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第一部 魔法少女は、ふたつの世界を天翔る
第36話 そらの覚悟 その一
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「分析のために手で触りたかったんだろう? 来るのが分かってればあんたじゃなくても動きは読めるシ。狙うのは簡単だネ」
手首を切断されたことによってそらが肉体的に、精神的にどれくらいのダメージを受けたのか、彩子は量っているようだった。
しかしそれは戦闘を有利に運ぶためではなく、より気持ちを昂ぶらせるためにただ知りたい、ということのようだった。
彩子は前回の戦いからのチーム白音それぞれの能力を予測し、しっかりと戦術を練ってきてもいる。
彼女の中には、狡猾と嗜虐が等分に同居しているらしい。
京香とはまた違う、敵に回すと厄介な相手だった。
彩子が腕を蹴られて呻いていたのは完全なフェイクというわけではない。自身の左腕もかなりのダメージを受けたようで、力なくだらりと垂れ下がったままになっている。
しかしそんな攻撃を受けながらもなお、平気で反撃してきたのだ。
最終的に相手が死んでいればいい、という戦い方に思える。
マインドリンクを通じて、白音たちにもそらの苦痛が伝わっている。
[そらちゃんっ!?]
今にも飛んでこちらへ駆けつけてきそうな白音の声に、そらは気丈さを取り戻す。
白音が飛べることは、まだ姉妹には秘匿しておくべきなのだ。
[……平気、みんな。必ずやり遂げるから、待ってて]
そらは腕の切断面を凍り付かせて止血する。
冷却魔法もまた、光や炎と同じく基本魔法である。
魔法能力があまり高くなかったそらは、リンクスにその立ち回りを学ぶべくいろいろ教えを請うていた。
今では多岐にわたる基本魔法を使いこなし、さらには異世界の言語までも使いこなせるようになっている。
白音は逆巻姉妹に対して「借りは必ず返す」などと言っていたが、真意が別の所にあるのをそらは知っていた。
多分それは照れ隠しなのだろう。
この姉妹は絶対にここで倒しておくべき敵なのだ。
根来衆の件が片付いたとしても、この姉妹は傭兵などと称してやりたい放題にこの国を、あるいは世界を破壊して回るだろう。
今までに何人の魔法少女が殺されたのだろう。これから何人殺すのだろう。
そしてそれだけのことをしておきながら、彼女たちを誰も止めることができないのだ。
魔法少女を大勢動かすことのできるギルドやブルームですら「姉妹には手を出すな」と言う。
唯一姉妹に匹敵できる自分たちが命をかけて止めなければ、どうにもならない相手なのだ。
確かに借りは必ず返すという気の強いところも白音なのだが、多分人のために命を賭けられることこそが白音の本質なのだ。
そらはチーム白音の一員として、白音のその想いに応えたかった。
極低温で傷口は凍りつき、痛みも麻痺してきた。
そらは右腕を失うという事態に直面して動揺するどころか、これまでにないほど魔力を昂ぶらせ、その波動を彩子に真正面からぶつけた。
それを見た彩子は、ぞくぞくっと愉悦めいた身震いをした。怯える獲物をいたぶって追い詰めるのも悪くないが、こうやって気丈に立ち向かってくる魔法少女の心をへし折るのが、一番嗜虐心をそそる
京香と対峙している白音たちにも、そらの昂ぶる魔力は感じられた。先程伝わってきたそらの苦痛、それでもそらは戦う意思を少しも衰えさせてはいない。
白音は姿を確認できないそらに対して、今できる最大の支援を行う。
「二重増幅強化!!」
『増幅したリーパーで「増幅したリーパー」』を使って能力を増幅する。
子供が喧嘩の時に使う入れ子状の屁理屈みたいだ。
冗談のような話だったができる気がして、一度練習した時には体へのあまりの負担に数秒も保たずに昏倒してしまった。
だが魔族としての力も取り戻した今ならやれる自身があった。
理屈の上ではできるはずなのだ。
莉美はその途端、ぐんと身体能力が上昇するのを感じて、また『黙リーパー』について抗議しようとした。
