に、転生して人間になったことととか、どうやって魔族としての力を取り戻したとか、そういう詳しいことまでは知らない。
だからこの手紙だけでは意味が分からないところも多いだろう。
「今、話に出てきた『殿下』って偉い人のことっすよね?」
「ええそう。魔族の王子様のことよ」
それがリンクスだということもいつきは知らない。
しかし今言うと話がややこしくなりそうだったので、また後で説明することにする。
「その手紙の印象だと、姐さんのことしか頭にない感じがするっす。殿下はついでって感じで。……王子様なのに?」
「まあ……、実際そうなんでしょうね……」
白音がちょっと苦笑いした。
全然事情を知らないいつきにすら、セクハラ大魔道の心うちが読まれてしまっている。
そしていつきは、それをひと言でまとめた。
「愛っすね」
「愛……」
白音は背中に悪寒が走ってぶるぶるっと身震いした。
でも大魔道ってこういう人だったなあと、不思議と少し懐かしくもある。
「セクハラ大魔道ってわたしと出会ってから、『近衛隊長専属ストーカー』にレベルアップしたって言われてたのよ。その時はピンと来てなかったけど、ここに来てやっとその意味が分かったわ。矛先がわたしに向いたからみんな安心してたのね……」
「なはは。困った人っすね。でも納得したっす。じゃああのお風呂に入ってたのはその大魔道さんなんすかね」
「多分そうよね。ハイバネーションみたいなことなのかな?」
「え、灰羽根?? ……なんすか?」
「冷凍睡眠。体をものすごく冷やして眠ることで老化を止めるの。映画とかで見たことない?」
「ああー、なんとなく分かるっす」
そう言われるといつきも、このバスタブに似た装置で人間が長期間眠ったまま、みたいなシーンをどこかで見たことがある気がする。
「わたしが最期に見たのは二十年近くも前の話だし、本気でわたしの帰還を待つつもりだったのなら、賢明な選択だったのかも」
もし大魔道の中身が人間と同じ寿命しか持たない召喚英雄だったなら、長命な魔族の探索行の還りを待つにはこれしか方法がなかったであろう。
何年後になるか、何百年後になるのか、あるいは永遠に還ってこない可能性だってある。
いつきは、大魔道の本気度を垣間見た気がした。
さっきはちょっと茶化して言ったのだが、これはもう本物の『愛』だと思う。
白音が嫌がりそうなので口に出しては言わないが。
「んで、姐さんとの合流目指して出て行った、ということっすか……」
いつきのその言葉に、予想通り白音は渋い顔をする。
「…………だったらまあ、ここは安全なのかな。もし戻ってきてもあの人なら、わたしの名前を出せばかくまってくれると思うし」
念のため、白音たちは施設を隅々まで調べ上げ、危険がないか確認をした。
幸い、怪しい生体兵器などが隠されているようなことはなかった。
◇
あとは魔族親子たちと人族との接点を完全に絶たなければいけないのだが、これはなかなかに難題だった。
「食料はありったけ置いていきます。依頼主には脅威は排除したと報告しますので、人族を襲うのは控えて下さい。再び問題視されれば、今度は大規模な討伐隊が組まれかねません」
白音の言葉に、アレイセスとリビアラが深く頭を下げて感謝の意を示す。
夫婦とて、たったふたりで人族と戦争を続ける気はない。
我が子を守るためにはどんな難題だろうとやるしかないのだ。
リプリンのおなかから、みんなで手分けして食料をとり出していく。
相変わらず女の子のおなかから物を引きずり出すのは少し気まずい。
まして生肉である。限りなく臓物っぽい。
「あん。いやん。そこヤダ……」
リプリンがいつきをちらちらと見ながら、手を突っ込まれる度に艶めいた声を出す。
「……リプリンちゃん、僕が手を入れた時だけ狙って変な声出してるっすよね?」
「んふふー」
ふたりがそんなことをして親交を深めているから、魔族夫婦は目をそらして冷凍庫へ生肉を並べる作業に集中している。
日本語が通じていないから、きっといろんな想像の余地があることだろう。
リビアラが、肉の部位をすべて確認しながら、入れる場所を細かく指示していた。
アレイセスはそれにきびきびと従っている。
どうやら台所の指揮官はリビアラのようだった。
生肉はかなりの低温で保存していたので、完全に凍り付いている。
これならここで冷凍しておけばまだまだ日持ちするだろう。
「念のため、良く加熱して下さいね」
白音がそう言うと、リビアラが「はい」と返事をしてくれた。
しかし三人の方に視線は向けていない。
多分見てはいけない類いのものだと思われていそうだった。
白音といつきがずぶずぶと肉をとり出し、リプリンがあんあんと悪戯っぽく声を上げる。
その横でアレイセスとリビアラが、肉が解けないうちにせっせと冷凍庫へ詰めていく。
巨大な冷凍庫をどんどん占拠していくが、まだまだリプリンの体内からはよく冷えた肉が出てきた。
「どんだけ入ってんすか……」