しかしすぐにそらのために緊急を要したことと、このまま京香に気づかれずにこの力を使った方が有利だと考えて何も言わなかった。
莉美の察しが良くなっている。
チーム白音のすべてがまた一段、未曾有の領域へと押し上げられていった。
京香は、どんどん手の内を晒していってもすぐに追い縋ってくるチーム白音に驚喜した。
本当に全力で戦ってもいい相手だ。
京香も白音たちと同じく、時間を稼ぐように言われていた。
白音たちにとっては京香とそらが同じ戦場にいない方がいい。
一撃でも食らえば殺されかねない状況での鑑定が難しいからだ。
対する彩子は誘い出したそらを殺すまでの間、京香が時間を稼いでくれさえすれば、あとは頭脳を失った集団をいたぶればいいだけになると考えている。
京香が白音との距離を詰め、側頭部を狙った蹴りを放った。
うまく白音を盾にして、他の魔法少女を近づけないように立ち回っている。
ガードした白音の腕がびりびりする。
さらに足を下ろしざま、反対側からやはり顔面を狙ったフックを飛ばす。
こちらも白音が腕でいなすと、今度は流れるように連携して、見えない下方から鳩尾を狙ったショートアッパーを放った。
これが本命だ。
「くっ!」
白音は京香の戦闘センスに舌を巻く。
そして全力で突き上げられたそれは、ガードなしで食らえば背中まで突き抜けてしまいそうな威力がある。
力強い京香の猛攻、それを流れるような美しい動きで捌いていく白音。
対照的なふたりの戦いを前に、佳奈と一恵がつけいる隙を窺っていた。
佳奈としてはあまり認めたくないところではあるが、京香は自分と似た戦い方をする。
直情的で野生の勘に頼る。
対する白音は相手をよく見て、状況を判断して、常に敵の先を取って動く。
佳奈も何度か試みたことがあるのだが、自分の拙いフェイントでは白音を出し抜けたためしがない。
その程度の三連打を白音が食らうわけがないのだ。
両手を下げて白音はその凶悪なボディアッパーを止める。
「がはっ!!」
しかし、しっかり防御したはずの白音が呻いた。
その重い一撃は白音の手ごと鳩尾へめり込み、ガードの上から肋骨を砕いていた。
内臓がどこかつぶれた感触がある。
京香がにやっと笑う。……だが同時に白音もふふっと笑った。
めり込んだ京香の右手をぎゅっと握って逃れられないようにすると、スコーピオンキック――片足を後方へ振り出し、背中を反らして背後から頭上へと振り上げ、サソリの毒針のようにつま先で蹴る――を放った。
いくら体が柔らかくともそれほど威力の出ない技だが、そのブーツのつま先には白音の武器、光剣が生えていた。
脳天を割りに来た一撃を、京香は首をひねってぎりぎりのところで躱したが、耳が削ぎ落ちた。
直後に殺到する佳奈と一恵をかわして、京香がやや距離を取る。
「あなた、星石をふたつ持っているのね?」
口の端を伝い落ちる血を拭いながら白音が問うた。
「お前もだろう?」
いつもはほとんど口を開かない京香なのだが、白音たちに対しては何故か少し饒舌になるのを自分でも感じていた。
「ワタシは弟の石を食べたんだ。お前は誰のを食べたんだ?」
白音は一瞬「え?」という表情をした。食べるってどういうことだろう。それも弟を?
「そうか……、悪かったね。そんな外道はやっぱりワタシだけ、だね」
手首を切断されたことによってそらが肉体的に、精神的にどれくらいのダメージを受けたのか、彩子は量っているようだった。
しかしそれは戦闘を有利に運ぶためではなく、より気持ちを昂ぶらせるためにただ知りたい、ということのようだった。
彩子は前回の戦いからのチーム白音それぞれの能力を予測し、しっかりと戦術を練ってきてもいる。
彼女の中には、狡猾と嗜虐が等分に同居しているらしい。
京香とはまた違う、敵に回すと厄介な相手だった。
彩子が腕を蹴られて呻いていたのは完全なフェイクというわけではない。自身の左腕もかなりのダメージを受けたようで、力なくだらりと垂れ下がったままになっている。
しかしそんな攻撃を受けながらもなお、平気で反撃してきたのだ。
最終的に相手が死んでいればいい、という戦い方に思える。
マインドリンクを通じて、白音たちにもそらの苦痛が伝わっている。
[そらちゃんっ!?]
今にも飛んでこちらへ駆けつけてきそうな白音の声に、そらは気丈さを取り戻す。
白音が飛べることは、まだ姉妹には秘匿しておくべきなのだ。
[……平気、みんな。必ずやり遂げるから、待ってて]
そらは腕の切断面を凍り付かせて止血する。
冷却魔法もまた、光や炎と同じく基本魔法である。
魔法能力があまり高くなかったそらは、リンクスにその立ち回りを学ぶべくいろいろ教えを請うていた。
今では多岐にわたる基本魔法を使いこなし、さらには異世界の言語までも使いこなせるようになっている。
白音は逆巻姉妹に対して「借りは必ず返す」などと言っていたが、真意が別の所にあるのをそらは知っていた。
多分それは照れ隠しなのだろう。
この姉妹は絶対にここで倒しておくべき敵なのだ。
根来衆の件が片付いたとしても、この姉妹は傭兵などと称してやりたい放題にこの国を、あるいは世界を破壊して回るだろう。
今までに何人の魔法少女が殺されたのだろう。これから何人殺すのだろう。
そしてそれだけのことをしておきながら、彼女たちを誰も止めることができないのだ。
魔法少女を大勢動かすことのできるギルドやブルームですら「姉妹には手を出すな」と言う。
唯一姉妹に匹敵できる自分たちが命をかけて止めなければ、どうにもならない相手なのだ。
確かに借りは必ず返すという気の強いところも白音なのだが、多分人のために命を賭けられることこそが白音の本質なのだ。
そらはチーム白音の一員として、白音のその想いに応えたかった。
極低温で傷口は凍りつき、痛みも麻痺してきた。
そらは右腕を失うという事態に直面して動揺するどころか、これまでにないほど魔力を昂ぶらせ、その波動を彩子に真正面からぶつけた。
それを見た彩子は、ぞくぞくっと愉悦めいた身震いをした。怯える獲物をいたぶって追い詰めるのも悪くないが、こうやって気丈に立ち向かってくる魔法少女の心をへし折るのが、一番嗜虐心をそそる
京香と対峙している白音たちにも、そらの昂ぶる魔力は感じられた。先程伝わってきたそらの苦痛、それでもそらは戦う意思を少しも衰えさせてはいない。
白音は姿を確認できないそらに対して、今できる最大の支援を行う。
「二重増幅強化!!」
『増幅したリーパーで「増幅したリーパー」』を使って能力を増幅する。
子供が喧嘩の時に使う入れ子状の屁理屈みたいだ。
冗談のような話だったができる気がして、一度練習した時には体へのあまりの負担に数秒も保たずに昏倒してしまった。
だが魔族としての力も取り戻した今ならやれる自身があった。
理屈の上ではできるはずなのだ。
莉美はその途端、ぐんと身体能力が上昇するのを感じて、また『黙リーパー』について抗議しようとした。
しかしすぐにそらのために緊急を要したことと、このまま京香に気づかれずにこの力を使った方が有利だと考えて何も言わなかった。
莉美の察しが良くなっている。
チーム白音のすべてがまた一段、未曾有の領域へと押し上げられていった。
京香は、どんどん手の内を晒していってもすぐに追い縋ってくるチーム白音に驚喜した。
本当に全力で戦ってもいい相手だ。
京香も白音たちと同じく、時間を稼ぐように言われていた。
白音たちにとっては京香とそらが同じ戦場にいない方がいい。
一撃でも食らえば殺されかねない状況での鑑定が難しいからだ。
対する彩子は誘い出したそらを殺すまでの間、京香が時間を稼いでくれさえすれば、あとは頭脳を失った集団をいたぶればいいだけになると考えている。
京香が白音との距離を詰め、側頭部を狙った蹴りを放った。
うまく白音を盾にして、他の魔法少女を近づけないように立ち回っている。
ガードした白音の腕がびりびりする。
さらに足を下ろしざま、反対側からやはり顔面を狙ったフックを飛ばす。
こちらも白音が腕でいなすと、今度は流れるように連携して、見えない下方から鳩尾を狙ったショートアッパーを放った。
これが本命だ。
「くっ!」
白音は京香の戦闘センスに舌を巻く。
そして全力で突き上げられたそれは、ガードなしで食らえば背中まで突き抜けてしまいそうな威力がある。
力強い京香の猛攻、それを流れるような美しい動きで捌いていく白音。
対照的なふたりの戦いを前に、佳奈と一恵がつけいる隙を窺っていた。
佳奈としてはあまり認めたくないところではあるが、京香は自分と似た戦い方をする。
直情的で野生の勘に頼る。
対する白音は相手をよく見て、状況を判断して、常に敵の先を取って動く。
佳奈も何度か試みたことがあるのだが、自分の拙いフェイントでは白音を出し抜けたためしがない。
その程度の三連打を白音が食らうわけがないのだ。
両手を下げて白音はその凶悪なボディアッパーを止める。
「がはっ!!」
しかし、しっかり防御したはずの白音が呻いた。
その重い一撃は白音の手ごと鳩尾へめり込み、ガードの上から肋骨を砕いていた。
内臓がどこかつぶれた感触がある。
京香がにやっと笑う。……だが同時に白音もふふっと笑った。
めり込んだ京香の右手をぎゅっと握って逃れられないようにすると、スコーピオンキック――片足を後方へ振り出し、背中を反らして背後から頭上へと振り上げ、サソリの毒針のようにつま先で蹴る――を放った。
いくら体が柔らかくともそれほど威力の出ない技だが、そのブーツのつま先には白音の武器、光剣が生えていた。
脳天を割りに来た一撃を、京香は首をひねってぎりぎりのところで躱したが、耳が削ぎ落ちた。
直後に殺到する佳奈と一恵をかわして、京香がやや距離を取る。
「あなた、星石をふたつ持っているのね?」
口の端を伝い落ちる血を拭いながら白音が問うた。
「お前もだろう?」
いつもはほとんど口を開かない京香なのだが、白音たちに対しては何故か少し饒舌になるのを自分でも感じていた。
「ワタシは弟の石を食べたんだ。お前は誰のを食べたんだ?」
白音は一瞬「え?」という表情をした。食べるってどういうことだろう。それも弟を?
「そうか……、悪かったね。そんな外道はやっぱりワタシだけ、だね」
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