さすがにいつきが目を丸くした。
「ランドルメア……大きな牛みたいなのがほとんど丸々一頭分だから、数百キロとかだと思うわ」
結局巨大な冷凍庫を三つ満杯にしても、ランドルメア一頭分の肉は収まりきらなかった。
丁寧にしまい込んでいた肉がここで役に立ったのは良かった。
あとは小麦粉の備蓄がそれなりにあるようだったので、数ヶ月程度なら何とかなりそうだった。
小麦は多分、人族の隊商を襲って奪ったものだろう。
それに関しては白音も思うところはあった。
しかし、もしその行為を咎めるとするならば、ではどうすれば良かったのか。
思うところはあっても、はっきりとした結論を見つけることは白音にもできそうになかった。
ただ確かなことは、どうあっても目の前の命を守る、白音がそう思ったということだけだった。
「あと、これも差し上げます。保存が利くから。冷やさなくていいし」
白音は魔族語でそう言って、現世から持ってきていたアルミパウチに入ったゼリー飲料も差し出した。
毎日肉ばかりだと命を繋ぐことはできるかもしれないが、栄養の面から見るとあまりよろしくはない思う。
特に、母乳にまで影響が出てはいけないだろう。
ゼリー飲料ならば夫婦にとっては未知の食べ物だろうが、栄養価は間違いなく高い。
ただ、中身は実に色とりどりで様々な味がする。
この世界の者からすれば食べられるように思えないかもしれない。
なので、軽く使い方と栄養分の内容を説明しておく。
その様子を、リプリンがじっと見つめていた。
そしてちょっとしんみりした声でぼそっと呟く。
「わたしの体の一部だから、大切に飲んでね」
現世界科学と、異世界魔法技術が入り交じるその研究室を探索するうち、いつきが一通の手紙がのこされていることに気づく。
それは、魔族語で綴られたメッセージだった。
◇
『親愛なる』ヒナギクたんへ
あなた様の存在をついに感じました。殿下がお望みを成就されたのですね。
おめでとうございます。
おふたり手を携えて、こちらの世界へ無事お戻りになると信じております。
わたしはあなた様を感知すれば目覚めるように設定して、氷の眠りについておりました。
ですが眠りの間に外の様子が激変してしまったようです。
あなた様と殿下がこちらの世界にお戻りになられた時にすぐにお役に立てますよう、わたしは情報収集に出たいと思います。
もし、ここを空けている間にこれを読まれましたら、晴れてのご帰還に不在をいたしますご無礼をお赦し下さい。
追伸:愛してます
◇
いつきたちにも分かるように翻訳しながら声に出して呼んでいたのだが、最後のところで手紙を投げ捨てそうになった。
「無駄に達筆なのが余計に腹立つわね……」
「ヒナギクたん!!」
そう言ってリプリンが白音の頬を突っついてきた。
リプリンはずっと白音の身体の中にいて、白音の目や耳を通して外の世界の出来事を見聞きしていた。
だから『ヒナギクたん』が白音のことだというのを覚えていたのだろう。
「うゆ……。そうよ、リプリン。わたしのことね。まあ、わたしのことをそんな風に呼んでる人もいるのよ」
白音は渋々ながら認める。
「じゃあこれって、姐さん宛の手紙っすか?」
「……そうみたい、ね」
いつきは白音が魔族だということは知っている。
しかし一度死に、転生して人間になったことととか、どうやって魔族としての力を取り戻したとか、そういう詳しいことまでは知らない。
だからこの手紙だけでは意味が分からないところも多いだろう。
「今、話に出てきた『殿下』って偉い人のことっすよね?」
「ええそう。魔族の王子様のことよ」
それがリンクスだということもいつきは知らない。
しかし今言うと話がややこしくなりそうだったので、また後で説明することにする。
「その手紙の印象だと、姐さんのことしか頭にない感じがするっす。殿下はついでって感じで。……王子様なのに?」
「まあ……、実際そうなんでしょうね……」
白音がちょっと苦笑いした。
全然事情を知らないいつきにすら、セクハラ大魔道の心うちが読まれてしまっている。
そしていつきは、それをひと言でまとめた。
「愛っすね」
「愛……」
白音は背中に悪寒が走ってぶるぶるっと身震いした。
でも大魔道ってこういう人だったなあと、不思議と少し懐かしくもある。
「セクハラ大魔道ってわたしと出会ってから、『近衛隊長専属ストーカー』にレベルアップしたって言われてたのよ。その時はピンと来てなかったけど、ここに来てやっとその意味が分かったわ。矛先がわたしに向いたからみんな安心してたのね……」
「なはは。困った人っすね。でも納得したっす。じゃああのお風呂に入ってたのはその大魔道さんなんすかね」
「多分そうよね。ハイバネーションみたいなことなのかな?」
「え、灰羽根?? ……なんすか?」
「冷凍睡眠。体をものすごく冷やして眠ることで老化を止めるの。映画とかで見たことない?」
「ああー、なんとなく分かるっす」
そう言われるといつきも、このバスタブに似た装置で人間が長期間眠ったまま、みたいなシーンをどこかで見たことがある気がする。
「わたしが最期に見たのは二十年近くも前の話だし、本気でわたしの帰還を待つつもりだったのなら、賢明な選択だったのかも」
もし大魔道の中身が人間と同じ寿命しか持たない召喚英雄だったなら、長命な魔族の探索行の還りを待つにはこれしか方法がなかったであろう。
何年後になるか、何百年後になるのか、あるいは永遠に還ってこない可能性だってある。
いつきは、大魔道の本気度を垣間見た気がした。
さっきはちょっと茶化して言ったのだが、これはもう本物の『愛』だと思う。
白音が嫌がりそうなので口に出しては言わないが。
「んで、姐さんとの合流目指して出て行った、ということっすか……」
いつきのその言葉に、予想通り白音は渋い顔をする。
「…………だったらまあ、ここは安全なのかな。もし戻ってきてもあの人なら、わたしの名前を出せばかくまってくれると思うし」
念のため、白音たちは施設を隅々まで調べ上げ、危険がないか確認をした。
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◇
あとは魔族親子たちと人族との接点を完全に絶たなければいけないのだが、これはなかなかに難題だった。
「食料はありったけ置いていきます。依頼主には脅威は排除したと報告しますので、人族を襲うのは控えて下さい。再び問題視されれば、今度は大規模な討伐隊が組まれかねません」
白音の言葉に、アレイセスとリビアラが深く頭を下げて感謝の意を示す。
夫婦とて、たったふたりで人族と戦争を続ける気はない。
我が子を守るためにはどんな難題だろうとやるしかないのだ。
リプリンのおなかから、みんなで手分けして食料をとり出していく。
相変わらず女の子のおなかから物を引きずり出すのは少し気まずい。
まして生肉である。限りなく臓物っぽい。
「あん。いやん。そこヤダ……」
リプリンがいつきをちらちらと見ながら、手を突っ込まれる度に艶めいた声を出す。
「……リプリンちゃん、僕が手を入れた時だけ狙って変な声出してるっすよね?」
「んふふー」
ふたりがそんなことをして親交を深めているから、魔族夫婦は目をそらして冷凍庫へ生肉を並べる作業に集中している。
日本語が通じていないから、きっといろんな想像の余地があることだろう。
リビアラが、肉の部位をすべて確認しながら、入れる場所を細かく指示していた。
アレイセスはそれにきびきびと従っている。
どうやら台所の指揮官はリビアラのようだった。
生肉はかなりの低温で保存していたので、完全に凍り付いている。
これならここで冷凍しておけばまだまだ日持ちするだろう。
「念のため、良く加熱して下さいね」
白音がそう言うと、リビアラが「はい」と返事をしてくれた。
しかし三人の方に視線は向けていない。
多分見てはいけない類いのものだと思われていそうだった。
白音といつきがずぶずぶと肉をとり出し、リプリンがあんあんと悪戯っぽく声を上げる。
その横でアレイセスとリビアラが、肉が解けないうちにせっせと冷凍庫へ詰めていく。
巨大な冷凍庫をどんどん占拠していくが、まだまだリプリンの体内からはよく冷えた肉が出てきた。
「どんだけ入ってんすか……」
さすがにいつきが目を丸くした。
「ランドルメア……大きな牛みたいなのがほとんど丸々一頭分だから、数百キロとかだと思うわ」
結局巨大な冷凍庫を三つ満杯にしても、ランドルメア一頭分の肉は収まりきらなかった。
丁寧にしまい込んでいた肉がここで役に立ったのは良かった。
あとは小麦粉の備蓄がそれなりにあるようだったので、数ヶ月程度なら何とかなりそうだった。
小麦は多分、人族の隊商を襲って奪ったものだろう。
それに関しては白音も思うところはあった。
しかし、もしその行為を咎めるとするならば、ではどうすれば良かったのか。
思うところはあっても、はっきりとした結論を見つけることは白音にもできそうになかった。
ただ確かなことは、どうあっても目の前の命を守る、白音がそう思ったということだけだった。
「あと、これも差し上げます。保存が利くから。冷やさなくていいし」
白音は魔族語でそう言って、現世から持ってきていたアルミパウチに入ったゼリー飲料も差し出した。
毎日肉ばかりだと命を繋ぐことはできるかもしれないが、栄養の面から見るとあまりよろしくはない思う。
特に、母乳にまで影響が出てはいけないだろう。
ゼリー飲料ならば夫婦にとっては未知の食べ物だろうが、栄養価は間違いなく高い。
ただ、中身は実に色とりどりで様々な味がする。
この世界の者からすれば食べられるように思えないかもしれない。
なので、軽く使い方と栄養分の内容を説明しておく。
その様子を、リプリンがじっと見つめていた。
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